2024.01.07

CARS

【保存版】フェラーリFFは、4WDスポーツカーの金字塔! 評論というものを否定するような高みに達している!!【『エンジン』蔵出しシリーズ/フェラーリ篇】

2012年の年初、ついに上陸したフェラーリFFの試乗記。

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回取り上げるのは、フェラーリの4座4輪駆動グラントゥリズモ、FFだ。2012年、新年早々についにFFが上陸。広報車両が用意されたのを聞きつけて、エンジン元編集長の鈴木正文氏と元編集部員の齋藤浩之氏、現編集長のムラカミの3人がいのいちに試乗に臨んだ記事を取り上げる。ほとんど評論を受け付けないような完成度の高さで3人を圧倒したFF。その2012年2月号に掲載されたリポートの内容とは?

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舞踏会ではなくゲレンデへ

スズキ ようやくというのかな、待望のフェラーリFFがここに上陸なって、日本の道でテスト・カーに今日乗ることができた。齋藤君は国際試乗会ですでに乗っているよね。

後輪に1tを超える静的荷重がかかっているだけに、まるでミドシップ・カーのように絶大なトラクションがかかる。

齋藤 ドイツとイタリアの国境にあるチロルの山岳路で乗ることができました。本当はイタリア空軍が大型ヘリコプターを使ってスキー場へ運んだウィンター・タイヤ付きのFFで雪上ドライブを堪能できる予定だったんですが、突然の大幅な気温上昇で雪が融けてしまって、それは叶わなかったんです。FFのもうひとつの、というかGTカーとしての本分である高速性能を存分に試せるステージもなかったので、ちょっと欲求不満な感じではあったんですが、大型の4WDカーであることの不利を微塵も感じさせない素晴らしいハンドリング性能の片鱗を覗くことができたのは幸せでした。

スズキ フェラーリは、フェラーリを走らせるには到底理想的とは思えない条件下でローンチ・イヴェントをやったわけだよね。彼らの意図どおりの条件で試乗することは残念ながらできなかったわけだけれど。

齋藤 そうです。

スズキ FFはフェラーリのフラッグシップ・クーペというべきクルマだよね。先祖は新しいほうから遡っていくと、612スカリエッティ、456、その前は400/412系、さらには365GTCということになる。伝統的に2+2の系譜にある、俗に言うドレッシィ・フェラーリ。ドレッシィ・フェラーリは、それで舞踏会に乗りつけるというのならともかく、アルプスのゲレンデに行くというは、これいかに。

ホイールベースは長いものの、それを感じさせない素晴らしいハンドリングが実現されているのもすごい。

齋藤 フェラーリはF355以降、積極的に電子制御技術を彼らの市販車に投入してきたわけです。ABS/EBD、ESC、F1- Trac、E-Diffといったものですね。運転支援装置です。フォーミュラ1で培った最先端のノウハウを転用してきた。その結果、ウェット路面でも、かなりの安定性、安定性回復能力を手にしました。でも、それがフロント・エンジンのモデルであれ、ミドシップ・エンジンのモデルであれ、積雪路や凍結路への適応能力を手にするまでにはいたらなかった。考えてみれば当然ですよね。路面の摩擦係数が決定的に小さい、つまり極端に滑りやすい、駆動力を伝達するのが難しい状況なわけですから、後輪だけにトラクションを期待するシステムでは無理なわけです。フェラーリは、全天候適応力を手にせずしてこの運転支援技術の完成なし、という目標を掲げてまい進してきた。その目標が、画期的な4WD機構の独自開発によって実現することになった。それを初めて導入するのがこのクルマということで、舞踏会ではなく、ゲレンデでのテストということになったんです。彼らは仕上がりに自信満々なんですよ。

スズキ なるほどね。

齋藤 それと、背景として、ロシアや中国、インドといった新興マーケットでの競争力を獲得する必要があった。こうした国々は、これまでフェラーリが伝統的に強かった北米やヨーロッパとは気候、道路環境がずいぶんと違っているわけですから。

スズキ モスクワはともかく、サンクトペテルブルクは寒いよ。北京の冬も厳しいものがある。

革シートもとくべつ高級なそれで、風合い、肌触り、座り心地ともに極上。

齋藤 で、悪条件下でのトラクション性能を上げるには4輪駆動化しかないとなった。フェラーリは過去にも、ミドシップ・エンジンの実験車両で4WDを試みたことがありますが、それとも全く異なる、独自の機構を開発した。FFはノーズに収めたV型12気筒エンジンのクランクシャフト後端から取り出した回転力をリアのトランスアクスル変速機に伝え、後輪を駆動するFRレイアウトがベースになっています。ところが、V12のクランクシャフト前端からも回転力を取り出して、エンジン前部に接合された前進2段変速のギアボックスを経たトルクが、左右輪に個別に用意された油圧多板クラッチを介して、ホイールに伝えられます。前後アクスル間の回転差の吸収や、フロント・ディフの役目、伝達トルクの調整のすべてを、この2組の電子制御多板クラッチが担うんです。制御はF1-TracやE-Diffと統合して行われる。で、前輪への動力伝達は、後輪の駆動力伝達能力がリミットに達して、ドライバーの要求する駆動力を伝えきれなくなって初めて行われる。これは緻密にコントロールされたオン・デマンド4WDなんです。後輪用の主変速機が1速もしくは2速にある時はフロントは低速側のギアが、後輪が3速か4速にあるときは高速側のギアが選択されてトラクションを補強する。4速の上限速度は200km/hを超えるので、悪条件下での走行状況を十二分にカバーするという判断です。5速から上ではシステムが完全に切り離されるようになっています。

思わずため息が出る、上質至極のインテリア。

スズキ 普通に走っているときは後輪だけの2輪駆動ということだね。誰の真似でもない。いままでどこにもなかったシステムだ。

齋藤 モンテゼモロ会長は常々言っていますよね。フェラーリはフォロワーにはならない。いつもイノヴェーターでいるんだ、って。有言実行を証明していますよね。あ、それと、4座フェラーリGTは今後すべて、このPTU(パワー・トランスファー・ユニット)を使う4WDになるそうです。つまり、カリフォルニアの後継モデルもこのシステムを使う。

スズキ 2座は2WDというわけだ。

齋藤 今後も2駆でいくと言ってました。カタログ・モデル、限定モデルを問わずに。12気筒、8気筒とも。

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