2023.11.27

CARS

【保存版】「退屈しないんだよ、ジュリエッタは!」 新世代アルファとして登場した「ジュリエッタ」はどんなアルファ・ロメオだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ アルファ・ロメオ篇】 

なんといっても脚がイイ

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村上 ジュリエッタには大きな期待を寄せていたんだよね。日本ではほとんどミトしかない状態になっていたでしょう。どうしたって期待する。

齋藤 期待に応えてくれなかった?

村上 目の前にしてみたら、なんかミトの大きなやつみたいな顔してるでしょ。あれっ? と思った。これ、大丈夫かなと不安が……。でも、後ろへ回ると、カッコいいんで、イケると思い直した。

齋藤 美人じゃないかもね。でも、それもアルファでしょう。最近は美人系ばっかりだったけど。



村上 数日前に最初に乗った時に、なんか古くさい感じを覚えて、昔と変わってない? と思ってしまった。ステアリング・ホイールのデザインとかがね。走らせても、反応がもさっとしてて、なんか走らないなぁと。DNAのN、ノーマルで走っていたからなんだね。Nが実質的にエコ・モードだと知らなかった。それで、Dに切り替えたら、変貌した。まるで違うクルマになった。それからは乗れば乗るほど、走れば走るほどに印象が好転していった。味わいが染み出てくる。これが2日3日、ひと月1年と共にしていくと、離れられない相棒になるような予感がする。

齋藤 ボディにしても脚にしてもタイヤにしてもキャパシティがほんとうにデカイ。その実力のほんの一部分しか使わないような大人しいチョイ乗りでは、その器の大きさが裏に隠れてしまう。ところが、あれこれやっているうちにいくらでもこちらの要求に応えてくれることがわかってくる。脚の良さ、それを支えているボディの高い剛性、タフなブレーキといった走らせてナンボの部分がじわじわと表に出てくるんだよね。中身が本物なんですよ。高速道路とか、山道を走らせたら、クラス随一なんじゃないでしょうか。



スズキ ぼくはクアドリフォリオ・ヴェルデから乗ったんだけど、クセがあるよね。パツンと唐突ぎみに繋がるクラッチとかね。インテリアには好感をもったよ。誰にも似てない。トグル・スイッチ風の工夫とかね。いろいろとデザインに気を遣っている。300万円とか400万円のクルマに見えるものになっているし。走らせては、たしかにもさっとしてるなと思った。Nで走っていたからね。今のエンジンはこういうものなのかぁと考えながら走っていた。ところが、Dに切り替えたら俄然勇猛になって、トルクステアは出るわ、あっという間にスピードは出ちゃうわで、印象が一変した。かなり速いね、1750は。しかも、昔と違って掛け値なしに速い。クラッチもクセを飲み込んでしまえば扱いは容易だし、シフト・レバーもスムーズだしで、運転は楽だね。クラッチ・ペダルの左側にスペースがなくて左足の置き場にちょっと困るぐらいかな。

シート表皮はすべて革。調整は電動式。(1750TBi クアドリフォリオ・ヴェルデ)

村上 第一印象がヴィヴィッドじゃないんですよ。ところが、ジュリエッタはなんといっても脚がイイ。とくにリアのスタビリティが猛烈に高い。ロード・ホールディングが抜きん出てイイ。だから、鼻先が入っていったときの安心感が絶大。高速コーナーをあんなに気持ちよく綺麗に走れるクルマはそうそうないんじゃないですか。

スズキ こともなげに速い。リアのグリップはたしかにすごい。後ろについて走るとわかるけど、内輪が最後まで貼り付いている。ロールも少ないよねぇ。突っ張る感じは微塵もないのに傾かない。無意識に自然に運転していて速い。この安定感の高さは1.4にはさらに顕著だった。

村上 コーナリングの姿勢が気持ちいい。あぁ、イイなぁと思う。

スズキ 山道をひとしきり走ってから降りてタイヤを見ると、前後とも綺麗に使って走っていたことが分かる。接地面の具合とか、温度とかでね。脚がイイのはもう間違いない。

齋藤 そうですよねぇ。



スズキ 昔のアルファの平行ロールの感じを思い出すなぁ。ダイヤゴナルな、対角線を軸にロールする感じがぜんぜんない。素晴らしく気持ちのいいハンドリング・マシンだ。そのポテンシャルを引き出して走っている間中ずっと、どこかで爽快感が続いている。クルマを降りてしみじみ、「これは断然スポーティだな」と感じ入ったなぁ。このクラスの試金石たるゴルフと明瞭に性格は違うけれど、その対抗馬になるね、アルファのジュリエッタは。アウディのA3はどうだろうね。

齋藤 そろそろフルチェンジですかね。ゴルフ7世代の新型プラットフォームが先行して出てくることになるわけですけど、それと比べられても、ジュリエッタには十分な対抗力があるんじゃないでしょうか。それぐらいデキがいいと思います。シャシーが速い。ジュリエッタは、それだけで感動があります。



スズキ 退屈しないんだよね、ジュリエッタは。山道の走りはとにかく素晴らしかった。

齋藤 腰を低く沈めたまま、スウーッと走り抜ける。快感に直結するようなコーナリングとでもいえばいいんでしょうか。恋にも落ちるはずです。

スズキ 平然と座ったまま、爽やかに駆け抜けるんだよ。

齋藤 とりわけホールド性能に優れるわけでもないシートなのに、身体が揺すられない。そうとうな横Gが出るにもかかわらずです。タイヤの持てる能力を根こそぎ引き出しているような速さなのに、不思議です。動きが静かなんでしょうね。

スズキ アルファ・ロメオはなかなかスゴイね。

齋藤 考えてみたら、フィアット傘下に入って初めてですよね。アルファ・ロメオ用主導でプラットフォームが新規で起こされたのは。これまでずっと流用だったり、相手のある共同開発だったりで、本当に好きに開発できたことはなかったんじゃないかと思います。いろいろと足かせを嵌められて。彼らにしてみれば、溜飲が下がる思いをしたんじゃないでしょうか。このジュリエッタで。

村上 待ちに待ったアルファ・ロメオが、いいクルマで良かった!

話す人=鈴木正文+村上政+齋藤浩之(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦


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■アルファ・ロメオ・ジュリエッタ1.4TBコンペティツィオーネTCT
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4351×1798×1465mm
ホイールベース 2634mm
トレッド 前/後  1554/1554mm
車両重量  1280kg
エンジン形式  ターボ過給直列4気筒マルチエア16バルブ
総排気量  1368cc
最高出力  170ps/5500rpm
最大トルク  25.4kgm/2500rpm
変速機  デュアル・クラッチ式6段変速機
サスペンション 前 マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ 前/後  通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前/後  225/45R17

■アルファ・ロメオ・ジュリエッタ1750TBiクアドリフォリオ・ヴェルデ
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4351×1798×1465mm
ホイールベース 2634mm
トレッド 前/後  1554/1554mm
車両重量  1320kg
エンジン形式  ターボ過給直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量  1742cc
最高出力  235ps/5500rpm
最大トルク  34.6kgm/1900rpm
変速機  6段マニュアル・ギアボックス
サスペンション 前 マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション 後 マルチリンク/コイル
ブレーキ 前/後  通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前/後  225/45R18

(ENGINE2012年2月号)

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