405馬力のV6を追い回せるゆったりと走りはじめた時の第一印象は「拍子抜けするほど静か」だった。よく吠えるV6と比べると、「史上最強の4気筒エンジンはどこに行った?」という感じ。ATの変速マナーも洗練されている印象を受けた。一方「4 気筒を搭載している!」という思い込みを抜きにしても、車体後半が明らかに軽く、カチッとしている感じも伝わってくる。2周ほどした後、スロットルを深く踏み込んでみた。キックダウンとともに野太くなる排気音。その加速は脱兎のごとくという感じだが、それでもまだシャシーには余裕がある感じで、スピードが100マイルを超えてもまったく不安はなかった。
今回の試乗車には硬めのアイバッハ・スプリングとミシュラン・パイロット・スポーツ・カップ2を含むスポーツパックが組み込まれており、直線のみならずコーナーでも驚くほど速かった。そのポテンシャルは、必死に走るエミーラのV6モデルを余裕で追い回すことができるほどだったのである。これまでエミーラi4は、ただエンジンをV6から変更しただけと思われていたが、実際は色々と違っていた。中でもリアのサブ・フレームが、初代エリーゼからエミーラV6まで続いた鋼板溶接のボックス構造ではなく、初めてアルミ鋳造品に置き換えられた点は特筆すべきだろう。またサブ・フレーム変更に伴い、リアのロワーアームもスパンが若干長い専用品に変わっている。
強固なリア構造と重心の低いi4パワートレーンの効果はてきめんで、i4はV6のMTモデルに比べてクルマがひとまわり小さく引き締まっているような印象を受けた。また車格こそ変わってしまっているが、i4のエミーラは、エリーゼの後継と言える運動性能の持ち主だったのである。ついに登場したエミーラi4。AMGユニットの最高出力が抑えられたことが、いい意味でロータスらしいシャシー・ファスターのドライブ・フィールに貢献できていると感じられた。ロータス最後のガソリン車は傑作だ! それは間違いない事実である。
文=吉田拓生 写真=ロータス・カーズ
■ロータス・エミーラi4ファースト・エディション駆動方式 ミドシップ横置きエンジン後輪駆動全長×全幅×全高 4413×1895×1226mmホイールベース 2575mm車両重量 1405kgエンジン形式 水冷直列4気筒DOHCターボ総排気量 1991cc最高出力 365ps/7200rpm最大トルク 43.8kgm/3000-5500rpmトランスミッション デュアルクラッチ式8段自動MTサスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイルサスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイルタイヤサイズ(前) 245/35R20タイヤサイズ(後) 295/30R20ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク車両本体価格 1661万円(ENGINE2023年11月号)
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