2023.10.28

CARS

「見た目はまるでロボコップ!」 こんなデザイン、日本車にはない ヒョンデ・コナに韓国の公道で試乗!!

先日訪れた欧州で、はっと目を惹くのはお隣、韓国の多彩なデザインのクルマたちだった。中でもとびきり強いインパクトをもたらすヒョンデの最新作、コナのEVに韓国・高陽と仁川間の約100kmを試乗する機会を得た。 エンジン編集部のウエダがリポートする。

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強烈な印象を周囲に与えるクルマ


ヒョンデの日本における再スタートを飾ったアイオニック5は、かなり攻めたエクステリアのスタイリングで物議を醸した。そしてBEV第2弾となる新型コナもまた、かなり強烈な印象を周囲に与えるクルマだ。



はじめて新しいコナを目にしたのは、韓国・高陽(コヤン)にあるヒョンデの巨大パビリオン、モータースタジオ。真っ黒な車体と、LEDを横一文字に配したマスクは、まるで宇宙刑事ギャバンや、その影響を受けたとされるロボコップみたいだった。2021年に登場したミニバン、スターリアが嚆矢となった、ヒョンデがシームレス・ホリゾン・ランプと呼ぶこのスタイルは、22年登場のアゼーラ(旧名グレンジャー)や最新のソナタも採用。今のヒョンデの顔の1つとなりつつある。欧州ではもちろん、登場から時間の経った韓国内でもいまだ新鮮で、漆黒のスターリアやコナなど路上での押しの強さは相当なものだ。

強烈な外観に対し、室内はとにかく実用的で機械式スイッチを多く残し直感的に操作できる。ステアリングもほぼ真円だ。


コナは前輪駆動の都市型クロスオーバーSUVとして初代モデルが17年にデビューしており、これが2代目となる。もともと同じボディでBEV、ICE、ハイブリッドと多彩なパワートレインを展開しており、この車種展開も踏襲。ただしK3という新しいプラットフォームはBEV優先で開発されたもので、リアの足まわりをBEVのみトーションビームからマルチリンクとするなど、造り分けはかなり手が込んでいる。

ヒョンデは今のところ日本へBEV以外のコナを導入する予定はない。開発チームによれば、仮想敵はやはり中国BYDのアット3だという。



4.3m級で1.7tの車体も、150kWのモーター出力も、64.8kWhの電池容量も500km弱の航続距離も、スペックは両者ほぼ横並びだ。

無国籍なアット3に対し、コナの見た目は大きなアドバンテージだ。さらにコナには一部パワートレイン用に、前後オーバーフェンダーが樹脂になる、よりワイルドで、ロボコップ顔がさらに活きる仕立てもある。ほぼ車体の塗り分けのみで見事に印象を変えるこのスタイリングは、アイオニック5以上に攻めている。

後席は広く快適で足元は真っ平ら。


ここまでやるか

コナの最新BEVとしての充実ぶりは正直驚異的だ。満載の先進運転支援システムをはじめ、カメラ映像に拡張現実を組み合わせたナビ、車内外へ電力供給するV2Lなど、およそ考えられるありとあらゆる先端技術とトレンドがこのクルマには込められている。試乗車は左ハンドルでオールシーズン・タイヤを履き、充電規格はCCS1だが、今秋導入の日本仕様は右ハンドルとサマー・タイヤでチャデモに対応。大型の充電リッドの専用マスクも用意する。車両保証も、アイオニック5と同等の新車時から3年の点検、車検費用までもカバーする上、バンパーやタイヤなど外装損傷時のケアを部位毎に一定額まで可能にするサポート・プログラムも用意。いやはやここまでやるか。まさに万全の体制である。

試乗路の大半は片側4車線の高速道路。基本隊列を組んで走るが先導車は元気いっぱいで、前が空けば加速につぐ加速。合流路も時々あるから、まずは運転に集中するしかない。

でも、そのおかげで、僕にはコナの表層のすぐ見える無数のテクノロジーより、むしろクルマとしての本質の部分の方が際立って感じとれた。



まずもって運転姿勢がいい。身体に無理な緊張を強いるところがない。もしや左ハンドルだけかと思い後で確認したが右も遜色なし。前も後ろも、おおぶりなシートに支えられる身体は細かく揺さぶられず、長く乗っても疲労が積み重ならない。前席は、充電時など安楽に過ごせる、いわばまったりモードもある。強烈な外観もそうだけれど、こうした遊び心のある提案がオモシロイ。

思い返せばEU統合前の彼の地の小型車もこんな感じだった。見た目は癖が強く、でも実用面と高速巡航能力は外さず、シート・アレンジをはじめ洒落や工夫があった。外観の個性は今の欧州車も遜色ないと思う。でも遊び心が減り、ここまで細やかに日本市場に対応する心意気は悲しいかな感じられないことも多い。

ヒョンデ・コナは先入観をいったん横に置いて、自らの目で見て確かめて理解しようとする価値が、十二分にあるクルマだと思う。

■ヒョンデ・コナ・エレクトリック(韓国仕様)
駆動方式 フロント1モーター前輪駆動
全長×全幅×全高 4355×1825×1575mm
ホイールベース 2660mm
トレッド(前/後) 1591/1600mm
車両重量 1740kg
バッテリー(総電力量) リチウムイオン(64.8kWh・ロングレンジ)
一充電走行可能距離 490km(WLTP推定値)
最高出力 150kW
最大トルク 255Nm
トランスミッション 1段
サスペンション(前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
タイヤサイズ(前後) 235/45R19
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
車両本体価格 未定

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=ヒョンデ・モビリティ・ジャパン

(ENGINE2023年11月号)

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