2023.12.25

CARS

【保存版】最終モデルに宮古島で試乗 俄然中古車が気になるようになってきたガヤルドは、どんなランボルギーニだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ/ランボルギーニ篇】

中古車がいい味になってきたランボルギーニ・ガヤルドLP560-4。

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回取り上げるランボルギーニ篇は、中古車市場でいまだに人気の高いガヤルドの最終モデルの記事だ。ランボルギーニ自ら“ファイナル・ガヤルド”と謳うフェイスリフト版の登場から半年後の、2013年6月号のリポートをお送りしよう。クリスマスの夜に、夏の宮古島を舞台にした試乗記(笑)。南の島で乗った熟成の極みにあるファイティング・ブルはどうだったのか。

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「フェイスリフトしたランボルギーニ・ガヤルドに宮古島で乗る 飛ばさなくても気持ちいい」ENGINE 2013年6月号

高速道路も峠道もサーキットもない南の島で、ガヤルドのようなスーパー・スポーツカーに試乗していったいなにが分るのだろう。正直言って、宮古島を舞台にした新型ガヤルドの試乗会に招かれた時には、少々戸惑いを感じたものだ。しかし実際に行ってみれば、春とはいえもはや初夏に近い気候の南の島でスーパー・スポーツカーを流すのも風情があるもので、走り始めてすぐに、まったりとした空気になじんでしまった。

正確に言うと、昨年9月のパリ・サロンでフェイスリフトしたのは4WD モデルのLP560-4のクーペ(写真の白いボディ)とスパイダー(青いボディ)で、後輪駆動モデルのLP550-2(黒いボディ)はキャリーオーバーになっている。


とにかく、飛ばさなくても気持ちいいのだ。とりわけ、スパイダーの魅力は、こういう環境の中では絶大で、オープンにしてエグゾースト・ノートと風の音を聞きながら走っていると、ああ、もうこのまますべてを捨てて南の島で生きていきたい、という誘惑に搦めとられそうになる。

それにしても、ガヤルドもずいぶんと乗り心地が良くなったものである。10年前にデビューした頃には、見た目が切れ味鋭いナイフでスパッと切り取ったようにシャープなら、乗り味もシャープそのもので、足まわりは思い切り固められていた。どんなにゆっくり走っていても、ステアリングを握っているだけで常にヒリヒリするような緊張感があった。それがこんなにまったりした気分で乗れるようになるなんて、これぞ10年間の熟成というものだな、などと考えるともなしに考えながらユルユル走っていたら、伴走車のカメラマンから、もっと距離を詰めるようにと指示する声が無線で飛んできて、夢見心地から現実に引き戻された。





そうだ、こんなところでまったりしている場合ではない。やっぱり、ファイティング・ブルはファイトしてこそ、その本領が発揮できるというものだろう。引っ張りの撮影を終えると、今度は白いLP560-4のクーペに乗り換えて、思いっきり走れる道を探すことにしたのである。

飛ばせばもっと気持ちいい


白いクーペは、リゾート仕様のような白いレザーの内装を持つスパイダーとは違って、シートもアルカンタラを使ったフルバケット風のものが備えられており、やる気マンマンの雰囲気を漂わせていた。

しかし、走り出してみると、これまた記憶の中の10年前のガヤルドに比べたら格段に洗練された乗り味を持っており、これならデート・カーとしても十分に使えると思えるくらい乗り心地も良かったのである。



兄弟車とも言うべきアウディR8が今度の新型からトランスミッションをツイン・クラッチ式自動MTに換装したのに対して、こちらは10年前から使うシングル・クラッチ式自動MTのままだ。それでも、その繋がりのスムーズさは10年で格段に進歩しており、かつての低速時のギクシャク感はまったくなくなっている。

どうやら、ガヤルドは10年の熟成を経て、スパイダーもクーペも、飛ばさなくても気持ちいいクルマへと進化したということがわかってきた。



でも、飛ばしたらどうかということも知りたい。ついに発見したのは、アップ・ダウンのある適度なコーナーが続く海岸沿いの道だった。ほかのクルマがいないのをいいことに、アクセレレーターを踏む足に力を込める。と、それまで唸るような低音を背後から響かせていたV10が、突如、猛獣の雄叫びを上げたかと思ったら、4本のタイヤが路面を引っ掻くようにして凄まじい加速が始まった。まるで道路を抱くような低い姿勢からくる安定感がすごい。コーナリング時もほとんどロールする感じがなく、まるでレールに乗っているかのように正確にコーナーを駆け抜けていく。ハンドリングの洗練度も確実に増している。新型ガヤルドは飛ばさなくても気持ちいいけれど、飛ばせばもっと気持ちいいのだ。

次に2WDモデルにも乗ってみた。これはこれで荒々しさを残している感じが悪くない。しかしそうだとしても最終型の熟成ぶりには大いなる価値がある、と南の島で私は思った。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=ランボルギーニ・ジャパン

■ガヤルドLP560-4
駆動方式 エンジン・ミド縦置き4WD
全長×全幅×全高 4345×1900×1165mm
ホイールベース 2560mm
車両重量 1610kg
エンジン形式 アルミ製V10気筒DOHC 40バルブ
排気量 5204cc
ボア×ストローク 84.5×92.8mm
最高出力 560ps/8000rpm
最大トルク 55.1kgm/6500rpm
トランスミッション 6段自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ (前後)通気冷却ディスク
タイヤ (前)235/35ZR19、(後)295/30ZR19
車両本体価格 2476万4250円

■ガヤルドLP550-2
駆動方式 エンジン・ミド縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4345×1900×1165mm
ホイールベース 2560mm
車両重量 1580kg
エンジン形式 アルミ製V10気筒DOHC 40バルブ
排気量 5204cc
ボア×ストローク 84.5×92.8mm
最高出力 550ps/8000rpm
最大トルク 55.1kgm/6500rpm
トランスミッション 6段自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ (前後)通気冷却ディスク
タイヤ (前)235/35ZR19、(後)295/30ZR19
車両本体価格 2364万9150円

(ENGINE2013年6月号)

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