2023.10.21

CARS

国沢光宏、大井貴之、これがダブル還暦の走りだ! メディア対抗レース優勝は20代選手との連係プレーで

4年振りに9月開催の4時間レースに戻って開催された第34回メディア対抗ロードスターレース。雑誌ENGINEチームは、モータージャーナリストの国沢光宏と大井貴之、そして村上編集長とで例年参戦しているが、今年は村上編集長が欠場という大ピンチに。しかし、ラリードライバー鎌田卓麻選手と新たに加わった20代の若手ドライバー2人が頼もしい走りを繋ぎ、結果はなんと、5年振り3度目の優勝を勝ち取った。その感動の戦いを大井貴之のリポートでお届けする。

編集長不在のレース

初代ロードスターがデビューした1989年から年に一度のお祭りとして開催されているメディア4耐は第34回(1年だけ開催出来ない年があった)を迎えた。今年も自動車雑誌をはじめとする自動車関連メディアが19台。そしてロードスターの開発陣で編成された「人馬一体ロードスター」と、ブリヂストンチームが加わった21台。

我らがENGINEチームは、今年も村上編集長率いるいつものメンバーで参戦する予定だったが、編集長に急遽海外出張の予定が入ってしまい代役として二人の若手がエントリー。最近は若手と言いながらアラフォーだったりするパターンが多いのだが、一人はエンジン編集部で仕事をする村山くん23歳。もう一人はENGINE Premium ClubでコラボしているHCギャラリーの大田くん26歳。


若手ドライバー2名の名前を入れた「お守り」シールを貼り付けた。

26歳は1997年生まれ。2代目ロードスターであるNB型の登場はその翌年である。筆者がベストモータリング・チームとして参戦し優勝した第一回大会が開催された1989年となると、二人とも生まれていないどころかご両親が出会ってさえもいないかも知れない。これが歳を取るということか。



さて、予選。ドライ・コンディションでの予選を想定していたが、ウエットからドライに転じるかどうかが微妙な難しいコンディション。ウエット路面であればタイヤの空気圧は上げる。ロードスターの指定空気圧は200kPaだが、ウエット路面では2倍の400kPaまで上げる場合もある。悩んだ結果、温度が上がっても400kPaを超えないであろう350kPaで勝負!

しかし、今年もロードスター使い梅田選手にポールポジションを奪われてしまった。というと2番手のように聞こえるかもしれないが、元気の良いeスポーツ・ドライバーに負けただけでなく、ピットイン時にホワイトラインをカットしてしまったらしく、ベストタイム抹消。まさかの9番手というグリッド。



初参戦の大田選手で決勝スタート!

そして決勝。いつもは村上編集長が務めるスタート・ドライバーはHCギャラリーの大田選手が担当。大田選手は豊富なレース経験を持つドライバーのようだが、頑張り過ぎて失敗しちゃうのも若者の特権。ある程度の覚悟はしていたのだが、若いくせに冷静。ペース自体も良かったが、ターゲット燃費を0.1km/リッターを上回る優秀さ。いつもならペースが遅いうえに燃料も……否、そういう話はやめておきましょう。

決勝スタート。いつもは先頭集団のENGINE号はどこだ……?


スタートから約50分。ハンディキャップの1分を消化しバトンタッチしたのは村山選手。レース経験は無いが、自前のロードスターでサーキットも走っているというロードスター・フリーク。燃費を伸ばすドライビングもイメージ出来ているようだったが、単なる頭デッカチである可能性も覚悟しなければならない。しかし、26歳に続いて23歳も想定以上。もちろん、ペース的には大田選手ほどでは無かったもののおじさん達の期待を上回るペースで50分を走破。



3番目のドライバーは鎌田選手。全日本ラリーではスバルの看板を背負って走る生粋のプロドライバーだけに今年は助っ人枠。許された連続走行時間は、40分間と他のドライバーより10分間少ない。ENGINEチームは50分ドライバーが4名と40分ドライバー1名というドライバー編成なので、ドライバーチェンジの2分間停車義務、そして給油時の3分間停車義務、そしてハンディキャップの1分間を合計した7分間は余裕が出来るとはいえ、全員が走行時間枠をフルに走らないと4時間、240分に達しない。

まあ、逆に言えば細かいことを考えなくてもOKとも言えるのだが、レース・スタートから2時間、鎌田選手がまだ20分程度しか走っていない状態でグラベル・ストップした車両を回収するためのセーフティカー(SC)が入った。塩澤監督、ここでピットインし給油作業をすることを決断!



国沢選手が本領発揮!!

4番目のドライバー国沢選手にバトンタッチ。規定の3分間が経過したと同時にピットロード出口のシグナルがグリーンに! 最高のタイミングでスタート出来た国沢選手はすぐにSCの隊列に追いついた。ほぼ1Lapのロスで3分間の給油を済ませることが出来たことになる。レースが再開したタイミングで給油のためのピットストップをするライバルたちを横目にENGINE号は快走。みるみるうちにトップに躍り出た!

そして筆者の出番。通常はアンカーを務めているのだが、今回はチェッカーまで10分少々足りない。しかも4脱疑惑! もう一回4脱したらペナルティを食らうと厳しい口調の無線が入るが4脱した記憶は無い。


塩澤「タワーに証拠写真があるよ」
大井「それでもボクはやってない!」

無意味な議論をしながらトップで大田選手にバトンタッチ。とにかく燃費をセーブしろ! 否このままで大丈夫! もっとペースを上げなきゃ追いつかれる! 滅茶苦茶な指示が飛ぶ中、大田選手は見事にREVSPEEDチームの猛追を振り切ってトップチェッカーを受けた。

急遽アンカーを走ることになった大田選手の出走。行け〜〜!!

チェッカーまであと10分。優勝かガス欠か。ピットでは緊張が続く

13号車 ENGINE ROADSTER トップチェッカー!





ENGINEチーム・メンバー紹介


■第1・第6ドライバー:大田優希選手

思いがけず舞い込んできたメディア4耐、まさかの初参戦で最初と最後のスティントを任されるという展開に、ドキドキハラハラの連続でした。スタート時はキョロキョロと周りを見すぎて、ポジションや燃費は二の次になってしまったり……。なんとかトップチェッカーを受けられたけれど、反省点もいっぱいです!

第1・第6ドライバー 大田優希

■第2ドライバー:村山雄哉選手

4耐どころかJAF戦も初めてなのに、心強いチームメイトの皆さんと最高の思い出を作ることができた。ND型ロードスターでサーキットは初めてで戸惑いもあったけれど、周回ごとにタイムと順位を着々と伸ばすことができたから、初としては合格点? でもドライビングは課題も山積! 来年までにもっと練習してきます!

第2ドライバー 村山雄哉

 ■第3ドライバー:鎌田卓麻選手

今年は村上編集長が出張で欠席ということで新人ドライバー2人と一緒に戦う事になり、正直「メディア4耐はそんなにポッと出てきて成績がでるほどあまくない」と思っていたわけです。それがスタートしてみるあれよあれよと順位を上げ優勝! モータースポーツはスタートしてみなきゃわかりませんね!

第3ドライバー 鎌田卓麻

■第4ドライバー:国沢光宏選手

今回のハンディストップは1分間。しかも編集部員ドライバーの村山選手はレース筆下ろし。上位に入れたら大成功だと思っていたのに、4番手ドライバーの私が運転中、表示版の一番上に13番。しかもガソリン残量も余裕。こんな簡単に勝てちゃったことはありませんでした。

第4ドライバー 国沢光宏

■第5ドライバー:大井貴之選手

今年もポールポジションを獲得出来ないどころか9位。ダメな予選と素晴らしい決勝の模様は筆者のYouTubeチャンネルにアップしてあるので是非ご覧ください(@ohisanで検索)。また来年も懲りずに予選ドライバーに立候補するつもりだが、そろそろ目指す1位を予選タイムではなく参加回数に切り替えようか。

第5ドライバー 大井貴之

■チーム監督:塩澤則浩


村上編集長が不在の4耐ははじめてだったが、まさか優勝するとは(笑)。これは編集長の穴を埋めたふたりの若手の活躍と、いつもより短いハンディキャップのピットストップのおかげもあるけれど、やはりメンバー全員の総合力で優っていたことが大きい。最後は運さえも味方にするんだから大したもんである。

監督 塩澤則浩

チェッカー後、バトンを繋いだ選手全員で記念撮影。経験の浅い若手から歴戦の大ベテランまで、みんながいい汗をかいた。振り返ってみると、65歳の国沢選手は歴代最年長の、そして23歳の村山選手は最年少のメディア4耐優勝ドライバーなのだ。今年もレース車両を無事に返却することができてホッ。筑波サーキットに駆けつけて、また配信画面の向こう側で、たくさんの応援をありがとうございました。

▼決勝の戦いと4脱疑惑の真偽はYouTubeチャンネル「クルマで遊ぼう!大井貴之のSport Driving Labo.」でどうぞ!



文=大井貴之 写真=神村 聖

(ENGINE WEBオリジナル)

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