2024.03.03

CARS

ルーフを開けても閉めてもスタイルは完璧に美しい! カリフォルニアから生まれ変わったポルトフィーノは、どんなフェラーリだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ/フェラーリ篇】

カリフォルニアから生まれ変わったフェラーリ・ポルトフィーノに南イタリアで試乗(2018年5月号)

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中古車バイヤーズガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は、2018年5月号に掲載したフェラーリ・ポルトフィーノの国際試乗会のリポートを取り上げる。カリフォルニアの登場から10年、2017年のフランクフルト・モーターショウで後継者としてデビューした、その名もポルトフィーノ。果たして、その走りは?


某ファッション誌編集長が乗っていた黒いカリフォルニア

フロントにV8エンジンを搭載し、リトラクタブル・ハードトップを採用した、2重の意味で初のフェラーリとしてカリフォルニアが登場したのは2008年のことだった。その後、2014年にはターボ・エンジンを搭載するカリフォルニアTへと進化し、V8ミドシップや12気筒FRのスポーツ・モデルとは違う、日常性の高いエブリデイ・フェラーリとして人気を博してきたわけだが、それにしても、このクルマのオーナーの70%までもが新規顧客だったという話にはちょっと驚かされた。

エアロダイナミクスを考慮して、開口部を増したフロント・マスク。ヘッド・ライトの脇にもスリット状のエア・ダクトがある。


これは今回、南イタリアのバーリ近郊で開かれたポルトフィーノの国際試乗会のプレス・コンファレンスの冒頭、マーケティング担当者が明かした数字で、実はまだ続きがある。カリフォルニア・シリーズは、スポーツ・モデルに比べて通勤などで日常的に利用されている割合が1.5倍も高く、そのうち85%の人が休日にもドライブに使い、さらに全体の30%の人が子供を乗せるなどしてリア・シートを常用しているというのである。「えっ、あの狭いシートに子供とはいえ乗せているの?」と俄かには信じ難い気もしたのだが、その時、ある光景が私の脳裏に浮かんで思わず膝を打った。

GTC4ルッソと共通するテイストを持つポルトフィーノの内装。


数年前のことだ。私が住む新宿区の早稲田駅前には小学生向けの有名な塾があるが、その近くを通りがかると、黒いカリフォルニアが屋根を開けて颯爽と坂道を下ってきて、塾が入るビルの前に停車した。で、思わず注視してしまったのだが、なんとご本人も黒一色の出で立ちで降りてきたのは顔見知りの某ファッション誌編集長。リア・シートに乗せた子供を塾に送って来たのだと分かり、「うわっ、アイツなかなかやるなぁ」といたく感心した次第だ。今にして思えば、あれは彼にとって初のフェラーリだったはずで、絵に描いたような典型的カリフォルニア・オーナーが私の周りにもいたのである。

それはともかく、これらの数字はまさにフェラーリの目論見通りなのだそうで、これまでとは違うタイプの新規顧客を獲得したことで、カリフォルニア・シリーズは彼らのロード・カーの歴史に成功モデルとして刻まれる栄誉を得たというわけだ。

3.9リッターV8ツインターボは室内にめり込むようにして搭載される。


となれば、その後継車たるポルトフィーノに課された役割は、さらなる新規顧客の獲得と、これまでに付いた顧客の繋ぎ止め、ということになるだろう。そのためにフェラーリが打ち出した戦略は、日常性、多用途性、ラグジュアリー性をさらに向上させながら、ダイナミック性能を大幅に進化させ、「並外れたパフォーマンスと極上の快適性というかけ離れた特性を、前例のないレベルで融合させ」(プレス・リリースより)ることだったのである。


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