2023.11.23

LIFESTYLE

大好評、ファッション好きは見逃せない! 国立新美術館で開催中のイヴ・サンローラン展に見るエレガンス

オフィスでのイヴ・サンローラン、パリのマルソー大通り5番地のスタジオにて、1986年 (c)Droits reserves

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2008年の没後、日本で初めてとなるイヴ・サンローランの大回顧展が12月11まで東京・六本木の国立新美術館で開催されている。「エンジン」のファッション・ディレクターを務めるスタイリストの祐真朋樹氏が、その魅力の源泉を伝える。

数々のエポックメイキングな業績


僕にとって、「イヴ・サンローラン」はエレガンスの代名詞である。「エレガンス」という言葉を聞けば、僕の頭には即座にサンローランのビジュアルが浮かんでくる。そんなイヴ・サンローランの幼少期から引退までの記録が、彼の作り出した膨大な作品と共に、今、国立新美術館に展示されている。写真や作品群はテーマごとに展示され、見る者の目と心を惹き付けてやまない。



まず入口で出迎えてくれるのは、サンローランの美しいポートレート。女性のためのスモーキングジャケットやアートとファッションを融合させたモンドリアン・ドレス、プレタポルテを世に知らしめた〈サンローラン リヴ・ゴーシュ〉…などなど、数々のエポックメイキングな業績を残した彼だが、今では珍しくもない、デザイナー自身が広告塔になるということを実践したデザイナーでもあった。彼のポートレートを見ていると、彼のエレガンスが最も強く表れているのは、彼自身のビジュアルではないかとさえ思えてくる。




目の前にいたサンローラン

2000年、エディ・スリマンがディオール・オムのデビューコレクションを発表した時に、僕はショー会場でサンローラン氏の真後ろにいた。おそらく60代も半ばにさしかかっていただろう。高齢ではあったが、ブラックスーツに白いシャツ、そして黒いタイにトレードマークの黒縁メガネ。ファーストロウやバックステージで見た彼は、並々ならぬオーラを放っていた。その立ち居振る舞いや漏れ聞こえてくる彼の声、そのすべてが「エレガンスとは何か」を教えてくれるような気がした。


会場に展示されている服やデッサンを見れば、彼が残したものがいかに偉大であったかがよくわかる。でも彼の創作のその裏で、彼にどんな苦悩や葛藤があったかを知るには、共に2014年に公開された映画、『イヴ・サンローラン』と『SAINTLAURENT/サンローラン』を見ることを勧める。彼のナイーブな面が多々描かれ、精神的な逆境を乗り越えてのこの偉業だったことがよくわかる。

全身全霊でファッションと向き合ってその生涯を終えたイヴ・サンローラン。彼の人生に触れて、改めて身が引き締まる思いがした展覧会であった。



文=祐真朋樹

■『イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル』は12月11日まで東京・六本木の国立新美術館 企画展示室1E で開催中 詳細は展覧会ホームページにて https://ysl2023.jp お問い合わせはハローダイヤル Tel.050-5541-8600


(ENGINE2023年12月号)

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