2023.11.27

LIFESTYLE

クルマの内装は全部これになる!? 本革に替わる素材になるか? ピーナッツやコーヒー豆を使ったヴィーガン・レザーの未来

エコの視点から拡大しつつあるヴィーガン・レザー。技術の進化で植物由来素材の品質は高まる一方。その将来性についてSDGsの専門家と共に考えてみた。

人類が最初期に獲得したリサイクル

人類とレザーのつながりは長く深い。旧石器時代から食料のために動物を狩り、剥いだ皮をまとって寒さを防いできた。だが皮は固く、色を塗ることもできない。より使いやすくするために、紀元前3000年頃に植物の汁による「なめし」加工が開発された。これが、皮が革という素材に生まれ変わる出発点だった。

やがて計画的な肉食のために牛や豚を育て、移動手段のために馬を飼うようになると皮革はさらに身近になる。

「食べる肉の革を使うことは、資源を再利用するという観点で意味があります」

そう語るのは伊藤忠ファッションシステム未来研究所の山下徹也さん。確かに革は人類が最初期に獲得したリサイクルのひとつといえる。とはいえ、現代では革のみを採取するために犠牲になる動物が多いのが実態だ。残酷と忌避するだけでなく、アニマル・ウェルフェアから問題視する視点が浸透しつつある。また安価なクロムでのなめしが人体に害を与えるというデータも見逃せない。

通常であれば廃棄される落花生の薄皮を使用。柏レザー http://kashiwaleather.jp/



リアル・レザーに比べて遜色がない?

そういった流れへのアンチテーゼとして、近年はヴィーガン・レザーの研究が進んでいる。もともと一切肉を摂らない食習慣から来た言葉だが、皮革製品では植物由来のものを指す。たとえば日本の柏レザーが開発したものは千葉県産のピーナッツが材料。特産である落花生の薄皮を再利用し、地産地消に取り組む。フォルクスワーゲンはEVのインテリアとして、焙煎後のコーヒー豆をリサイクルした素材の研究を進めている。Re:nne(輪廻)ではメキシコで加工されたサボテン由来の素材による小物が好評だ。

どれも質感はかなり本物に近く、リアル・レザーと比べても遜色がない出来栄え。今後、さらに他の素材でも増えてくる予感を抱かせる。素材の選択肢が増えることを歓迎しつつ、山下さんは次のような指摘をする。





「本物の革には経年変化という特徴があります。つまりいいレザーは使い込むほどに味わいが生まれ、愛着がわくもの。結果的に長く使えるわけですから、エコロジカルといえますよね」

人との付き合いが始まったばかりのヴィーガン・レザーが次代の主流となるのか。その鍵は時と共に増す魅力のポテンシャルを秘めているかどうかにありそうだ。

文=酒向充英(KATANA)

(ENGINE2023年12月号)

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement