2024.01.07

CARS

さすがは元航空機メーカー、空飛ぶクルマも本気 【ジャパン・モビリティショー回顧録:スバル篇】

2023年に開催されたジャパン・モビリティショー2023は、前回の東京モーターショーから4年ぶりということもさることながら、名称とコンセプトを新たにしたことで大きな注目を集めた。ここでは無事成功裏に終わったジャパン・モビリティショー2023をメーカー別に振り返る。今回は第6弾として、陸だけでなく空にも強いスバルにスポットを当ててみた。

電動化でもスバルらしさを

スバルといえば、ボクサーと呼ばれる水平対向エンジンと全輪駆動技術によるシンメトリカルAWDや、WRCで培ったスポーツ・モデルのイメージが根強い。しかし、時代の趨勢に合わせた電動化は不可避だ。もちろん、自社初の電気自動車=バッテリーEV(BEV)である「ソルテラ」の導入など、電動化への道を歩みつつあるが、ジャパン・モビリティショー2023では電動化時代のスバルらしい未来を提案し、会場をアッと言わせた。



SUV風のスポーツ・クーペ

地に足のついた未来を示したのが、「スポーツ・モビリティ・コンセプト」だ。地上高の高いクーペ・ボディで、「ドライバーを中心に、4輪を意のままにコントロールするイメージ」を基本として、「低く座りながらも視界と見切りの良さを確保することで、安心して走りを愉しめるパッケージング」を構築したという。メカニズムに関する情報は未公開ながら、4WDの採用は確実視される。

デザインについては、4輪を強調したフェンダーの張り出しがスバルらしい。ボディ・パネルは面の数やキャラクターラインを極力減らし、「張りのあるクリーンな立体でプロテクション感と空気の流れを感じさせる」造形を目指したという。



空飛ぶクルマの提案

そのスポーツ・モビリティ・コンセプトを見下ろすようにブース奥から出現したのが「エア・モビリティ・コンセプト」。いわゆる空飛ぶクルマの提案モデルである。

白いボディにスバルらしいブルーで彩られたローターを6つ備えた姿は巨大なドローンのようだが、中央にはクーペ・ライクなコクピットが据えられ、世界のベンチャー企業が手がけている空飛ぶクルマよりはだいぶクルマらしいデザインだ。前後のライトは現行のスバル車を思わせる形状で、フロントには六連星のエンブレム、リアにはSUBARUのレタリングが光る。



航空宇宙部門とタッグ

全長は6m、全幅は4.5m。電動駆動をはじめ、カーボンやアルミによる軽量化といった既存技術を用いた開発は航空宇宙部門と自動車部門が協力して行なったという。これまでもスバルの航空宇宙部門は空力パーツの開発などで自動車部門に関与しているが、飛行モビリティとなればまさに本領が発揮される領域だ。

ステージ上では、まるで空を飛んでいるかのような、迫力ある操演も行われたが、これは単なる賑やかしの演出ではない。実際に飛行するプロトタイプも存在し、実証実験が進められている。航空機メーカーを前身とする自動車メーカーとしては本領発揮といったところだろうか。

このショーで正式発表となった「レヴォーグ・レイバック」をはじめSUV系モデルを中心に市販車の展示も行われていたが、多くの観客の頭に焼きついたのは「SUVのスバル」ではなく「六連星は本気で空を目指しているらしい」という印象だったに違いない。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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