2024.01.08

CARS

新しい提案となるユニークな超小型モビリティが多数登場 【ジャパン・モビリティショー回顧録:スズキ篇】

名称もコンセプトも新たに、前回の東京モーターショーから4年ぶりに開催された自動車の祭典、ジャパン・モビリティショー(JMS)2023。ここでは、目標の100万人を超える111万2000人の来場者を集め、成功裏に終わったあの興奮をメーカー別に回顧していく。その第8弾となるのはスズキ。4輪、2輪に加え、スズキらしい視点でつくられた数々の超小型モビリティなど、モビリティショーの名に相応しい展示を振り返ってみたいと思う。

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バランスのいい展示内容

スズキのジャパン・モビリティショー2023は、市販予定車から現実感のある次世代電気自動車=バッテリーEV(BEV)、数々のユニークな超小型モビリティなど、多品目が揃ったバランスのいいビュッフェのようなブース展開だった。



市販間近の2モデルをお披露目

前列の目立つところに展示されていたのが「スイフト」と「スペーシア」の2モデル。どちらの車名にもコンセプトの名が付加され、参考出展となっていたが、発売直前のニューモデルそのものであることは誰の目にも明らか。どちらも見間違いようのないキープコンセプトながら、ひと目で新型だとわかるディテールが盛り込まれた、安心感ある出来栄えを確認できた。



世界戦略BEVが進化して登場

2023年1月にインドで開催されたオート・エキスポ2023で公開した世界戦略BEVの第1弾となる「eVX」は、進化したエクステリアに加えてインテリアが初公開された。全長×全幅×全高=4300×1800×1600mmと手頃なボディ・サイズのクロスオーバーSUVで、スズキの4WDシステムである「オールグリップ」を進化させた、新たな「EV 4WD」システムを採用。高い操縦安定性と走破性を実現する電動駆動系とした。航続距離は500kmを想定し、実用性も確保。2025年までの市販化を目指している。

もう1台の次世代BEVが軽ワゴン・タイプの「eWX」。細部を削ぎ落とした「ハスラー」のようなスタイリングで、ボディ・サイズは全長×全幅×全高=3395×1475×1620mmと、やや背が高めだ。航続距離は230kmと、ちょっとした遠出もカバーできる想定で、EV初心者にも親しみやすいクルマを目指した提案だ。



車輪に歩行を組み合わせる

これら4輪だけでも豊富なラインナップを有していたが、今回はそれ以上に超小型モビリティの充実ぶりが印象に強い。なかでもインパクト抜群なのが「モクバ」だ。その名のとおり木馬のように4脚を備えた姿がひと目見たら忘れられない。

バイクのようなサドルにまたがるが、車体と脚まわりのポジションによってシートとステップの高さが、乗降(停止)時が700mmと150mm、運転時が1000mmと375mmへと変化する。4つの脚を支持する「へ」の字フレームは低重心化と脚の可動域確保し、乗員の水平維持にも寄与する設計だ。

平地は車輪で走り、段差は脚を使って乗り越えることで、地形の変化にシームレスに対応。また、立ち乗りや担架、アタッチメントなどの拡張性も興味深い。実際に製品化されることもさることながら、メカフェチ的には静岡企業とのコラボで精密なプラモデルが実現することを期待したい。



特定原付の可能性を広げる

特定小型原動機付自転車(特定原付)を想定した「スズ-ライド」と「スズ-カーゴ」や、原動機付車椅子のニューウェーブとなりそうな「Go!」も目を引いた。しかし、定番のセニアカーも安全向上型を提案することを忘れていないあたりは地に足がついている感じで好感が持てる。

2輪では、かつて人気を博した「チョイノリ」のシンプルな車体をベースに電動化した「e-チョイノリ」が注目された。また、既存車である「バーグマン」をベースに製作された電池脱着電動車と水素エンジン車もトピックと言えるだろう。さらには電動船外機や、ひっそりと地球環境浄化に貢献し続けている船外機のマイクロプラスチック回収装置など、隅から隅まで見落としたらもったいないほど、隙のない布陣の展示だった。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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