2024.01.19

CARS

ホンダの新世代EVにはアシモが息づく? CES2024で「0シリーズ」(ゼロ・シリーズ)のコンセプト・モデルを披露

ホンダがアメリカ・ラスベガスで開催されたデジタル関連の見本市である「CES202」4で、2026年投入開始予定の新たな電気自動車=バッテリーEV(BEV)ラインナップとなる0(ゼロ)シリーズのコンセプト・モデルを世界初公開した。

0に込めた思いとは

0という名称には、「次世代ホンダの起点」、「ゼロからの発想」、また「環境負荷と交通事故死者ゼロ達成」への決意が込められているという。車両開発アプローチは「Thin, Light, and wise」(薄い、軽い、賢い)。フロア高を抑えたEV専用プラットフォームの薄さ、軽快な走りと電費、知能化ソフト系の進化を指すフレーズだ。



5つの価値を提供

それにより提供される価値は5つ。まずは「共鳴を呼ぶ芸術的なデザイン」、次にホンダが培ってきた「運転支援装備(ADAS)と自動運転システム」、「IoTとコネクテッド技術による新たな空間価値」、低全高とモータースポーツ由来の空力技術で構築される「人車一体の操る喜び」、そして「高い電費性能」だ。

電費の向上は、電気交換効率や伝樋高効率の2モーター式eアクスルの採用、軽量で高密度なバッテリー・パック、高い空力性能などで実現。現地では約480kmという目標値が関係者の口に上がっているようだ。



手堅く常識的で、したたか

これらの計画に、北米でメルセデス、BMW、GM、ステランティス、ヒョンデ、キアにホンダを含めた7社による充電網を構築する合弁会社の設立が関わってくるのは想像に難くない。また今回、LGエナジーソリューションとのアメリカにおけるバッテリー合弁会社の計画も発表された。10〜15分程度での15〜80%充電、10年後のバッテリー劣化率10%以下などの目標が市販時に達成できれば、途端にBEVの普及が現実的になる。その先のステップとしては全固体電池もある。今回の発表は、EVメーカーとしては手堅く常識的なだけでなく、じつにしたたかだ。

北米を皮切りに世界展開するホンダ0シリーズではCIの「H」マークまで更新。その新たなマークとともに登場したのが、ブランドのビジョンを示す2台のコンセプト・モデル、「サルーン」と「スペース・ハブ」だ。フラッグシップ・セダンとMPVタイプの提案という設定はある意味で無難な選択にみえるが、深掘りするとじつに興味深い。



サルーンはほぼこのまま発売か⁉


サルーンは「ほとんどこのままの形で、2026年にはアメリカ、そして世界を駆け抜けている」と三部敏宏社長が紹介。モノフォルムの上級セダンはBEV時代を象徴するひとつのジャンルになりそうだ。

インテリアはシンプルな操作系で構成され、ステアリングはバイ・ワイヤ技術を使用。驚いたのは、独自のロボティクス技術で培った姿勢制御というワードがモーション・マネージメント・システムの説明に出てきたこと。二足歩行ロボットなどの開発がまさかここで生き続けているとは。

もっとも、ASIMO(アシモ)の「モ」がモビリティの頭文字であることは誕生時に示されている。知らぬ間にわれわれは、アシモの恩恵を受けているわけだ。無論、ADASや自動運転と自立歩行ロボットの技術は親和性が高い。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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