2024.01.25

CARS

低走行の中古車なら即買いの反則パンダ! 速い! 旨い! 安い! パンダ100HPは、どんなフィアットだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ・フィアット篇】

フィアット・パンダ100HP

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は程度のいい中古車を見つけたら思わず欲しくなるフィアット・パンダ100HPの2008年2月号の記事を取り上げる。日本導入前に本国イタリアで取材のアシとして使った当時の編集部員、齋藤記者のリポートはこんな感じで始まる。「予告されたとおりに、パンダ100HPが日本にやってきた。小さなボディに100PSの強心臓と6段マニュアル・ギアボックス。きっと楽しいに違いないはず。でも、ほんとにダイジョーブかぁ?」


速い!速い!

パンダ100HPがついに上陸した。でも、「俺は待ってるぜ!」とイタリアで一緒に乗ったときに確かに今尾副編は言ったはずなのに、なぜかお鉢は僕に回ってきた。嬉しいけれど、なんかビミョー。

締まった脚は適度に浅いロールを伴いながら背の高いパンダのボディをコーナーで支える。


それはともかくパンダ100HP、日本で乗ったら、いったいどんな感じなんだろう? と興味津々なのはいつわりのないところ。速く感じるのか? それとも遅く感じるのか?

結論からいきます。パンダ100HPは、速い。日本の交通環境のなかで立派にホットな走りを見せる。小気味良いというのが正確だろうか。キビキビ、シャキシャキよく走る。身体に染み込んだ大排気量高出力の記憶を消し去って乗れば、不満を覚えることなどないだろう。速い。

思い出すに、イタリアで乗ったときにはいつも複数名乗車だった。ふたりか3人。プラス荷室にぎっしりの旅行鞄と撮影機材。そんな状態で空いたアウトストラーダで先を急ぎまくったわけだから、冷静に考えれば、さすがのパンダ100HPにも荷が重かったのだろう。イ副編が遅いと感じたのもやむなしというべきだろう。なにせ、ふだん、ロータスやベントレーに乗っているんだから。あ、ベントレーは動いていないか。

エアクリーナー・ボックスに100HPと型押しがあるだけで、それらしさに乏しい16バルブ・ユニットだが、実力は本物。メーカーが言う最高速度185km/hは掛け値のないところだろう。3500rpmから上、とくに5000~6000rpm辺りが美味。


そこへいくと今回は痩身の僕ひとり。荷物もない。パンダ100HPにとっては真の実力を発揮してみせるのに願ってもない条件が揃ったはず。果たして、パンダ100HPはみごと汚名を返上することに成功したというわけだ。

1.37リッターのエンジンそれ自体はやはり中高速回転域で本領を発揮するタイプだけれど、細かく刻まれた6段ギアボックスのおかげで、元気よく走らせるときには、低回転域を素早くすり抜け、3500rpmから上の得意領域だけを繋いでやることができる。こうなればしめたもの。レスポンスは素早く、ピックアップも申し分ないものとなる。電子制御スロットルのモードをスポーツに切り替えておけば、アクセル・ペダルの踏み込み量が少なくても、バタフライがひょいひょいと開くから、なおさら活気づいて感じられる。これを遅いと言ったら、バチが当たりますよ、イさん。

そういう走らせ方をするときに、素早い操作を受け付けるギアボックスは強い味方となる。ノブの位置は手元に近いし、操作ストロークは短めだし、節度はあるし、適度に軽いし、といいことずくめ。ギャンギャンいくと喜ぶエンジンをギャンギャンやるのにぴったりのデキなのだ。

黒一色になったダッシュボードはパンダのイメージを変えている。標準装着される空調システムはオート・タイプ。


パンダの右ハンドル仕様の3ペダル・モデルを試すのは初めてなので、少し心配していたのだけれど、これもまったく問題がなかった。フィアット・グループが作ってきた右ハンドル仕様は、かつてのアルファ145といい、156といい、少なからず最初は問題のある例が少なくなかった。でも、パンダ100HPは最初から大丈夫。3つのペダルの間隔も、相互の前後奥行きの位置関係も、全体のオフセットも、とくに気になるところなし。ブレーキ・ペダルの剛性感も左ハンドルのそれに遜色ない。これなら左が欲しいとタダをこねる必要もない。嬉しい。


脚もいい。日本の道路に適性高し。

それに、脚も予想以上に良かった。イタリアで乗ったときには、日本では少しドタバタを感じることになるかもしれないと思ったのに、実際のところは全然そんなことにはならなかった。バネ下の押さえがよく効いている。首都高速の金属ジョイントを乗り越えても、アバレたり、きつい突き上げをくらったりということがない。タイヤ・サイズこそ195/45R15と過激だけれど、グッドイヤーのイーグルF1の円満な性格が上手く活かされている。しっとりとした感触さえある。

もちろん、その代わりにグリップはそこそこにとどまりはするけれど、これ以上のグリップ力を与えるのもどうかと思う。今ぐらいがちょうどいい。狭い全幅のなかで脚を首尾よくセットアップする難しさを上手くこなした脚だと思う。ABSやESPの介入の仕方も、納得のいくものだ。楽しさをそぐことがない。

ひとことでいって、ファン。

待ってた甲斐がありました。

文=齋藤浩之(ENGINE編集部) 写真=小林俊樹

グリップ限界はつかみやすい。乗り心地も悪くない


■フィアット・パンダ100HP
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 3580×1605×1520mmmm
ホイールベース  2300mmmm
トレッド 前/後  1380/1370mm
車輌重量 1020kg
エンジン形式  自然吸気水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量  1368ccmm
最高出力 100ps/6000rpm
最大トルク 13.3kgm/4250rpm
変速機 6段マニュアル・ギアボックス
サスペンション形式 前 マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション形式 後 トーションビーム/コイル
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前/後  195/45R15
車輌本体価格  207.0万円

(ENGINE2008年2月号)

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