2024.02.20

CARS

エントリー・モデルとは思えない風格と性能 アストンマーティン・ヴァンテージがフルチェン級の大幅進化を遂げる

アストンマーティンのエントリー・モデルとなるFR(フロント・エンジン後輪駆動)スポーツ・クーペ、「ヴァンテージ」のニューモデルが発表された。

その歴史は1950年に遡る

アストンマーティンの「ヴァンテージ」は、1950年のDB2に設定されたのを皮切りに高性能エンジンを積んだ仕様に与えられたネーミングで、1961年の「DB4ヴァンテージ」ではパワー・ユニットのみならずエクステリアも差別化されていた。1962年には「DB4シリーズVヴァンテージ」が登場。映画『007ゴールドフィンガー』の劇中車になるなど注目を集めた。



1970年代には独立モデルの車名に

その後1970年代初頭には、初めて独立した車種名として採用。のちの「アストンマーティンV8」に用いられる丸型ヘッドライトのボディに直列6気筒エンジンを搭載したモデルの車名として採用された。さらに、1993年に2代目ヴァンテージがリリース。こちらは「ヴィラージュ」をベースとしたモデルで、「スーパーチャージド・ヴァンテージ」の異名で知られている。

2018年に登場した現行型でヴァンテージを車名に掲げたモデルは4代目を数える。12年ぶりのフルモデルチェンジで、メルセデスAMG製の4.0リッターV8ツインターボをフロントに、ZF製8段ATをリアに搭載している。今回発表された新型は現行型の大がかりなマイナーチェンジ・モデルになる。



665PS、800Nmへと大幅出力アップ

新型ヴァンテージの役割はウルトラ・ラグジュアリーと呼ぶクラスを「DB12クーペ」と「ヴォランテ」ともに牽引することで、アストンマーティン・ブランドの地位を確固たるものにすることだ。

最大のトピックはパワー・ユニットの出力およびトルクの向上で、改良前からじつに155psと115Nmアップとなる最高出力665PS、最大トルク800Nmに到達。0-100km/h加速は3.5秒でクリアし、最高速は325km/hに達している。改良前のモデルも0-100km/h加速3.6秒、最高速314km/hと圧倒的な動力性能を誇っていたが、新型はそれらをさらに塗り替えている。

単にハイパワー化されたのではなく、最終減速比が3.083:1に引き上げられるなどトランスミッションの最適化によりレスポンスが高まり、ファン・トゥ・ドライブにも寄与しているのも朗報だ。最終減速比の変更により中間加速の鋭さが増し、変速時間も短縮したことで、走行モード切り替えの「ダイナミック」モードに相応しいシフト特性を実現している。



ボディとシャシーも進化と強化

進化と強化はボディやシャーシにも及んでいる。最新世代の接着アルミニウム構造をサスペンションなどに採用。具体的には、クロスメンバーの設計と配置を刷新し、フロントのダブルウィッシュボーンの取り付け位置の剛性を高めるためにクロスメンバーが後方に移設したことで、ステアリング・フィールが改善したという。

また、前後ともにサスペンション・タワー間の剛性を高めたことで、コーナリング時に掛かる負荷の剛性もアップしている。前後ショックアブソーバーの取り付け剛性も改善され、最新世代の可変ダンパーや電動パワーステアリングの採用により、ハンドリングや路面からのインフォメーションも精度が引き上げられたのも見逃せない。

また走りを支える装備として、ビルシュタイン製の「DTXアダプティブ・ダンパー」、エレクトリック・リア・ディファレンシャルである「E-Diff」、アストンマーティン専用となる21インチ・ミシュラン「Pilot Sport S 5」タイヤなどを装備することで、全方位においてドライバビリティの向上が図られている。



インテリアも質感と装備ともに大幅進化

インテリアの質感向上も潜在オーナーにとっては見逃せないポイントだ。「Bridge of Weir」(ブリッジ・オブ・ウィアー)製レザーの採用をはじめ、ドライバー・オリエンテッドなコクピットやスポーツシートがドライバーを迎えるだけでなく、Bowers & Wilkins(バウワーズ&ウィルキンス)社製の「サラウンド・サウンド・システム」も心地良い時間を提供してくれそうだ。

アップデートされたコネクティビティもニュース。ネットワーク接続機能を備えたナビでスポット検索ができるのはもちろん、3年間無料の「AML ID」は、iOS とアンドロイドに対応する新しいアストンマーティン専用アプリで、スマホで施設を検索し、車両の目的地に設定することも可能だ。「サブスクリプション・パッケージ」を用いれば、コネクティッド・ナビや盗難警報、遠隔ロック・アンロック、緊急通報などのサービスを享受できる。

ビッグ・マイナーチェンジといえる大幅な進化を遂げたアストンマーティン・ヴァンテージ。価格は2690万円で、2024年の第2四半期以降からのデリバリー開始の予定になっている。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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