2024.07.19

CARS

911ターボ・ベースの怪物公道レーサー、GT2にサムライ・スーパーカー、日産GT-Rは勝てるのか? 09年型GT‐R&スペックV対ポルシェ911GT2 貴重な比較テストを再読する!【前篇】

R35型GT‐Rの開発のベンチマークとなった911ターボ。その911ターボ・ベースの怪物公道レーサー、GT2に2台のサムライ・スーパーカー、日産GT-Rが挑んだ!

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中古車バイヤーズ・ガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている人気企画の「蔵出しシリーズ」。今回は、2009年の7月号に掲載した 09年型GT‐RとそのスペックV をポルシェ911GT2と比較するという意欲的な記事を取り上げる。R35型GT‐Rの開発のベンチマークとなった911ターボ。その911ターボ・ベースの怪物公道レーサー、GT2にサムライ・スーパーカーは勝てるのか? エンジン編集部熱血クルマ三バカ士が判定員をつとめた全開リポートだ。


第1章 第一印象「意外! 超スムーズで超リニア!(スペックV)」

――では第一印象から。

スズキ GT‐RスペックVの第一印象は「とにかくスゴイ」! 僕がいままで乗ったハイ・パフォーマンス・カー、そのなかにはブガッティ・ウェイロン、フェラーリF40、F50、エンツォ、それから430スクーデリアも含むけど、これ以上カーブで速いと思ったクルマはない。箱根ターンパイクで、あっという間に終点の大観山まで5分くらい早く着いちゃった感じ。なにからなにまで超スムーズで超リニアに加速する。心臓がドキドキした。いっぽう09基準車はいわゆる「いいクルマ」で、バランスがとれている。対するGT2は「いいクルマ」というよりは飛びぬけた「なにかを訴える力を持とうとしたクルマ」で、そこが古典的に感じた。

07年秋に本国で発表となったGT2。4WDの911ターボを2WDにして軽量&ハイ・パワー化するいっぽう、PASMも装備して日常性能とのバランスをとる。911ターボより20mm車高が低い。


齋藤 僕はスペックVを日産にピックアップに行ったんです。銀座の地下駐車場から出て首都高速に乗って、編集部に戻ってきた。去年テストしたGT‐Rの2008年モデルと較べると、劇的に軽くなっている。よくよく考えてみると、バネ下が軽くなったのが圧倒的。バネ下が軽いと、こんなに身が軽くなるかという感じ。ただ、可変ダンパーをやめて固定にした分、首都高速高架の金属ジョイントはきびしい。シャープだし身軽だし、純度を上げた感じがするけれど、オール・マイティではない。サーキットという目的に絞ったなりの感じ。で、そのあと09年モデルで可変ダンパーを「コンフォート」モードにしたら、まあ、普通のクルマのように乗れるんで、驚いた。これだったら毎日どこへでも乗っていける。ようするに09年モデルがホントのGT‐Rの姿で、基準車とスペックV、両方あることに意味がある、と思った。GT2はソリッド感に驚く。あのペダル、ステアリング、シフト・レバー、あらゆるところが剛性感の塊でしょ。クルマそのものは軽いし、着座位置もすごく低いから、スーパーカーというよりこれぞスポーツカーという感じ。住む世界がGT‐Rとは違う。ただ……。

09年1月、満を持して発表されたスペックV。月産わずか30台。自慢のマルチ・パフォーマンス性能を一部犠牲にしながらサーキット走行に特化したマニアックなハードコアGT-R。


スズキ 長いよ、第一印象が(笑)。

村上 じゃあ手短に。とにかくスペックVの着座位置がノーマルよりも低くてスポーティになっていることが、私は個人的にすごく嬉しかった。というのは、普通のGT‐Rだと僕は座高が高いので、髪の毛の先っちょが天井に触って、すごく気になる。で、エンジンをかけた瞬間、音も違うことに驚いた。マフラーのチューニングで違うんですね。

スズキ スペックVはチタン・マフラーで音が乾いていてぜんぜんいい。

村上 そのあと東名高速を沼津ICまでいくのが楽しいこと楽しいこと。なにしろステアリングの正確さがノーマル・モデルとこんなに違うんだと。やっぱりGT‐R、すごいんだ、と思った。GT2で印象的だったのは、ドン! と後ろから押し出すようなトラクションのかかり方。とりわけ3000rpmを超えたあたりからターボが効いたときにゴワ~ンと打ち出される圧倒的な加速は、GT2でしか得られない。これはこれで別次元の乗り物だなと。ということで、細かい分析に入りましょう。


第2章 町乗り&日常性能「GT‐R基準車、使い勝手ベスト!」

スズキ 町中で乗り心地がいちばんいいのはGT‐Rの基準車でしょ。使い勝手ではベスト。広大なトランクも、後ろの席もあるし、座面高も高いから見切りがいい。GT2でいいのは、ハンディに感じることだね。

村上 小回りもGT2のほうがいい。

齋藤 ホイールベースが短いからね。

スズキ トランスミッションの扱いやすさはGT‐Rの勝ちでしょう。



齋藤 それは較べものにならない。GT2にマニュアルで乗っていると、めんどくさいと感じちゃう。トルクもパワーもあるエンジンだし、剛性感もすごくてあいまいなところがないギアボックスだから、きっちりシフトしないといけない。2ペダルのGT‐Rから乗り換えたら、少なくとも速く走るためにマニュアルを買うという選択肢はなくなったなと。

スズキ それはもう同感だね。

齋藤 マニュアルの操作自体を楽しむこと以外、もはやマニュアルの存在価値はない。GT‐Rはデュアル・クラッチの制御が08年型とは別物。低速でもギクシャクがないし、ガコガコいわないし、前後に微妙に動かすときでもうっとうしくないし。

村上 GT2のマニュアルはカチカチッと決まって気持ちいいけどね。クラッチはとんでもなく重いけど。

スズキ 最初ブレーキ・ペダルか、と思ったくらい重い。GT2も乗り心地はいい。ホイールベースが短いから道が荒れていると、しゃくりあげるような動きをするけれど、可変ダンパーのPASMを「ノーマル」にしておけば、まろやかないい乗り心地を示して、GT‐Rの基準車とそん色ない。

前235/35、後325/30のいずれもZR19を履くGT2。前380mm、後350mmのPCCB(セラミック・コンポジット・ブレーキ)を標準装備。


齋藤 あと、カップ・タイヤですからね、GT2は。目的を絞っている。

スズキ バックスキンのステアリングがいいよね。で、ステアリングが軽い。街中の交差点で曲がるときでも抵抗なくスッといく。パワステで制御している感じがしないナチュラル感がある。そういうところで、乗るたびに喜びを感じる。

齋藤 文句ないですよ。

村上 ゆいいつGT‐Rで気になったのは、坂道発進のとき、あまりうまくクラッチがつながらないこと。ヒル・ホルダー機能がついていれば、なんの問題もないのに。

◆この続き「第3章 高速道路篇」は【後篇】で! 最後の激論で速かったのはどちらか?

語る人=ENGINEテスト・グループ(鈴木正文+村上政+齋藤浩之) 写真=望月浩彦

(ENGINE2009年7月号)

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