2024.03.01

CARS

直線で270km/hオーバー! 日本上陸したマクラーレン750Sに公道とサーキットで試乗 これぞマクラーレン、最高の完成度!!

マガリガワの直線で270km/h 恐るべしマクラーレン750S!

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720Sの後継車となるマクラーレンの中軸モデル、750Sが日本上陸した。マクラーレン史上、もっとも軽量で、もっともパワフルなシリーズ生産モデルと謳われるそれに、公道と千葉県のマガリガワ・クラブのトラックで乗る機会を得た。エンジン編集長のムラカミがリポートする。


走りに必要なもの意外はなし!

この数年はグランド・ツアラーとしての性能を重視したGTやハイブリッド・スーパースポーツのアルトゥーラに乗る機会が多かったが、今回、日本に上陸したばかりの750Sに公道とサーキットで乗って、マクラーレンの市販モデルの中軸は、2011年に登場したMP4-12Cに始まり、650S、720Sと進化してきたこのシリーズにこそあるのだと改めて思い知らされた。



すなわち、パワートレインやシャシーはもちろん、外観や内装のデザインも、すべては走りのためにあり、不必要なものはグローブ・ボックスさえ潔く切り捨ててしまうくらいにピュアで、ストイックなスーパースポーツカー。それがマクラーレンの本質だということを、750Sは強烈に主張しているように思ったのだ。

まず、基本は720Sと同じだが、空力や冷却のための穴を増やし、リア・ウイングもさらに巨大化した外観に圧倒される。これは美しさとかカッコよさといった従来のスポーツカーのデザインを計るモノサシとはまったく別の、レーシングカーに近い価値観によって生み出されたものとしか言いようがないだろう。

 ステアリング・ホイール上にもスイッチ類は一切付かず、周囲の操作系も最小限にとどめられる。シートの背後、V8ユニットが覗けるガラス窓のついたパネルの上に210リッターのスペースがあるとマクラーレンは言うが、ここに物を置いたら走りに支障が出るだろう。


カーボン・モノコックという、まさにレーシングカーから受け継がれたキャビンを持ち、その中心軸近くの極端に前方にドライバーを座らせるため、ヒンジを付ける位置がなくて、ディヘドラル(上反角)方向に持ち上げるしかなかったドアも、伊達ではなく、走りに特化したがゆえのものだ。相変わらず太く高い敷居を跨いでドライバーズ・シートに収まると、眼前に拡がるのは走りに必要なもの意外はすべて削ぎ落とされたコクピット。ステアリング・ホイール上にはスイッチひとつない。

スターター・ボタンを押して背後の4リッターV8ターボ・ユニットに火が入った瞬間から、もうすべての雑念を捨てて、ただ走ることだけに集中しなければ、このモンスター・マシンを操ることはできない。



いや、そうではない。公道を走っている限りは、MP4-12Cから進化を重ねてきたプロアクティブ・シャシー・コントロールIIが組み込まれた脚のおかげで、乗り心地はスーパースポーツカーとしては法外にいいし、ステアリング操作に対して驚くほどシャープにクルマが向きを変えることに慣れてしまえば、あとは鼻唄を歌うような運転でも走れてしまう。けれど、それではこのクルマの持つ性能のわずか10分の1さえも味わったことにはならない、ということを、この数日後、マガリガワ・クラブのクローズド・コースで思い知らされることになったのだ。


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