2024.02.29

CARS

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クルマ好きが集う、秘密基地を訪ねる(前篇)

古い鉄工所を改装したとは思えない、黒一色でセンス良くまとめられたギャラリーのようなスペースと、真っ白いミュージアムのような美しいショールーム。そのどちらにもクルマ好きの琴線に触れる、個性的な輸入車たちが並んでいた。

熱きクルマ好き

“エンジン中古車探検隊が行く!”という連載企画のため、これぞというユーズドカーを見つけるたびに、販売店の情報をメモしていた時期があった。あるとき巻頭特集のテーマが“今こそ、クールなセダンに乗りたい!”と決まり、前々から目を付けていた3代目のBMW M5を取材に行った。



向かったのは東名高速・川崎ICからほど近い、Cloud(クラウド)という輸入車販売店。当時でも18年落ちなのに、走行距離が5万km以下でフルオリジナルというM5の程度の良さにも驚いたが、それ以上に驚いたのは、Cloudに集まっているクルマの濃さだった。

M5の後ろには、ポルシェ911R(世界限定991台)や911スピードスター(997型で世界限定356台)がごく普通に並んでいたのだ。とにかくポルシェの、しかもレアな仕様の911にめっぽう強いことに衝撃を受けた。

あれから5年。久しぶりに訪れるCloudのショールームの中には、変わらずポルシェ911たちがいた。どれもこだわりの仕様ばかり、という点も変わりはない。一見普通の911 GT3のようでも、ロング・ドライブも快適なツーリング・パッケージ(ただしリア・ウイング付き)だったりするし、911カレラTだけど、リア・シートをあえて追加している珍しい仕様だったりする。



そうした細々とした、けれどクルマ好きにとっていちいち見逃せないところを、すらすらと説明してくれたのはCloudの松田雄士さんだ。自身もそうとうのエンスージァストのようで、ポルシェに詳しいだけでなく、実は自然吸気エンジン時代のAMG C63セダンやクーペに目がなかったりもする。



松田さんは比較的ちょっと尖っているクルマに関わることが多いという。オレンジやグリーンなど、たとえ派手なボディ・カラーでも「ひょっとしたら日本に1人は、これが欲しい! と思う人がいるかも知れない」と考え、扱いたくなってしまうらしい。最近の正規ディーラーや一般的な中古車販売店ではなかなか出会うことのできない、熱きクルマ好きなのである。

外車のマスター

これだけ良質な、しかも希少なモデルをどうやって集めているのか。その疑問に答えてくれたのはCloudに加え、輸入車に特化した車両買い取り事業、外車MASTER(マスター)の母体でもある、横浜ユーポスの代表、板東弘樹さんだ。



板東さんも若かりし頃からクルマが好きで、最初はガソリン・スタンドで働いて自動車に関わる様々なことを学んだ。その後、中古車販売と買い取りの世界を知り、2011年に独立したという。

起業の理由も、クルマ好きの視点ならではのもの。中古車の査定方法やクルマの扱い方には、もっと人間的で、クルマへの愛情があってしかるべきものだと考えたのだそうだ。



昨今のビッグモーター問題で色々と明るみに出たが、車両引取後に「不具合が見つかった」などといい、一度伝えた査定額を減額するのが、中古車買い取りの世界では常態化していた。それはクルマのプロフェッショナルであり、ちゃんとした目利きであるなら、自分の力量のなさを自ら口にするような、むしろ恥ずべきことである。

しかも査定額が変わっても、すでに契約済みだからとキャンセルもできなかったりもする……。板東さんの思いに賛同して松田さんのようなクルマ好きが集まり、悪習を廃した、クルマ好きの視点による、買い取り事業への試行錯誤がはじまった。

そうして産まれたのが、査定後の減額交渉や、競合との一斉査定がない上に、最短で即日買い取りも可能という外車MASTERだ。そして当時はまだ珍しかった、水冷エンジンのポルシェ911に特化した販売店、Cloudを続いてオープンさせる。



拡大するCloud

板東さんはかつていすゞ・ジェミニや日産レパードに乗り、メルセデス・ベンツEクラス、ゲレンデヴァーゲンを何台も乗り継いだりもしたが「僕はもう、クルマはぜんぜん詳しくない」と笑う。「お客さんのほうがずっと詳しいですよ。むしろ、教えてもらうことも多い。ポルシェは特にそうです。もともとCloudは多くの買い取り業者のようにオークションで売却して利益を得るより、そういう熱心な方たちが欲しい、乗りたいと思う911を、直接お届けしたいという思いからスタートしたんです」

買い取りの外車MASTERと、販売のCloud。2つのチームが一緒に動き出すことで、愛車を手放したいひとと、愛車を手に入れたいひと、その両方に、大きな価格面でのメリットをもたらすようになったのである。



Cloudはその後、ポルシェ以外の輸入車、中でも趣味人の目にとまりやすい車種に特化したCloud GARAGE(クラウド・ガレージ)も展開。さらに名古屋、仙台、福岡にも店舗を次々に拡大していく。エンジン中古車探検隊がお邪魔したのは、ちょうどこのCloud GARAGEにM5が入庫した時だったそうだ。

なお、Cloud、Cloud GARAGEともに、M5のような旧いモデルを除き、主に取り扱う車両はすべてインポーターによる保証の範囲内の厳選されたものだけだ。整備に関しては自社ではなく、一貫してディーラーで行っている。これもまた、クルマ好きの安心を得るために考えた末での方針だという。

気になるモデルばかり

Cloud でたっぷりポルシェ911たちを堪能した後、すぐそばにあるCloud GARAGEも覗かせてもらった。こちらのラインナップもまた、クルマ好きなら誰しもが気になるモデルばかりだ。純白の空間だったCloudとは対象的に、黒を基調とするCloud GARAGEの吹き抜けのある広いスペースには、デュオ・トーンのAMG G63をはじめ、台数限定のランドローバー・ディフェンダーや、マニュアル・トランスミッションの先代BMW M4が並ぶ。これらは外車MASTERが買い取り、Cloud GARAGEで販売されるクルマたちだそうだ。



吹き抜けを取り囲むように配置された階段を上がり、2階の商談スペースへ。なかなか見ることのできない角度から、クルマたちをゆっくり眺めることができる。ちょっとした秘密基地のようなこの店舗内のしつらえは、すべて松田さんのアイデアによるものだ。

「ポルシェをはじめとするこうしたクルマのオーナーの皆さまと、外車MASTERを通じて、まずはお知り合いになりたい。そしてCloudやCloud GAREGE でもクルマのお話がしたい、そういう思いがあります」と松田さん。

「911やディフェンダー、ゲレンデヴァーゲン以外にも、フェラーリやランボルギーニ、さらにはネオ・クラシックといわれる20〜30年前のモデルなど、リセール・バリューを含めた、いわば資産としての価値をお考えになった中古車購入についてもご相談下さい。個体差もありますが、初代Eクラスやミディアム・クラス、いわゆるW124やS124あたりも」と板東さん。



124だったらいっそ同世代のSクラスはどうだろうか、いやこの世代はSLも面白いんじゃないか。そうして話題はかつて入庫していたM5や911Rのことや、最近やって来た仕上げ前の貴重なクルマたちのことへ……板東さんと松田さんの2人の、まるで普通のクルマ好きのような会話は、なかなか終わりそうにない。

CloudやCloud GARAGEには、お目当てのクルマを見にくるだけでなく、そうした会話を楽しみにやってくる人も多い。松田さんによれば「ここなら何か面白そうなクルマに出会えたり、話が聞けるかも」とわざわざ足を運んでくれるのだそうだ。



「この仕事をはじめてから、お付き合いがもう30年になる方もいらっしゃいます。目指しているのはお客様との一生のお付き合い」。板東さんは「なかなか難しい面もありますけれど」と笑みを見せながら、穏やかに、でも力をこめてそういった。

真摯な買い取りシステムと、クルマ好きによるクルマ好きのための秘密基地。この2つがあれば、より輸入車ライフが楽しめるものになりそうだ。

なお、この訪問記の後篇として、実際にCloudやCloud GARAGEで縁あって愛車と巡り会うことができた、オーナーたちをご紹介する予定である。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=河野マルオ

(ENGINE WEBオリジナル)

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