2024.02.19

CARS

中古車でも高値安定の先代Gクラスとジープ・ラングラーとレンジローバー そんなレジェンドSUVたちって、ホントのところ乗るとどうだったのか?【『エンジン』蔵出しシリーズ/比較試乗篇】

メルセデス・ベンツGクラス&レンジローバー&ジープ・ラングラー・アンリミテッドがモテる理由とは?

全ての画像を見る
中古車バイヤーズガイドとしても役立つ雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回はGクラスとレンジローバーとラングラーの3台に試乗した2016年2月号の記事を取り上げる。屈強な本格4WDでありながら、メガシティ、東京を颯爽と闊歩するSUV。そうしたイメージを作り上げたのがこれらのクルマだ。中古車でも引っ張りだこ、そのモテモテの理由とは?


軍用車両がその起源

SUVには「生きるレジェンド」が、いまだに少なからず残っている。メルセデス・ベンツGクラスとジープ・ラングラーはその典型だが、ほかにも同様の例として、ランドローバー・ディフェンダー、スズキ・ジムニー、そして2014年、日本でも再販されたトヨタ・ランドクルーザー70などがある。これらはすべて、古くは1940年代、新しくても90年代から、現役をつらぬいているレジェンド系SUVである。もちろん、長い歴史のなかで何度も手が加えられているとはいえ、ハシゴ型フレームに前後リジッド・サスペンションといった基本は昔と変わりない。



これはポルシェ911ならナローやビッグ・バンパーがいまだ現役、あるいは、ダウンサイジング・ターボをねじ込まれたクラシック・ミニが新車で売られているようなもの。考えると、かなりスゴイことだ。

最新SUVの大半は、早い話が、Gクラスやラングラーの雰囲気や味わいを、舗装路用に最適化したクルマである。軽量なモノコック・ボディ、適度に高い(適度に低い、とも換言できる)乗降しやすいシート、高速で吸いつく独立サス、2WDに断続機構をつけただけのオンデマンド4WD……といった最新SUVのお約束は、それ本来の機能で見ると「ディチューン」でしかない。

赤い本革シートはオプションで、装飾や調度も贅沢そのもの。レーダー・クルーズコントロールもつく。ただ、ドラポジは背筋ピンのコマンド・スタイルで、シート位置も3台でもっとも高い。


いかに優秀な電子制御4WDでも、いよいよとなれば、機械的にロックされた直結4WDの強引さにはおよばない。どんなにロング・ストロークの四輪独立サスも、脱臼したように伸びてくれるリジッドに、岩場の接地性はとうてい敵わない。

Gクラスの基本設計は1970年代に開発された軍用車、ラングラーのそれにいたっては第二次大戦のウィリスMB/フォードGPWにさかのぼる。どちらもシートはステップなしでは乗降に難儀するほど小高い。そして、何かの間違いかと思うくらいに奥行きが短いダッシュボードに、設計の古さを思い知らされる。



もちろん、どちらも現役の乗用車なので、必要な装備はすべてそろう。しかも、Gはメルセデスの1000万円級商品として、目に見えるところはことごとく革張り。カジュアルなラングラーはそもそも高級感をねらっていないが、最新コンパクト・カー程度の質感は確保されている。

この2台の舗装路での走りは、たしかに最新鋭SUVのようにはいかない。熟成きわまっているので、普通に転がすかぎり、乗り心地は悪くない。ただ、高速になると明らかにボディが浮いて、接地感が心もとなくなる。交差点ではステアリングを意識的に戻さなければならなかったり、鋭く蹴り上げられたときの「ドスン、ユラユラ」はいまどきの人車一体感とは異なる種類の味だ。

ステアリングを抱えて背筋を伸ばす運転姿勢。最上級の「サハラ」はヒーター付のレザー・シートが標準。


しかし、こういう古さや独特のクセが、慣れるにしたがって病みつきになるのは、Gもラングラーもベラボーに運転しやすいからである。

運転席からの目線は国産ワンボックス・ミニバンよりさらに高い。ともに国民や兵士の生命財産を預かり、わずか数cmの走行軌跡のズレが命に直結する軍用車として生を受けているので、ボディの見切りが素晴らしい。断崖絶壁のようなフロント・ウィンドウは空気抵抗のカタマリで、スロットルをゆるめた瞬間にグッと減速する。ただ、だからこそ速度の微調整がしやすく、2t超のヘビー級にしてはブレーキをあまり踏まなくて済む……という実利は、乗ってみないとわからないだろう。

ワインディング路でも、2台は見た目から想像しづらいほど安定して、きれいに曲がる。重量物が床下に集中する伝統的オフローダーは、意外と重心が低い。とくに本来のラングラーは屋根もドアもなく、上半身はほとんどが軽量な樹脂製である。


無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement