2024.05.29

CARS

その乗り心地は「足をつっぱり、歯を噛み締めるなんて行為とは無縁」 モータージャーナリストの九島辰也がベントレー・コンチネンタルGT Sほか5台の注目輸入車に試乗!

モータージャーナリストの九島辰也さんが5台の注目輸入車に試乗

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フェラーリ296GTS「見ても乗ってもアガる!」

フェラーリのエンジン・スタート・ボタンに触れて元気にならない人はいないと思う。というか、元気が出過ぎてアドレナリン全開! という状態になる人も少なくないだろう。今回ステアリングを握った296GTSもそうで、ガソリン・エンジンにモーターが追加されてもそれは変わらない。おおよそかつてのような迫力のブリッピング音は聞けないが、モンスター・マシンに電源が入り、モニターが起動、いよいよスタートという気分になる。走りは言わずもがなのレーシングカー・テイスト。ステアリングを切るとドライバーを軸に鼻先の向きを変える姿勢がたまらない。目線の動きは独特だ。絵に描いたようにクルッと回転する。「これ、ほんとに公道走っていいの?」なんて気持ちになる挙動だ。動的性能だけではない。フェラーリはスタティックな状態でも見る者を魅了する。ワイド&ローの車体はまんまレーシングカー。ボンネットの低さもそうだし、地上最低高も尋常じゃない。それにリア・ウィンドウから覗けるパワーユニット。美術館に飾られるアート作品のようだ。こんなもんがガレージにあったら元気満点になる。




プジョー408GTハイブリッド「雲の絨毯」

このクルマは色々な意味で新たな提案をしている。“フランス車=ホットハッチ”の図式はいまだに根強いが、クロスオーバーとてそれに負けない運動性能を持っている。プジョー408GTを走らせてみればわかるが、このホイールベースの長さでこれだけ動きがいいのには驚きだ。さらに言えば、このクルマは現在のプジョーブランドのフラッグシップだけあり、内外装とも高級感を感じる。個人的に好きなのは前後のLEDライトの光り方で、リアコンビネーションランプもかなり凝ったデザインでかっこいい。長く伸びたルーフラインもそう。遠くからでもエレガントな装いをアピールする。インテリアの未来チックなデザインも見ものだ。デジタルメーター・クラスターを有するi-Cockpitはオリジナリティいっぱい。ここもまたガイシャならではの世界観を打ち出す。国産車を見渡してもここまで振り切ったデザインは見たことない。そして最後に元気になる最大ポイントをお知らせしよう。それはこの乗り心地。“雲の絨毯”に例えられるそれは健在。これを味わったらもう他は乗れなくなってしまうかも。




ポルシェ・カイエンSクーペ「スポーツカー談義」

SUVブームの中、各メーカーが自信作を投入している。グローバルでヒットすればかなりの収益になるからだ。ただ中にはコンセプトが定まっていないモデルも少なくない。快適性がウリなのか、積載性がウリなのか、スポーティな走りがウリなのか、はたまた四駆性能がウリなのか。その点カイエンSクーペはキャラがハッキリしている。あくまでもこいつはポルシェ。エキサイティングな走りが第一プライオリティであり、その後に快適性やラグジュアリーさが続く。澱みのないキャラは走り出すと気持ちがいいから惚れてしまう。そんな走りなので、EPC会員の方ともスポーツカー談義となる。SUVに乗りながらスポーツカーについて熱く話し合うのだからこのクルマが只者でないことは想像できるだろう。単なる背の高いSUVとは根本が違う。追い越し加速は当然のこと、ブレーキの持つストッピングパワーは超絶だ。ポルシェの伝統がこんなところに垣間見られる。その意味からもこいつは2シーター・ロードスターや2ドア・クーペと2台持ちするのが似合うだろう。誰もがそんな妄想に耽ってしまう一台である。

文=九島辰也

(ENGINE2024年4月号)

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