2024.06.04

CARS

「これは"ラグジュアリー・スーパースポーツ"といいたくなるクルマだ」 モータージャーナリストの斎藤聡がマセラティMC20チェロほか5台の注目輸入車に試乗!

モータージャーナリストの斎藤聡さんが5台の注目輸入車に試乗

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モータージャーナリストの斎藤聡さんがエンジン大試乗会で試乗した5台のガイ車がこれ! シトロエンE-C4、ヒョンデ・コナ、ジャガーIペイス、マセラティMC20チェロ、マクラーレン・アルトゥーラに乗った本音とは?


深淵の魅力
 

十人十色の類義語を調べてみたら、百人百様、三者三様、千差万別、人それぞれ、蓼食う虫も好き好き、という言葉がヒットした。蓼食う……はニュアンス的にどうなのか、という違和感を覚えたものの、“クルマ好き”に当てはめてみるとじつは「蓼食う……」派は案外多いような気がする。結局のところ個性だったり、メーカーの哲学のようなものに感銘・共感を覚え、ついにはその引力に引き込まれ深みにハマって……もとい深淵の魅力に囚われていく。これだけたくさんのガイシャを一堂に集めると、いかに個性豊かなクルマたちであるかというのがよくわかる。今回試乗を担当したコナ、Iペイス、e-C4はBEVだがそれぞれに個性や主張があるし、マクラーレン・アルトゥーラはハイブリッド・スーパーカーの世界観を見せてくれた。EV化の波がすなわちクルマ文化の終焉にはならないだろうと強く感じた。




シトロエンE-C4シャイン「温かさが充電される」

シトロエンが好きだ。どの車に乗ってもほんわかと暖かな気分になれるところがいい。操縦安定性なんてどこの世界の話? と半ば開き直っているのではないか、と思えるほど乗り心地に全振りしているクルマ作りの姿勢も面白い。かつて油圧の塊だったシトロエンが電動化されいったいどんなクルマを作るのかと思ったら、やっぱりシトロエンだった。バッテリー残量がたっぷり残っていたので箱根までのドライブが許された。そんなわけで喜び勇んで西湘バイパスに走り出たのだった。口の悪い人からは“音振試験路”と呼ばれるこの道路だが、シトロエンは突き上げの不快さなど一切感じさせることなく、しっとりしなやかに走ってくれる。山岳路では大きめのロールを伴う。それも、しんなりとスピードに見合ったロールを見せてくれる。バッテリーをフロアに配置しているはずなのに、重心の低さを主張せずむしろ自然でナチュラルなロール感を出している。機械の性能ではなく人の感性に向き合ってクルマを仕上げているのがよくわかる。乗ると温かいものが体に充電されて元気が湧いてくる。




ヒョンデ・コナ・ラウンジ2トーン 「作り手の熱で元気になる」

アイオニック5の弟分的なクルマ? そんな先入観があっただけに、実車を目の当たりにした第一印象は“意外に普通”だった。しかし、いざ走り出してみると、現代の本気度がじわじわと伝わってくる。乗り心地は角のとれたマイルドな味付けで、これにモーター駆動のなめらかな駆動フィールが加わって、上質な乗り味がある。加速に鋭さはないが、むしろこのマイルドな乗り味には、このくらいの加速がよく合っていると思う(実は日本向けは加速フィールをマイルドにチューニングしている)。走りの味付けだけでなく、前方が映る不思議なモニター“ARナビゲーション”はコナのウリの1つ。このナビと連動するスマート回生ブレーキも興味深い。レーダー追尾しながら回生ブレーキの強さをコントロールしてくれる。気になる航続距離についても、バッテリー容量64.8kWhで公称625km(ヴォヤージュ)。技術を惜しげもなく搭載している。EVの新しい標準を作ろうとしているのではないか。乗って、触ってみると、コナの作り込みに作り手の熱が感じられ、乗るほどに楽しく元気になってきた。

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