2024.06.06

CARS

「走っても掛け値なしに世界最速級SUVの1台」 モータージャーナリストの佐野弘宗がBMW XMほか5台の注目輸入車に試乗!

モータージャーナリストの佐野弘宗さんが5台の注目輸入車に試乗

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モータージャーナリストの佐野弘宗さんがエンジン大試乗会で試乗した5台のガイ車がこれ! アルファ・ロメオ・トナーレ、アウディQ8スポーツバック 55eトロン、BMW XM、シボレー・コルベット 、フェラーリ296GTSに乗った本音とは?


理屈抜きに元気が出る


毎年思うことですが、こうしてフェラーリとランボ、マクラーレン、ロールス、ベントレー、ポルシェ……がならんでいるだけで、理屈抜きに元気が出ます。参加いただいていたEPC会員の皆さんも、それはまったく同じとお見受けしました。加えてドイツ御三家にキャデラック、ジープなどの欧米勢、ヒョンデやBYDというアジア勢と、その他のブランドも数年前以上に百花繚乱。さらに純エンジンからマイルド・ハイブリッド、フル・ハイブリッド、プラグイン・ハイブリッド、そして純電気自動車(BEV)と、パワートレインも百花繚乱……というか、ちょっとしたカオス。最近は欧州でもBEV完全移行は思ったより時間がかかる?……みたいな雰囲気になっていて、あらゆるパワートレインが混在する状態は意外と長く続くかもしれません。メーカーは大変でしょうけど、われわれクルマ好きは、今のカオスを元気に楽しみましょう。




アルファ・ロメオ・トナーレ プラグイン・ハイブリッドQ4ヴェローチェ「まったく迷いがない」

トナーレはグループ内のフィアット500X、ジープのレネゲードやコンパスとアーキテクチャーを共有するアルファ・ロメオだ。つまりはFFベースのコンパクトSUV。ステルヴィオとジュリアが出て、てっきりFRレイアウト専用の上級ブランドに移行すると思いきや……の迷走感はちょっとある。実際、この伝統のスポーティ・ブランドの売り方には、葛藤や迷いも多かろう。ただ、どんなアーキテクチャーでも、デザインや乗り味にはまったく迷いがないのが、アルファの強みでもある。誤解を恐れずにいえば、外観なら例の盾グリルと5ホールデザインホイール、内装なら独立2眼風メーターがあれば、アルファに見える。こうしたお約束が通用するのは、長い伝統を積み重ねてきたゆえの強みだ。走りでいえば、手首のスナップひとつで向きを変える、元気印の超クイック・ステアリングが最新アルファのお約束。昭和オヤジ的にいえば、いやいや伝統のアルファのコーナリングは、もっと滋味深くてじんわりしたもの……といいたくなったりもするが、時代に合わせて変わっていくのも、また伝統ということか。




アウディQ8スポーツバック 55eトロン・クワトロSライン「エンジンから解放されたクワトロ」

アウディといえばクワトロ。道なき道をゆっくりと分け入るためだった4WDを、センターデフ付きフルタイム方式として、フラットダートや舗装路を速く安定して走るために初めて使ったのが1980年のアウディだった。つまりスポーツ4WDの元祖だ。このQ8 e-tronはそんなアウディの近未来をリードする旗艦BEVなので、ご想像のとおり4WDである。ただ、BEVなので前後に独立してモーターを置いており、前後に機械的なつながりはない。車重2.6t以上のスーパーヘビー級だが、しかるべき場所で走らせるとありえないくらいのコーナリングスピードを発揮する。けっこう積極的なトルク配分をしているのか、アクセルを踏むほど、元気に笑ってしまうくらいグイグイ曲がる。しかも路面に吸いつく安心感はそのまま。そういえば、アウディのエンジン車は戦後から一貫してFFレイアウトであり、クワトロもFFベースらしく、基本的には安定志向だった。そんなエンジン車の呪縛から解放されたクワトロを味わうと、アウディはずっと前からこういうことをやりたかったのだろうな……と思う。


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