2024.05.31

CARS

「極上の乗り心地や室内の上質感はGクラスを上回る」 モータージャーナリストの渡辺慎太郎がランドローバー・ディフェンダー110ほか5台の注目輸入車に試乗!

モータージャーナリストの渡辺慎太郎さんが5台の注目輸入車に試乗

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ランドローバー・ディフェンダー110 V8「ハイブランドの登山靴」 

老舗SUVメーカーであるランドローバーは現在、レンジローバー、ディスカバリー、そしてディフェンダーの3本のプロダクト・ラインを展開している。公式には、レンジローバーはラグジュアリーと洗練性、ディスカバリーはレジャーと多用途性、ディフェンダーはデュアルパーパスと頑強性となっているけれど、靴に例えるとレンジローバーは革靴、ディスカバリーはサイドゴアブーツ、ディフェンダーは登山靴、みたいな感じかもしれない。日本でもようやくディーゼル・エンジンが市民権を得てきたようで、ディフェンダーも90では68%、110では78%(2024年モデル販売構成比)をディーゼルが占めているという。ここであえてのガソリンV8の追加導入にはちょっと驚いた。ただ、メルセデスの登山靴であるGクラスはV8をラインナップしており、ヤツと戦うにはV8も必要という判断なのかもしれない。V8を搭載したことで、ディフェンダーはこれまでのカジュアルな雰囲気に、重厚感や高級感がトッピングされた。エアサスがもたらす極上の乗り心地や室内の上質感はGを上回る。ハイブランドの登山靴である。




マクラーレン・アルトゥーラ「ハンドリングは秀逸」 

マクラーレンのどのプロダクトに試乗してもいつも最初に感心するのはその乗り心地である。自分の(たいしてあてにならない)記憶に刻まれているミドシップのスーパースポーツカーの乗り心地とはおよそかけ離れたところにあって、下手なセダンよりもずっと乗り心地がいい。この快適性を司るプロアクティブ・ダンピング・コントロールのシステムだけ、あのメーカーやそのメーカーにいっそ売ったらいいのにと思うほどだ。パワートレインはV6とモーターを組み合わせたPHEVで、モーターのみを駆動させるEV走行も可能。その最大航続距離は約31kmで控え目となっていることからも、メルセデスAMGのEパフォーマンスのように環境問題に対する社会的責任と、スポーツカーメーカーとしての期待に応える責任を共に果たそうとしているように窺える。低速域でモーターを上手く使う手法は最近では珍しくなくなってきたが、振動の抑制には最適なバンク角120度のV6のスムーズさとのマッチングはお見事。そしてあくまでも自然で無駄な動きが一切排除されたハンドリングは相変わらず秀逸だった。




フォルクスワーゲンID.4ライト「ステアリングの手応えはとてもスッキリ」

ID.4はBEV専用のプラットフォームを使ったVWのピュアEVではあるけれど、同時にVWとしては極めて稀な後輪駆動モデルでもある。「VWだけにビートルと同じRRの駆動レイアウトか」とすっかり思い込んでいたものの、よくよく調べてみたら駆動用モーターはリア・アクスルよりも前方にあって「これはRRというよりもミドシップではあるまいか」と気が付いたのはお恥ずかしながらごく最近のことである。前輪に駆動力がかかっていない分、ステアリングの手応えはとてもスッキリしていて、この点は他のVWと大きく異なるID.4ならではの特徴と言える。また、バッテリーとモーターをホイールベース内に収めることにより生まれた前後重量の配分のよさも、ID.4の旋回性能にプラスの効果をもたらしている。航続可能距離は最新モデルで延長が図られたそうで、ライトは435km、プロは618kmにそれぞれ伸びている。バッテリーとモーターのハードウェアに変更はなくソフトウェアの変更で実現したらしい。クルマの世界では今後ますます、ソフトウェアの重要性と依存度が高まっていくのだろう。

文=渡辺慎太郎

(ENGINE2024年4月号)

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