2024.04.05

CARS

これがマクラーレン・アルトゥーラに乗ったモータージャーナリストの本音だ!!「フェラーリの対極に位置するスーパースポーツ」by 清水草一

マクラーレン・アルトゥーラに乗ったモータージャーナリストの本音とは?

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今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! ミドシップにバンク角120°のV6.3リッターツインターボを搭載し、電動モーターを組み合わせて8段DCTで後輪を駆動する、マクラーレン市販車初のPHEVモデル、アルトゥーラに乗った清水草一さん、桂伸一さん、斎藤聡さんの3人は、思わず叫んだ!

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「さすがマクラーレンと唸るしかない」清水草一

マクラーレンは、フェラーリの対極に位置するスーパースポーツだ。すべてが理詰めで、官能性などという雑味の入る余地のないクルマだと考えていた。



しかしアルトゥーラは違う。いや相変わらず徹底的に論理的ではあるが、3リッター120度V6ターボ+PHEVという構成は、ライバルであるフェラーリ296GTBと同じ。故かどうかはわからないが、低速域でのトルク感や、完全バランスの120度V6のフィーリングに、適度な官能性を感じるのである。

サウンドの抜けも、V8モデルより明らかに向上している。「音さえよければすべて善し」というサウンド信者である私としても、「マクラーレンも世俗のニーズがわかってきたのか」と、ニヤリとせずにはいられない。いや、マクラーレンのカスタマーは、カサカサに乾いた論理性に惚れているのかもしれないが、その点に配慮して(?)、官能性はあくまで適度なレベルにとどめられている。最高出力(680馬力)をライバルより抑えながら、0-100km/h加速はほぼ同等というところも、さすがマクラーレンと唸るしかない。

マクラーレンの他モデル同様、シンプルなコクピット。ステアリング・ホイール上にスイッチは付いていない。インパネ中央には縦型のタッチ・スクリーンとシフト・スイッチが並ぶ。運転席・助手席ともにシートはバケット形状だ。フロントのボンネット下には容量150リッターのラゲッジが備わる。モノコックはカーボンファイバー製



「俊敏だが扱いやすいレスポンスがマクラーレンの持ち味」桂伸一

日本のお家芸とも言えるHEV、PHEVのモーター走行をスーパースポーツであるマクラーレンがサラッと決める時代だ。モーター音のみで静々と走り出し、自然にV6ターボに点火するや暴力的な加速に転じる……と思ったのは2021年デビューのアルトゥーラの初期型。そこから熟成が進みモーターとエンジンの調和が実に自然になった事は今日の試乗車でも体感できる。

F1の世界にカーボン・モノコックを最初に持ち込んだのがマクラーレンであるように、ミドシップ2シーターのスーパーカーにもカーボン・モノコック・シェルを採用。その強固な剛体のかたまり感による恩恵は、アクセレレーター、変速機、ステアリング、ブレーキと操作がすべてがダイレクトで、俊敏だが扱いやすいレスポンスがマクラーレンの持ち味である。

高い直進安定性を維持した状態から、わずかなステアリングの操作でノーズが平行移動したかのようにロールもせず瞬時に姿勢を変化。といっても過激ではなく、あくまでも素直に自然に応えてくれる扱いやすさも熟成した証し。この凄さこそ同乗試乗で伝えたかった1台だ。




「運転のしやすさは想像以上」斎藤聡

アルトゥーラのコクピットに収まり、クルマへの興味を隠すことなくキラキラと目を輝かせているEPC会員さんを見ながら、彼に共感する部分が自分にもあることを見つけてうれしいやら気恥ずかしいやら。

マクラーレンは、アルトゥーラを新時代に向けたスーパーカーの第一弾であり、新設計シャシーにプラグイン・ハイブリッド・システムを採用した新時代のスーパーカーとして登場させた。しかもエンジンは120度V6 3リッター電動ツイン・ターボの組み合わせ。エンジン単体出力585ps/585Nmに、薄型・軽量・高トルクの新型モーター(アキシャルモーター)を採用し95ps/225Nmを組み合わせシステム出力680ps/720Nmを発揮する。

いざ走らせてみると、その運転のしやすさは想像以上。駆動用モーターのアシストで低速域から力強い走りが可能。電動ツイン・ターボのレスポンスの良さは、まるで素性のいいNAエンジンのよう、操縦性も癖がなく素直の一言。さらに言うとすべての操作系が軽い。マクラーレンは大丈夫。きっとまだまだ楽しいクルマを作ってくれるはずだ。

アルトゥーラは、ミドシップにバンク角120°のV6・3リッターツインターボを搭載し、電動モーターを組み合わせて8段DCTで後輪を駆動する、マクラーレン市販車初のPHEVモデル。エンジンのパワー&トルクは585ps/585Nm、電気モーターは95ps/225Nmである。走行用バッテリー容量は7.4kWhで、電気のみで31kmの走行が可能だ(WLTCモード)。全長×全幅×全高=4539×1913×1193mm。ホイールベース=2640mm。乾燥重量=1410kg。車両価格=3070万円。


写真=茂呂幸正

(ENGINE2024年4月号)

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