2024.06.15

CARS

私にとっては、今のところのベストEクラス モータージャーナリストの高平高輝が新型メルセデス・ベンツEクラスのオールテレインに試乗 これぞEクラス!

ベストEクラスはこれか! E220d 4マチック・オールテレインに試乗

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メルセデスらしい挙動

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エンジンのスペックは197ps/440Nmで、E220dワゴンのものとまったく同一。新型の6代目Eクラスは全車いわゆる電動化されており、このオールテレインもトランスミッション内蔵のISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)を備える48Vマイルド・ハイブリッドである。そのおかげで、始動は非常に静かで滑らかだ。ブン、と一度回転が上昇してアイドリングに下がるのではなく、静々と持ち上がってアイドリング回転に落ち着く。そのため渋滞の中でのエンジン始動/停止がまったく煩わしくない。ちなみにアシストモーター出力も従来型の20psから23psに若干強化されているという。そのせいか、動き出しは身軽で非常に扱いやすく、さらに実用域での豊かなトルクのおかげでどんな場面でも物足りなさとは無縁、ドライバビリティは優秀である。



しかもパキパキ鋭すぎない、穏やかな挙動がメルセデスらしい。というか、試乗会で試したコンベンショナルなサスペンションを備える他のEクラスが、ほぼすべて低速では律儀すぎるほどに路面のデコボコを拾い、ややフラット感に欠ける乗り心地だったのに対して、エアマチック・サスペンションを備えるオールテレインからは、これこれ、これがEクラスだよ、と口に出したくなるようなしなやかさと落ち着きが感じられた。試乗会に用意されていたEクラスのほとんどが走行100kmにも満たない新車で、さらにAMGラインパッケージを装着していたことを勘定に入れる必要はあるが、オールテレインは悪天候も路面も気にすることなくどこまでも走っていける安心感にあふれている。高速道路を流していると燃費表示が20km/リッターに届きそうなことも(航続距離は1000km以上と出た)まことに心強い。



E220dオールテレインの車両価格は1098万円と、E220dステーションワゴン・アバンギャルドよりも140万円ほど高価だが、エアサスペンション&可変ダンパーと4マチック・システムは現状このオールテレインでしか手に入らない。山道での鋭いコーナリングや瞬発力よりも長距離での平均速度の高さ(快適性も含めて)を重視したい私にとっては、今のところのベストEクラスはこのオールテレインである。

■メルセデス・ベンツE220d 4マチック・オールテレイン
駆動方式 フロント縦置きエンジン+モーター 4輪駆動
全長×全幅×全高 4960×1890×1495mm
ホイールベース 2960mm
トレッド 前/後 1630/1645mm
車両重量(車検証記載前後軸重) 2020kg(前1060/後1000kg)
エンジン形式 直列4気筒DOHC16Vディーゼル・ターボ+モーター
総排気量 1992cc
ボア×ストローク 82.0×94.3mm
最高出力 エンジン(モーター) 197ps/3600rpm(23ps/1500-2500rpm)
最大トルク エンジン(モーター) 440Nm/1800-2800rpm(205Nm/0-750rpm)
変速機 9段AT
サスペンション形式 前/後 ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ 前後 通気冷却式スチール・ディスク
タイヤ 前後 255/45R19 104Y
車両価格(税込) 1098万円

文=高平高輝 写真=宮門秀行

(ENGINE2024年7月号)

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