2024.05.28

CARS

ベントレーがW12に続き、現行V8の生産を終了 今後はハイブリッド・ユニットへ移行

電気自動車=バッテリーEV(BEV)の急激な成長に陰りが見えるなかでも中長期的には、ハイブリッドなどを含む、電動化の流れは止まることはないだろう。ベントレーも例外ではなく、純内燃機関ユニットとなる、コンチネンタルGT、コンチネンタルGTC、フライングスパーの各モデルに搭載される現行世代の4.0リッター・ツインターボV8エンジンの生産終了を発表した。

W12に続き、伝統のユニットが終焉

なお、ベントレーは、2024年4月にW型12気筒エンジンの生産を終えたばかり。燃費や騒音規制など、大排気量エンジンやスポーツカーを取り巻く環境は今も昔も厳しいものの、今後は電動化を組み込むことは必須になっている。



ベントレー初のV8は1959年に登場

V8エンジンは、ベンテイガの一部として存続するものの、コンチネンタルとフライングスパー・シリーズの生産終了は、ベントレーの「ビヨンド100」戦略の次のステップへの移行を意味するとしている。2025年までにすべてのモデルでハイブリッド・モデルを揃えることを掲げていて、ベンテイガとフライングスパーはすでにハイブリッド仕様を投入している。

過去75年間、ベントレーの心臓部として重要な役割を担ってきたV8エンジン。「L」シリーズと呼ばれる最初のV8エンジンは、1959年にSタイプ(S2)に搭載され、6.2リッターで180psを発生した。現行型のV8エンジンは、当時のエンジンの3分の2の排気量となるが、3倍のパワーを誇っている。



5万3000台を生産

現在のV8エンジンが搭載されたベントレーは、余力十分なパワーとトルクを発揮するとともに、迫力あるエンジン音、航続距離の長さ、W12エンジンに比べて二酸化炭素排出量の削減を実現してきた。V8エンジンの設計コンセプトは、低燃費を実現しつつ、分厚いトルクを発揮。最高出力550ps、最大トルク770Nmを誇るだけでなく、最大トルクは2000rpmで発揮し、4500rpmまでフラットな台形トルクを維持。86mmのシリンダー・ボアにストローク長を合わせたスクエアな燃焼室を持つエンジンは、パワーとトルクのバランスの良さも美点だった。ツインスクロールターボの採用により、エンジンはリッターあたり135psを超えるパワーを発生している。

今回生産が終了するV8エンジンは、2012年に、オールアルミ製の4.0リッター・ユニットが導入されて以来、コンチネンタル GT、GTC、フライングスパーのV8エンジンモデルとして5万3000台以上が生産。英国クルーにあるベントレーのドリームファクトリーですべて手作業で製造されてきた。



V8のハイブリッドがスタンバイ

V8エンジンが搭載されたコンチネンタルGT、GTC、フライングスパーの最終モデルは、オーストラリア、インドネシア、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、フィリピン、台湾、ベトナムでまだ販売されているものの、生産はまもなく完了。2024年6月に最後のデリバリーが行われる予定になっている。今後は、販売店の在庫もしくは輸送中の在庫車の販売に限られることになる。なお、現行のV8に代えて、新世代のハイブリッド・ユニットを備えたV8が登場することが報じられている。

ベントレーのV8、W12気筒の生産終了で、ハイブリッド機構を持たない純内燃機関仕様は、そろそろ最後の乗り時になっていると言えるだろう。



文=塚田勝弘

(ENGINE WEBオリジナル)

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