2024.08.11

LIFESTYLE

一桁違う価格で至高の体験 フルコースで味わうコーヒーが大人気!

至福のコーヒー体験

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コンビニからメガチェーン、そしてサードウェーブ。昔ながらの喫茶店は減りつつ、コーヒーとの接点は増えている。そのなかで次の潮流と注目される「フルコース」とは……。

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価格は安くても数千円から

コーヒーの楽しみ方は、これまで3つのスタイルがあった。最初は1950年代のインスタントコーヒーによる大量消費、次に70年代からの深煎りを中心としたシアトル系に代表される味の重視、続いてワインのように産地や豆まで品質にこだわることが2000年代に広まったサードウェーブになる。そして次のトレンドとして静かに広まりつつあるのが、フルコースでの高級コーヒー体験だ。

創業メンバーで執行役員の松本健一さんもバリスタとして店に立つ。エスプレッソマシンをビルトインにするなど、カウンターにものを置かないようにすることで、お客とのコミュニケーションを図るようにしている。

特徴はバリスタが1組のお客を相手にコミュニケーションを深めつつ、選び抜いた豆とユニークなレシピで供すること。カップ1杯ではなく、コース料理のように数点が順に淹れられる。価格は安くて数千円、なかには1万円を超える店も。昨年3月、蔵前にオープンしたLonich,(ロニック)もそのひとつで、連日インバウンドを含めた多くの顧客を集める。

高価格の設定に込められた意図

もともとコーヒー関連の仕事をしていた20代のビジネスマン3人が起業し、「これまでにないコーヒー体験を」をコンセプトにオープンした。喫茶店のイメージを心地よく裏切るようなモダンな内装に加え、メニューはその上を行くサプライズにあふれている。中国雲南省の豆を使ったエスプレッソを同省のプーアール茶に垂らしたり、ノンアルコールジンを使ったりなど、あたかもカクテルのような趣。だがそれが単なる趣向ではなく、豆の不純物を取り除く効果を兼ねるなど、最上の状態で味わってもらうための工夫と表裏一体となっている。

運営するオリエンタルコーヒーベンチャーズ執行役員の松本健一さんによれば、こうした形態はバリスタという職業への問題提起でもあるようだ。

「日本ではまだバリスタが正当に評価されているとは言えず、30歳以降は生活のために転職してしまう人も少なくありません。新しいコーヒー体験という付加価値をつけることで、結果的にバリスタの社会的地位や収入の底上げもできればと考えています」





インスタントコーヒーを発明したのは日本人、そしてサードウェーブの創始者たちは日本の喫茶店文化を参考にしたといわれる。平成生まれの若い世代が発信するおもてなしが4つめのスタイルとなるのか。初めての珈琲体験には、隠し味のようにそんな期待を感じさせる。

文=酒向充英(KATANA) 写真=杉山節夫

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