2024.07.14

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン・オーナー、エンジン編集部ウエダ、3Dプリンターで再生産された部品を個人輸入!【シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#41】

届いた荷物がこれ! 果たして中身は?

全ての画像を見る
3Dプリンターで廃盤部品を再生産

advertisement


ちょうどこの取材に前後して、エグザンティア購入時から気になっていた部品の1つである、シフトノブを個人輸入した。当初から表面に大きなヒビが入っており、駐車する時はハンカチをかぶせておくなど、なるべく直射日光が当たらないようにしていたが、ヒビがしだいに育っていったからだ。



樹脂製のシフトノブの劣化は、この年代のPSAグループ各車のお約束である。ZXやXM、初期型のクサラとも共有しているエグザンティアのオートマチックのシフトノブは、内部の骨格となる硬い樹脂素材の周囲を、柔らかな別の樹脂素材が覆っている構造だ。そのため時間が経つと外側の樹脂だけがボロボロと剥がれ落ちる。たいていの中古車は硬い樹脂がむき出しになっているか、革などで新たにカバーを造り、覆っていることが多い。

リポート車も過去に一度交換したと前オーナーから聞いていたが、残念ながらこのシフトノブ、すでにシトロエン純正部品は絶版だ。数の少ない右ハンドル用だから仕方がないかと思いきや、左ハンドル用もすでに市場に出回ることはほぼないらしい。絶対数の少ないオートマチック仕様ゆえの問題といえるだろう。



乗るたびに目につくし、必ず手で触れるところなので、デッドストック品をずっと探していたのだが、ある時Facebookで、南仏のF.D.M.(Fujiwara Design & Manufacturing)というところがリプロダクト品を販売しているのを発見した。公式ホームページによるとフランスの会社で、2CVやルノー・キャトルなどをはじめとする自動車の部品や、100%フランス製のフロアマット、トリップ用のピローなども販売している。

いまどきだなぁ、と思ったのはリプロダクトの手法が3Dプリンターという点だ。エグザンティアのシフトノブ以外だと、ルノー5ターボの廃熱用ファン・ユニットや、アルピーヌV6用のシフトノブ、アルファ・ロメオ147GTA用のフロント・ウインカーなどが作例としてホームページで紹介されていた。

昔と違って様々な決済方法が選べるし、配送状況のトレースも可能な現在では、個人輸入は大いに簡単になった。とはいえ商品の送り間違いや不良品が届いた時などは、返送費用が高くつくため、結局買い直しを余儀なくされるようなこともまだ希にある。でも、今回の相手は、その名から想像できる通り、日本の人の会社である。翻訳ソフトがいくら高度になっても、母国語で意思の疎通ができるのは、こういうマニアックなクルマだと本当にありがたい。

エグザンティア用のオートマチック・シフトノブに関しては、左ハンドル用、右ハンドル用の対応するシトロエン純正部品番号もきちんと明記されており“レザー・ライク・テクスチャー”と表面の仕上げについても説明があった。掲載写真を見る限り、色はグレーっぽいオリジナルよりもやや濃く、艶っぽい黒に見える。リポート車は上位グレードのV-SXで、ステアリング・ホイールはすっかり艶々になったブラック・レザーなので、おそらく相性は良いだろう。

数回メールでのやりとりをした後、ホームページからクレジットカードで決済をしたのは2023年3月29日だった。到着までまず1週間はかかるだろうと思っていたのだが、たまたまタイミングが良かったのか、なんとオーダーからわずか4日、4月2日夜には自宅で受け取ることができた。支払いの総額は96.55ユーロ。内訳は本体が78ユーロ(購入時はセール期間中で67ユーロだった)、送料が29.55ユーロだ。実はこの時、まだ1ユーロは140円以下! だったので、日本円での支払総額は1万3926円で収まった。

2024年7月現在の1ユーロ=175円近い為替レートを考えると、なかなか気軽に個人輸入はできない時代になってしまったな、と思う。とはいえ、F.D.M.ではこれまた経年劣化で折れやすいエグザンティアのフューエル・リッドのヒンジも3Dプリンターによるリプロダクトを予定しているらしいので、価格次第ではまた取り寄せたいと思っている。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement