2024.11.13

CARS

【前篇】28万km、14万km、11万km、過走行の初代カングー3台オーナー座談会 どうしてカングーはこんなに運転が楽しいのか?

青11万km、銀14万km、黄28万kmの過走行カングーブラザーズ(笑)!

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エンジン編集部の長期リポート37号車の担当シオザワ、新潮社校閲部の隠れフランス車好きのイシカワ、ヤフオク7万円のシトロエン・エグザンティアの代車でたまたま乗っている編集部ウエダ。3人のオーナーが語るあふれる「初代カングー愛」を、ムック本の『ルノー・カングーのすべて』で現地取材も行ったことがあるモータージャーナリストの佐野弘宗が聞いた。どこからどう見ても実用車然とした姿のルノー・カングー。でもこの仏産の何でもない小型車の、特に初代モデルは実は素晴らしいドライバーズ・カーだ! と、オーナーたちは口を揃えるのだった。今回は序章としてその前篇をお届けする。

なぜカングーがドライバーズ・カーなのか?


サノ では、カングーの座談会をはじめます。私は普段カングーに乗っているわけではないけど、ルノー好き自動車ライターとして、ずっとカングーをウォッチしてきた。初代以来のカングー専用工場のあるフランスはモブージュに2回取材に行ったことがあるのも私のプチ自慢(笑)。

座談メンバーはカングー生誕の地、仏モブージュ工場に取材に行ったジャーナリストの佐野弘宗氏とエンジン関係、編集部のシオザワ、ウエダ、そして新潮社校閲部のイシカワの計4名。


シオザワ なんでカングーがドライバーズ・カー特集にでてくるの?

イシカワ 僕は納得がいくけど。

ウエダ ヨーロッパのカングーはお仕事グルマ。ドライバーズ・カーというか、“プロ”ドライバーズ・カー。

シオザワ さっきからドライバーズ・カーの定義ってなんだろうと考えていたんだけれど、カングーが「プロのためのドライバーズ・カー」というなら意味は分かる。


ウエダ 運転手の快適性に加え、積載性能や動力性能を追求している。

サノ 日本のトヨタ・プロボックスやハイエースも、実は知る人ぞ知る走りのいいクルマだったりするし。

イシカワ カングーはハイエースよりプロボックスが近い気がする。

参加車両はいずれもかなりの過走行車。特に黄色の本誌上田の代車はメーター交換歴もありすでに28万km弱も走っている。通常のハッチに加え、主に流通している今回の3台のような左右非対称の観音開き式や、一部ルーフ部分も開く仕様など、様々なリア・ゲートも。荷室容量は650~2600リッター。


シオザワ いずれにしても、プロ・ドライバーズ・カーは「運転を楽しむ」なんて、チャラい発想で造られているわけではない。たとえば、24時間ぶっ続けで走っても、安全に目的地まで荷物が届けられる、あるいは目的地に着いてからバリバリ仕事ができるように造られている……と信じている(笑)。でも、そういうクルマが、なんで運転が楽しいドライバーズ・カーになるんだろう?

サノ 今はヨーロッパでも交通の流れが低速化しているけれど、初代カングーが開発された90年代のヨーロッパは、明らかにハイスピード交通の社会だった。そういうところで全開でこき使われてもいいように、タフな造りであることは確か。

ウエダ 先日ポーランドで現地の高速を走ったんだけど、ちょっと昔の独アウトバーン並みに、平気で170~180km/hで走っていた。場所によって違反なんですが。そんな中でも、追い越し車線にカングーやベルランゴ、リフターもがんがん出てくる。



サノ 実際、ルノーの商用車は、約1000台を常時モニターして耐久性をチェックしているとか。初期信頼性の目安は6万kmで、次は15万kmでユーザーの9割に不満が出なければ合格。こうした耐久テストは乗用車では30万kmで終了するいっぽう、カングーのような商用車は40万kmまで確認するらしい。

ウエダ カングーのクルマづくりは、いわば民生用ではなく業務用。今回の3台も、走行距離は青11万km、銀14万km、黄28万kmだから、まだまだ想定された耐久性の範囲内。

サノ だから、今回の3台ともよく走る。黄色いカングーはエンジン内部まで手が入っているけど、基本的にブッシュなどの消耗品のほか、鬼門のATなど押さえておけば、ビックリするくらいシャキッと走る。

シオザワ 今日もここまで来るのに早朝の中央道と首都高を走ってきたんだけど、日本でも、お仕事グルマはみんな飛ばしているね。人や荷物を満載して仕事先に行って、そこで丸1日仕事する。となれば、ぶっ飛ばしてもしっかり安定して、疲れにくいという性能はすごく大切だよ。

サノ そういう使いかたは、カングーにとっては文字どおり朝飯前。カングーも商用モデルと乗用モデルで細かい違いはあるけど、基本的にはサスペンションの耐荷重の差だけで、ボディなんかのつくりは共通。

ウエダ われわれのような日本のカングー乗りは、そういう風にタフに造られたクルマを、いわば空荷に近い状態で使っているわけか。だから、カングーにとって日本の使われ方は余裕シャクシャクなんだ。

◆では実際に3台のカングーはどんな使われ方をしているのか。トラブルはないのか。3台3様の話は【後篇】に続く!

話す人=塩澤則浩(ENGINE編集部)+上田純一郎(ENGINE編集部)+石川芳立+佐野弘宗(まとめも) 写真=阿部昌也

(ENGINE2024年12月号)

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