2025.02.22

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン、ハイドロ整備と車検を終えて無事復活! シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#64

写真は羽田空港を望む某公園駐車場にて。離着陸する飛行機の姿がよく見える。「天国の日々が戻ってきた! これで憂いなく海外に行けるぞ!」と、ひとり筆者はエグザンティアの後ろでニヤニヤしていたはずだ。

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ヤフー・オークションで7万円のシトロエン・エグザンティアを手に入れ、10カ月の時間と200万円を投じて大規模修復を実施。しかしながら幾度もトラブルに見舞われ、なんとか綱渡り状態で修復予算をひねり出し奮闘するエンジン編集部ウエダの自腹散財リポート。今回はハイドローリック・シトロエンの肝、LHMの流れる配管関係の作業がすべて終了し、購入後2回目の車検も終え、丸1カ月ぶりに路上復帰するまでの様子をお届けする。

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焦げたサスペンション制御回路

事前の予習のおかげで想像はしていたが、こじ開けた車載サスペンションECU(電子集積回路によるコントロール・ユニット)の中の様子はなかなかショッキングなものだった。リレー周囲の集積回路はオレンジ色になり、リレー自体も溶けかけている。



これまでエグザンティアの色々なところに手をかけてきたけれど、いやはやまだ先は長いなぁ……。リポート車の主治医、カークラフトの篠原 勇さんはそんな僕の独りごとを耳にし「その通り、まだまだだよ」と笑みを浮かべた。

「でも、まだ手が入れられるから、いいんだよ」。彼はそう続けた。ヤングタイマーと呼ばれる1980〜1990年代のクルマや、エグザンティアくらいの2000年代前半までのクルマは、電子集積回路が採用されはじめ、そしてどんどん欠かせない存在となっていった時代のもの。ダイオードやコンデンサーがリポート車のようにハンダ付けのレベルで脱着が可能なら、電子部品を探し出し、その道のプロへ依頼すれば、まだ修復できる。

しかしこの後、電子集積回路は易々とは触れられない方向へと、ものすごい勢いで進化していった。複雑化し緻密になり、盗難防止の要素が組み込まれて個々のクルマを明確にせざるを得なくなり、ソフトウェアの守備範囲が広がると、電子部品の単純な交換だけではもう修復はできず、車体一台分単位でまるごと交換するしか手がない。2010年代まで2世代続いたC5や旗艦C6などエグザンティア以降の最後のハイドローリック・シトロエンたちは、部品の欠品とこうした事情で、悲しいかな延命がどんどん難しくなっていっている……。

閑話休題。リポート車の焦げてしまったオリジナルのサスペンションECUに話を戻そう。

リレーは捜索を続行

このECUは結局、溶けかけたVN05Nというリレーの代替え品が入手できず、修復を一時中断。これまで同様前オーナーのストック品を継続使用し、リレーが見つかるまでオリジナルECUは保管しておくことにした。



とはいえ、今後は2つめのECUも同じ状況に陥り、何度も紹介してきたエレクトロ・バルブに電圧がかからず硬軟2種の走行モードがハード側に固定してしまう、いわゆる“ハード・ロック”状態になるかもしれない。

実はカークラフトでは所有する赤い後期型エグザンティアで、この対策になるテストも行っていた。ハード側への固定化は、正直いいことがほとんどない。そこで着手したのが逆にソフト側へ固定する“ソフト・ロック”化である。

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