2025.02.22

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン、ハイドロ整備と車検を終えて無事復活! シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#64

写真は羽田空港を望む某公園駐車場にて。離着陸する飛行機の姿がよく見える。「天国の日々が戻ってきた! これで憂いなく海外に行けるぞ!」と、ひとり筆者はエグザンティアの後ろでニヤニヤしていたはずだ。

全ての画像を見る

advertisement


ハイドラからハイドロへ

エグザンティアのハイドローリック・システムは2種類ある。1つはDSから連なるベーシックなハイドロニューマチック。そしてもう1つがリポート車やカークラフトの赤い後期エグザンティアに搭載されているハイドラクティブである。



搭載システムの正式名はハイドラクティブ“2”。兄貴分のXMでスタートしたハイドロニューマチックにロール制御を追加した、ハイドラクティブの処理速度などを向上させた第2世代だ。基本は前後2つずつ、計4つのスフェアと呼ばれる緑の球でシャシー・コントロールをするハイドロニューマチックに対し、前後3つ、計6つのスフェアを用いるのがハイドラクティブとなる。

ハイドラクティブのECUは、車両の様々な情報から逐次前後2つの追加スフェア基部にある問題のエレクトロ・バルブに電圧をかけて開閉させ、追加スフェアを働かせたり休ませたりし、ロール量を2段階に切り替えている。バルブは一定電圧がかかると開き、通常の柔らかなソフトなモードへ。そして電圧が遮断されれば、瞬時に硬いハードなモードになる仕掛けだ。

このECU制御を無視して一定電圧をバルブにかけ続ければいいのでは、と過去にテストもしたが、エレクトロ・バルブのカプラー部が溶けてしまった。これは第26回のリポートで紹介した通りだ。



そこでカークラフトでは、赤いエグザンティアのエレクトロ・バルブを、ECUからの指示を受け付けないよう、開いた状態で機械的に固定してしまった。

この方法はエグザンティアやXMなどハイドラクティブ/ハイドラクティブ2搭載車両に乗る先人たちによってすでに数多く実施されており、むしろ通常時の乗り心地はシンプルなハイドロニューマチックよりも良くなるのでは? ともいわれている。

“ザ・シトロエン”な乗り味へ

時々赤いエグザンティアに乗る篠原さんによれば、乗り味はずっとハイドラクティブより自然だそうで「いうなればハイドラのハイドロ化。よっぽどこっちのほうがザ・シトロエンだよ」とその変化にとても満足していた。



そこでリポート車もリレーが見つかるまでの暫定として“ソフト・ロック”化を決定。もう何度目か分からないが、前後のエレクトロ・バルブはまたしても外され、内部構造に手が入り、シリンダー部を開放状態で固定した。

こうして“ハード・ロック”に悩まされた第25回のリポート時からちょうど2年を経て、リポート車は完全な“ソフト・ロック”状態になったのである。

避けられない燃料リスクはフィルターで

車検作業に関しては、特筆するべきことはほとんど何もしていない。消耗品などの交換作業を除くと、ほぼ法定点検のみだ。これだけ細かく定期的にきちんと油脂類の交換を続けていれば、特別なことをする必要はそうそうない。



ただし、カークラフトではフューエル・フィルターのみ、車検毎の交換を推奨しており、リポート車も新品と付け替えている。

ガソリンは税金を含む価格はもちろんのこと、その性能や品質など、これだけ日々触れているものなのに、ユーザーにとってほぼ店舗しか選択の余地のない、アンタッチャブルなものだ。いつ精製され、どんな経路で運ばれ、いまがどんな状態なのかすら、まったく分からない。もしそんな肉や魚や野菜や果物があったら、絶対に買いたくないと思うのが普通なのに。

もっとも、現在の自動車はガソリンの質でそう簡単に能力が変化することはない。かつてのように仕向地でセッティングが異なるようなこともない。でも日本の道路を走る多くの輸入車のフューエル・フィルターを開けてみると、ちょっと驚くほどの汚れが見つかるのは事実である。

カークラフトでは燃料のほうを選べないなら、そのリスクは交換できるフィルターで防ぐという方針だ。機会があれば、使用後のフィルターを分解し状態を検分してみたいと考えている。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement