2025.03.01

CARS

ヤフオク7万円のシトロエン、点検のし過ぎもご用心 シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#65

第38回のリポートでも登場した首都高速道路・平和島パーキングエリア(下り)にて撮影。車体を上から見ると分かるのだが、樽のように前後が絞られているエグザンティアは、慣れないところだとかなり意識しない限り真っ直ぐに駐車するのはなかなか難しい。

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ぐにゃり、という嫌な感触

エンジン・ルームの向かって左手の隅にある冷却水タンクの蓋は、もうすっかり色褪せてしまっているが、いかにも「触るときには注意しろ!」そして「マニュアルを読め!」と言わんばかりにビックリ・マークと開いた本のマークが凸型に成型されている。オープンを意味するフランス語、“Ouvert”の頭文字の“O”と左まわりの矢印、そしてクローズを意味する“Fermer”の頭文字の“F”と右まわりの矢印が、その周囲に絶妙な形でデザインされていた。矢印がクランク状に曲がっているのは、ある程度の所まで回すと爪でロックされることを示しているのだろう。



こんな凝ったデザインであることなど実はまったく気にしていなかったのだけれど、今回はしげしげと蓋を見ざるを得なかった。というのも、いつものように冷えているかを確認して左に回すと、ぐにゃり、と嫌な感触が伝わってきたからである……。



蓋を手に取って裏返してみると、2つあるはずの爪の片方が、なんと欠けてしまっていた! この状態でも残りのもう1つの爪は健在なおかげで、とりあえず蓋を閉めることはできた。が、圧力がまともにかかっていない状態なのは間違いない。

もともと圧力がきちんとかかっているかは第51回のリポートでも書いた通り、蓋のゴムのシールを再生した時に確認済みだったけれど、蓋そのものは樹脂製だから、長い間使っていればいつか割れてしまうのは仕方がない。過去には冷却ファンが怪しい動きを見せ、冷却水もあふれて、もしやオーバーヒートか? と焦ったこともあった。冷却水量には神経質になっていて、蓋を開け閉めしすぎたのかもしれない。

とはいえ、もっと昔のクルマのように蓋もタンクも金属製だったら、そうそう問題にはならないところだ。この時代に一気に進んだクルマ部品の樹脂化は、主にコストダウンのためだろうけど、こういう弊害が嫌でも出てくる。

幸いリポート車は蓋の爪が欠けただけで、タンク側の爪にはダメージはないようだった。僕はその場で主治医のカークラフトに電話してパーツを発注。「何でそんなところが壊れるんだよ?」とビックリされたけれど、幸い純正の新品部品は注文可能だった。1週間以内に届くそうだが、その到着まで困るようならゴムのシール部を再生した中古の良品を宅急便で送るという。出かける用事もあったし、冷却水タンクの蓋など、万一の時のための予備があって困るものでもない。中古品を先に送り出してもらい、新品の到着は別途待つことにした。



結局蓋の開け閉めが多かったのが原因なのか、たまたま寿命だったのかは分からない。でも、蓋の損傷に気がつかず、そのまま走り続けてしまうよりずっと良かったじゃないか、と僕は自分に言い聞かせたのだった……。

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