2025.04.04

LIFESTYLE

主演女優の差別ツイートで大炎上! それでも映画『エミリア・ペレス』が面白い理由

運命的な再会を果たした2人

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今年度の賞レースで大きな話題を呼んだ異色作が上陸。女性に生まれ変わった麻薬カルテルのボスをめぐる物語が、なんとミュージカル仕立てで描かれる……。

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カンヌでの快挙から一転

昨年のカンヌ国際映画祭では出演した4人の女優全員が最優秀女優賞に輝くという前代未聞の快挙をなしとげ、3月2日に授賞式が行われた米アカデミー賞でも作品賞を含む、最多12部門にノミネートされた『エミリア・ペレス』。72歳になるフランス映画界の名匠、ジャック・オーディアールが手掛けた、メキシコを舞台にした異色の人間ドラマである。



優秀な弁護士でありながら上司に利用され、金持ちの犯罪者を無罪放免にする手助けをしていたリタ。ある日、メキシコ全土で恐れられている麻薬カルテルのリーダー、マニタスに拉致された彼女は、本人から耳を疑うような相談を受ける。それはなんと、「自分は女性として生まれ変わりたいので、手術ができる最高の名医を秘かに探してほしい。そして、誰にも知られないよう、新しい人生を用意してほしい」というものだった。

本作ではエミリア・ペレスという女性に生まれ変わったマニタスを中心に、”彼女”を支える弁護士のリタ、突然、夫をなくした妻のジェシー、そしてエミリアと恋仲になるエピファニアという、4人の女性たちの物語が描かれる。



本作がいかに変わっているかは、このあらすじだけでもお分かりいただけるだろう。だがさらに意表を突かれるのが、ミュージカル仕立てになっていることだ。いわゆるブロードウェイ・ミュージカルのような派手なものではないが、それぞれに葛藤を抱えた登場人物たちが、自らの内面を吐露するかのように歌い、そして時に踊り出すのである。

それぞれの役者が素晴らしい存在感を見せるが、強烈なインパクトを残すのはエミリア・ペレスを演じるカルラ・ソフィア・ガスコンである。自身も役柄と同じトランスジェンダーの女性で、一時はアカデミー賞主演女優賞の有力候補とまで言われていた。だがその後、人種や宗教に関する差別的なツイートを過去に連発していたことが明らかになり大炎上。オスカー受賞の夢も泡と消えてしまったのだ。

そんな残念なスキャンダルに見舞われたものの、この作品がすこぶる面白いという事実は変わらない。数奇な運命に翻弄されながらも、自らの道を突き進もうとする、挑戦的な女たちの行く末をぜひ見届けてもらいたい。



■『エミリア・ペレス』:女性として新たなる人生を歩み始めた主人公を支える弁護士、リタを演じるのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でもお馴染みのゾーイ・サルダナ。本作でアカデミー賞の助演女優賞を受賞した。一方、近くにいる女性が、実はかつての夫だったことに気がつかないジェシーに扮したのは、歌手としてアイドル的人気を誇るセレーナ・ゴメス。本作で女優としての才能があることも証明した。133分。配給:ギャガ。全国ロードショー中 (C) 2024 PAGE 114-WHY NOT PRODUCTIONS-PATHE FILMS-FRANCE 2 CINEMA COPYRIGHT PHOTO : (C) Shanna Besson

文=永野正雄(ENGINE 編集長)

(ENGINE2025年5月号)

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