2025.05.02

CARS

次世代高級リムジンはバン・ベース? カラオケもできるメルセデス・ベンツ・ビジョンV

メルセデス・ベンツが上海モーターショーで公開したビジョンV。

全ての画像を見る
メルセデス・ベンツが、上海モーターショーで公開したビジョンVは、次世代電動バン用プラットフォームを用いる高級ミニバンのコンセプト・モデルだ。

2026年に市販モデルが登場

バン・エレクトリック・アーキテクチャー(バンEA)と銘打ったプラットフォームは、フレキシブルにサイズを変更できるモジュラー構造を採用。2026年には、これを用いた新型車を投入する予定だ。



そのバリエーションは、実用的なエントリー・レベルのファミリー・ミニバンからVIPの移動手段、広大なスペースを持つ豪華なリムジンまで幅広く用意される。

今回のビジョンVは、トップ・エンドのショーファー・ドリブン・カーを提案するもの。3サイズは5486×2100×1892mm、前後トレッドは1820/1860mmと巨大だ。ホイールベースは3530mmに達し、旋回サークルは14.5mというので、回転半径は単純計算で7mを超えることになる。



この巨体を利して、室内には広大かつ豪華な空間が構築される。マテリアルは、クリスタル・ホワイトのナッパ・レザーとシルク、オープン・ポアのバール・ウッドをふんだんに使い、サイド・ボードやキャビネットなどにはポリッシュしたアルミのフレームにダーク・ウッドを組み合わせた。

前後キャビンの間は、透明度が変化するガラス・パーティションが仕切り、後席側にはフロアに格納された4K画質の65インチのスクリーンを展開することができる。ドルビー・アトモス対応のサラウンド・オーディオは、なんと42スピーカー。ガラスのエンクロージャーに収まったスピーカーは、装飾品としての見栄えもいい。

シートは前後とも、柔軟性が高いチューブラー構造を採用。リアは、乗車時の1.エントリー、後方へ下がって65インチ・スクリーンが立ち上がる2.デフォルト、リクライニングさせた3.リラックス、さらにオットマンが上がる4.スリープと、4つのポジションに変化する。



プライベート・ラウンジがコンセプトの後席スペースは、音楽やムービーを楽しむだけでなくゲームやネット・ショッピング、仕事、カラオケまでできる。目的地の情報の検索や、リラックスできる映像と環境音楽で癒されるモードを選ぶことも可能だ。

大胆で迫力のある巨顔系

エクステリアは近年のメルセデス製EVらしい、大胆な曲面で構成されるもの。フロントにはフレームで囲まれた巨大なグリルを思わせるパネルと、逆三角形を連ねたヘッドライト、スリー・ポインテッド・スターのマスコットを設置し、ボンネットにはダッシュボードまで続く2本のパワー・ドームが走る。グリルのルーバーにはイルミネーションを仕込み、ヘッドライトの灯体はスリー・ポインテッド・スターを象った。



サイドは、アーチを描くセダンのようなサイド・ウインドウと、後端まで伸びたルーフ・ラインを組み合わせ、デザイン性と空間効率を両立。クロームのBピラーには、画像が浮かび上がるウェルカム・スクリーンが組み込まれる。前席ドアと、右側に設置されるスライド・ドアは自動開閉式。24インチのホイールは、イルミネーションを内蔵している。

ルーフ・パネルには、高効率な背面コンタクト太陽電池を168セル設置し、1日あたり年間平均では2.08kWhの発電が可能。夏期ならば3.44kWhに達し、走行距離に換算すると22km分に相当するという。



リアは、バック・ドアを囲むようなテール・ライトが特徴的。3Dルーバー形状のイルミネーションが450以上組み込まれ、尾灯とブレーキ・ライトとして機能する。

なお、バンEAと約70%のパーツを共用する、内燃機関向けのバン・コンバッション・アーキテクチャー(バンCA)も準備中であることが、すでに公表されている。



トヨタ/レクサスがブッちぎっている高級ミニバン市場だが、日産が逆襲を期した次期エルグランドの存在を発表しており、ここにメルセデスがBEVとICEの2本立てで参戦すれば、高級車の新カテゴリーが一層の盛り上がりを見せそうだ。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement