2025.05.10

CARS

アストン・マーティンの革新を体現するスーパーカー「ヴァルハラ」が上陸

アストン・マーティンのスーパーカー「ヴァルハラ」の生産型モデルがついに上陸。

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アストン・マーティン初の量産ミドシップ&プラグイン・ハイブリッドのスーパーカー「ヴァルハラ(Valhalla)」の生産型がついに日本初公開となった。

ミドシップ+PHEVでドライバーズ・カーの未来を提示

2025年5月9日、アストンマーティン・ジャパンは東京・青山にあるAston Martin Tokyoで、同社の次世代スーパーカー、ヴァルハラのプロダクション・モデルを日本初公開した。



ヴァルハラはF1テクノロジーとラグジュアリーが融合した究極のドライバーズ・カーであり、最高出力1079psを誇るパワートレインと、革新的なアクティブ・エアロダイナミクスで、サーキットと公道を自在に駆ける。

コンセプト・カーやレーシング・カーを除けば、ヴァルハラはアストン・マーティンの量産車として初のミドシップ・エンジン・レイアウトを採用したモデルであり、同時に初のプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)でもある。



モータースポーツ、とりわけF1のテクノロジーと、アストン・マーティンが長年培ってきたエレガンスが融合した、ブランドの革新を体現する次世代スーパーカーだ。

開発の中心に据えられたのは、“究極のドライバーズ・カー”という思想。そのために、アストン・マーティン・アラムコ・フォーミュラ1(R)チームのコンサルティング部門、アストン・マーティン・パフォーマンス・テクノロジーズ(AMPT)がプロジェクトに深く関与し、シャシー設計からアクティブ・エアロダイナミクス、車両ダイナミクス制御まで、F1レベルのノウハウが惜しみなく投入された。



搭載されるパワーユニットは、828psを発揮する新開発の4リットルV8ツイン・ターボ・エンジンに、フロント2基、リア1基の電動モーター(合計251ps)を組み合わせたハイブリッド構成。システム総合出力は1079ps、最大トルクは1100Nmに達し、0-100km/h加速は2.5秒、最高速度は350km/hというスペックを誇る。

驚異的なパフォーマンスでありながら、EVモードでは最高速度140km/h、航続可能距離14kmという、ゼロ・エミッション走行も可能。サーキットと都市をシームレスにつなぐ、新しいスーパーカーの形を提案する。

特筆に値するエアロ・ダイナミクス

このヴァルハラが目指したのは、ただ速いだけではない。空力性能と運動性能の融合によって、ドライバーが自らクルマを操る歓びを極限まで追求している。特に、アクティブ・エアロダイナミクスの仕組みは特筆に値する。





前後のウイングは走行状況に応じて角度や位置を自動で変化させ、必要なときに必要なだけのダウンフォースを発生。最高時速240kmで600kg以上という圧倒的なダウンフォースを実現しつつ、DRS(ドラッグ・リダクション・システム)によって高速巡航時の空気抵抗を削減することも可能だ。

車両制御の中核を成すのはIVC(インテグレーテッド・ビークル・ダイナミクス・コントロール)と呼ばれる統合制御システム。これはパワートレイン、サスペンション、空力デバイス、ステアリング、ブレーキまでを一括して管理し、状況に応じた最適な設定をリアルタイムで導き出す。

ドライビング・モードはピュアEV、スポーツ、スポーツ・プラス、レースの4種類が用意され、それぞれに応じて車両のキャラクターが劇的に変化。例えばレース・モードではリア・ウイングが255mm上昇し、最大限のダウンフォースを発揮。一方でEVモードではリア・ウイングは格納されたままとなり、エレガントなボディ・ラインが際立つ。

エア・ブレーキも採用

車体構造には、軽量かつ高剛性なカーボン・ファイバー製モノコックを採用し、車両重量は1655kgに抑えられている。前後のサブ・フレームにはアルミニウムを使用。足まわりには、フロントにF1スタイルのプッシュロッド式サスペンション、リアに5リンク式を採用し、ビルシュタインの最新アダプティブ・ダンパーを組み合わせた。これにより、路面の変化やドライバーの入力に即座に反応し、的確なボディ・コントロールと快適性を両立される。



制動系には、カーボン・セラミック製ブレーキ(前410mm/後390mm)を搭載し、ブレーキ・バイ・ワイヤ方式によって回生ブレーキとの制御も一体化。さらに、アクティブ・エアロによるエア・ブレーキ機能が加わることで、減速時の安定性と制動距離の短縮にも貢献している。



インテリアもまた、F1の影響を色濃く感じさせる。ドライビング・ポジションはヒップとヒールの高低差を抑えた低重心設計で、カーボン・ファイバー製の一体型シートが身体をしっかりとホールド。ステアリング・ホイールにはマルチファンクション機能を持つカーボン製アーマチュアが装着され、情報表示用ディスプレイも視線移動を最小限に抑えるコラム・マウント式となる。

さらに、センター・コンソールにはドライブ・モードやEVモードの状態をリアルタイムで表示するパワーフロー・ビジュアライザーが搭載され、ハイブリッド・システムの動作が一目で把握できる。

超高性能と日常性の両立

発表会には、アストン・マーティン本社のビスポーク・プログラムであるQ by Aston Martinのスペシャル・プロジェクト・セールス責任者であるサム・ベネッツ氏が登壇し、次のように語った。



「ヴァルハラは、我々の量産車としては初めての本格的ミドシップ・スーパーカーです。プラグイン・ハイブリッドとしても初、ピュアEVでの走行が可能な点でも初。これまでにない多くの“ファースト”を実現したモデルです」

「そして、F1のノウハウを活かした空力制御、統合ダイナミクス、3モーター式ハイブリッド・パワートレインを組み合わせたことで、性能と日常性の両立を達成しました。このクルマは、世界で最もドライバーに特化した先進的なスーパーカーです」

外装デザインもまた注目に値する。滑らかでクリーンなサーフェスに、空力装置を違和感なく融合させたボディは、視覚的な美しさと空力効率を両立。リアには大型のベンチュリ・トンネル、ルーフには戦闘機を思わせるシュノーケル型エア・インテークが装着され、空力的にも機能的にも緻密にデザインされている。

アストン・マーティン・ヴァルハラ。

オーナーはQ by Aston Martinによるパーソナライゼーション・サービスを通じて、ボディ・カラー、ホイール、素材、仕上げなどあらゆる面で自分だけのヴァルハラを創り上げることができる。サーキットで輝き、公道でも走らせたくなるこのマシンは、まさにアストン・マーティンの未来を象徴する存在と言えるだろう。

ヴァルハラは2025 年第2四半期に生産を開始する予定で、999台の限定となる。車両本体価格は1億2890万円(税込)。

文=佐藤 玄(ENGINE編集部) 写真=アストン・マーティン/佐藤慎吾(ENGINE Web)

(ENGINE Webオリジナル)

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