2025.05.15

CARS

選び方もやっぱりシンプル&クリーンに ホンダ・ステップワゴンに新グレードが追加され装備差が解消

グレード体系が再編成された新しいステップワゴン。

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ホンダはステップワゴンのグレードを再編成。現行モデルのいわばイメージ・リーダーである余計な装飾のないクリーンなテイストのAIRに装備を充実させた「ステップワゴンAIR EX」を、さらに最上位グレードである「ステップワゴン・スパーダ・プレミアムライン・ブラック・エディション」を追加した。

無駄はなく、清潔感がある

6代目となるステップワゴンは、“ライフ・エクスパンダー・ボックス・デザイン”というテーマにそってエクステリアのスタイリングを構築している。表面的な手法に頼ったデザインではなく、いうなればその骨格と塊感で存在感をアピールしている。



同じホンダのN BOXやN-VAN、フリードなどと共通項もあるが、それら以上に無駄のない、清潔感のあるテイストだ。近年路上でよく見かけることの多い、エンブレムやグリルをとにかく目立たせているような“巨顔系”デザインのアンチテーゼと言えるだろう。

特にその象徴的な存在であるステップワゴンのAIRグレードは、このシンプルかつソリッドなイメージが人気を得た。指名買いもなかなか多かったようで、新規オーナーのおよそ40%が他メーカーからの乗り換えだったそうだ。

装備の差が解消された

いっぽうで、シンプルなイメージの範疇ではあるものの、よりプレミアムなテイストとして位置づけられたもう1つのグレードであるステップワゴン・スパーダに対し、AIRはこれまで上下関係にあり、装備に差があるのでは、という声も大きかったという。



スタイリングのテーマがシンプルかつクリーンであるのだから、選び方も簡潔に、分かりやすくあるべきだ、ということで、今回のグレードの再編成で装備差を解消。





本革巻きのステアリング・ホイールや1列目席のシート・ヒーター、2列目の格納式オットマン、パワー・テールゲート、そして特に要望が多かったという斜め後方の車両接近を警告するブラインド・スポット・インフォメーションを装備するAIR EXを投入したのである。



なおパワー・テールゲートについては開度のメモリー範囲を拡げ、狭い場所でも使いやすいよう、最小の開度をほぼ半減した。車体後方の空間はこれまで最低で910mm必要だったが、わずか480mmあればテール・ゲートを開けて固定することができるよう改良が施された。



ホンダとしてはもともとAIRとスパーダを“2つの個性”として位置づけていており、両者の装備差が解消されたことと、各部により落ち着いた色合いのクロームを配し、ホイール・ナットまでこだわって黒一色とした最上位のスパーダ・プレミアムライン・ブラック・エディションの追加も含め、ユーザーがより一層純粋に好みのデザインを選ぶことができるようになった、としている。

従来のAIRとスパーダの販売比率は装備差もあって前者が15%、後者が85%ほどだったというが、今回のグレード再編成でAIRに着目するひとがぐっと増えるのは間違いないだろう。

クルマ酔いしない室内デザイン

なお、6代目ステップワゴンの公開時には発表できなかった、インテリアの造形において、ホンダが乗り物酔い低減技術の特許を取得したことも併せて開示された。



これは1列目、2列目はもちろんのこと、3列目まで含む全席で視界が良く、居心地良く過ごすためのホンダのこだわりが実を結んだものだ。窓の上端と下端のラインを水平方向に一直線上とし、さらにそれをより自然に意識できるようにしている。



具体的には、インテリアのパネルの色使いや分割線に加え、ドアの内張上部、サイド・ガラスとの境目のパーツの断面のカーブを90度ではなくより鋭角として陰影を強く出すことで、窓の下端ラインをより認知しやすくしている。

クルマの中において、視界の内に安定した水平のラインがあることが、気づかぬうちに落ち着きをもたらしているとは常々思っていたが、ひとの生理を配慮した、見事な工夫だと感心した。無意識のうちに視野を安定させることで、乗り物酔いの低減に繋がるという。

シンプルでクリーンであることは、ひとにも優しいのである。

新しいステップワゴンのパワートレインは従来通り2リットル自然吸気+2モーター内蔵式のCVTを用いたe:HEVと、1.5リットル・ターボの純内燃エンジン車の2本立て。新しいAIR EXでは両者ともに選択可能だ。さらに後者では前輪駆動だけでなく4輪駆動もラインナップする。

価格は334万8400円〜。うち、ステップワゴンAIR EXは354万3100円〜。最上位のステップワゴン・スパーダ・プレミアムライン・ブラック・エディションは440万6600円となる。

文=上田純一郎(本誌) 写真=ホンダ

(ENGINE Webオリジナル)

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