2025.08.02

CARS

ポルシェの緻密さは蜜の味 傷ひとつない新車のような1972年式911S 新旧911とケイマン、計4台のポルシェを所有するオーナーのポルシェの楽しみ方

傷ひとつない新車のようなこの個体をどうやって見つけたのだろうか? 目の前にある1972年式ポルシェ911Sの状態の良さに驚いた。

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サーキット走行

ルノー・クリオV6でサーキット経験をしたという上田さんだが、ちょっと怖い思いをしたことで危険のないスロットカーに入れ込むことになったという。

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「ところがコロナ禍で室内に人が集まれなくなったんです。そんなときに知人からサーキット・イベントに誘われたんです」

富士スピードウェイで開催されたイベントに上田さんはポルシェ・ケイマンで参加した。

「ちょっといいタイムが出ちゃったんですよ。アハハ。そうしたら、もうサーキットが楽しくなっちゃって。ガハハハ」

普段使い用のクルマとして新たにスズキ・ジムニーを購入すると、ケイマンは足グルマからサーキット走行専用車へと昇格した。

その後、上田さんは992型GT3を増車する。

「ごめんなさい。いま車検に出していてここにはないんです。買った動機ですか? NA最後とか言うからですよ。アハハハ。GT3でもサーキットを走りましたよ。とてつもなく速かったです。でも、GT3でサーキット遊びする勇気は僕にはありません。ぶつかったら幾らかかるんだろう? って」

991型タルガで閉じられていた上田さんの「ポルシェの門」は完全に開いたのである。

「ポルシェに慣れてきたので、いまだったら古いポルシェに乗れるんじゃないかと思うようになりました。実は356をずっと探していたんですけど、なかなか見つからず諦めました。そんなとき、付き合いのあるクルマ屋さんに行ったら、この911Sが置いてあったんです」

とても綺麗でこんな個体があるんだなあと感心して見ていたら店の人に声をかけられたという。

「そのお客さん、もしかしたら売ってくれるかもしれませんよって言うじゃないですか。そうしたらもう欲しくなっちゃって。アハハ」



さて、74年のカレラRSで怖い思いをした上田さんに改めて古いポルシェ911に乗った感想を聞いた。

「とても感慨深いですね。新しい911よりも自分で操作している感覚が強い。エンジン音、シフトなどの操作系、さらにはハンドリングなど、いちいちクルマとの対話があります。暖機したり、オイルをチェックしたりと面倒をみなければならないことは、愛着に変わっていきます」

新旧に共通しているものはなんだと思いますか?

「どの時代の911もクルマ好きの感性をどう刺激したらいいかをわかって作られていると思います。また、それを実現するための工作精度がいつの時代でも高い。私、機械が大好きなのでポルシェの緻密さは蜜の味ですね」

文=荒井寿彦 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年6月号)

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