2025.07.26

CARS

仲村トオルさんが選んだデザインがいいクルマ、フェラーリ・ローマ・スパイダー 「カッコ良さとは、カッコ悪いことをしないことだ」

クルマ好きで『エンジン』の愛読者でもある仲村さんには『エンジン』の連載「わが人生のクルマのクルマ。」(2022年2-3月合併号)で、愛車とともにご登場いただいた。

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フェラーリの遺伝子

ローマ・スパイダーも幌を閉じた姿が美しいと言う仲村さん。外観がとてもエレガントである一方、内装はとてもシンプルに思えると言う。

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「ウッドとかキラキラした装飾などは一切ない。ストイックな感じさえします。やっぱりスポーツカーの遺伝子が組み込まれているんですね」

フロント・ミドに収まるV8ツインターボを見て「エンジンは赤いんですね。カッコイイなあ」と仲村さんはため息をついた。「カバーがないのはエンジンにも自信があるからでしょうね」と仲村さんは続けた。

連綿と受け継がれてきたフェラーリの遺伝子を、仲村さんは自分が出演した映画に喩えて次のように話した。

「昨年公開された『帰ってきた あぶない刑事』は40年近く続いてきたシリーズの最新作でしたが、現場のスタッフは『あぶない刑事』シリーズは初めてという人がほとんどだったんです。でも僕はまったくと言っていいほどそれを感じなかった。きっと昭和61年にTVドラマとして始まった当初に携わっていた人たちが、舘ひろしさんや柴田恭兵さん、そして僕らに与えた影響がまだ残っていて、今度はそれが初めて現場に来る若いスタッフに伝わっていく。そうやって、あのシリーズの遺伝子が引き継がれていくんだと思いました。同じようなことがこのクルマにもあるんだろうなあと」



さて、ローマ・スパイダーを愛でる仲村さんだがフェラーリにはこれまで縁がなかったという。

「15年くらい前でしょうか。カリフォルニアが出て自分的にフェラーリの敷居が低くなったことがありました。そんなとき、映画のスタッフに“仲村さんとジャガーのオープン、とてもお似合いで素敵です”と言われたんです」

ちょっと照れた仲村さんは「いやあ、いつかフェラーリにも乗りたいと思っているんだよね」と答えたのだという。

「そうしたら“それは絶対やめてください”と言うんですよ。ああ、僕はフェラーリに乗ることを期待されていないんだなあと(笑)。インタビューで“どんな作品にしたいですか?”というような質問を受けることがあるんですけど、プロデューサーや監督、そして視聴者のみなさんの期待に応えたいというように答えるんです。クルマもジャガーに乗ることを期待されるなら、それに応えようかなあという意識が強くなってますね」

もし、自分のガレージにローマ・スパイダーが来たら、きっと愛車のジャガーが嫉妬すると仲村さんは笑う。ジャガーとは1991年に新車で購入して34年の付き合いになる。

「年齢を考えるとこれから新しく30年を過ごすクルマが出てくるとは思えないですから、浮気しないで添い遂げようと思っています」

ローマ・スパイダーをもってしても、浮気心に火は点かないようだ。

最後にカッコイイとはどういうことだと思いますか? と聞いた。

「昔、舘ひろしさんがエンジンさんの表紙を飾った号があったんです。当時のスズキ編集長が“舘さんはなぜカッコイイのか。それはカッコ悪いことをしないからだ”と書かれたんです。そのくだりを読んで以来、僕にとってのカッコイイの物差しになりました」

やっぱり人もカッコ良さでしょと、仲村さんを見てつくづく思った。

文=荒井寿彦 写真=筒井義昭 スタイリング=中川原 寛(CaNN) ヘアメイク=飯面裕士(HAPP’S)

(ENGINE2025年7月号)

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