2025.07.08

CARS

ちょっとだけが命取り?!発火することがあるリチウムイオン電池をクルマに持ち込むときの注意点を解説

スマートフォンなどに使われているリチウムイオン電池

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国土交通省は2025年7月8日からモバイルバッテリーを飛行機の収納棚に入れず、常に状態が確認できる場所におくよう取り扱い方法を変更すると発表した。取り扱いが変更された理由は、モバイルバッテリーによる発火の事故が多発しているためだ。

しかし、これは飛行機に限った話ではない。クルマでも同じような事故が発生している。今回は、モバイルバッテリーをクルマで保管しない方がいい理由や発火する原因を解説する。

モバイルバッテリーには燃料と同じ引火性の液体が使われている

モバイルバッテリーの主流であるリチウムイオン電池には、引火性有機溶剤が使われている。石油製品と同等の引火性を持つことから消防法では「危険物(引火性液体)」に指定されている。



つまり、リチウムイオン電池は、クルマに使われる燃料(軽油)と同じ程度の引火性を持っているのだ。引火しやすい液体を含むモバイルバッテリーを高温になるクルマの中に放置したらどのようになるのかは想像に難しくない。

では、クルマの中は、どの程度高温になるのだろうか。

夏の車内の温度は50℃を超える

JAFが実施したテストによると、外気温35度のとき、サンシェードや窓あけなどの車内の高温対策を講じなかったときのクルマの中は50℃を超えていた。

また、日光が直接当たるダッシュボードは70℃を超える。ここにライターを置くと亀裂が入りガスが漏れ、スマートフォンを置くと高温注意の警告文が表示され一部機能が使えなくなっていた。



このことからも、高温になる車内に引火性の高い製品や熱によって膨張する物を置くのは危険であると言えるだろう。

さらに、nite(製品評価技術基盤機構)が実施した実験では、リチウムイオン電池を使用してるモバイルバッテリーをダッシュボードに放置した結果、熱の影響で異常な反応が起き、破裂・発火した。

クルマの中にモバイルバッテリーを持ち込むときは高温にならない場所に置く

JAFのテストやniteの実験からもわかるとおり、モバイルバッテリーをはじめとするリチウムイオン電池を内蔵する製品を高温になる場所(車内、特にダッシュボード)に置くのは危険だ。

そのため、モバイルバッテリーだけでなく、スマートフォンや携帯ゲーム機など、リチウムイオン電池を内蔵する製品は高温になる場所に置かない方がいいといえる。



クルマにリチウムイオン電池を使用している電子機器を持ち込むときは、高温になる場所に置くのは避け、車内に保管しないほうがよいといえるだろう。

思わぬ発火事故を防ぐためにも、モバイルバッテリーやスマートフォンなどリチウムイオン電池を使用する製品の取り扱いには注意が必要だ。

文=齊藤優太(ENGINE編集部)

(ENGINE Webオリジナル)

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