2025.07.16

CARS

「この目ヂカラ、ただものじゃない!」419万円で手に入る“毎日がハッピー”なフィアット600ハイブリッド


首都高速では意外とスポーティ

今回、日本市場に投入されたのはラ・プリマというグレードのモデルで、価格は419万円だ(ほかに365万円の素のモデルもあるが、こちらは受注生産)。ドライブ・トレインは、新開発の1.2リッター3気筒のガソリン・ターボとモーターを内蔵したデュアルクラッチ式の6段自動MTが組み合わされたマイルドハイブリッドとなっている。

advertisement


試乗は都心の街中と高速道路を中心に行った。乗ってまず感じたのは走りがスムーズなことだ。エンジンは1.2リッターの3気筒だが、モーターのアシストがある走り出しは、トルクも十分あってもたつくようなことはない。街中でもスイスイと流れに乗ることができる。



意外だったのは、回生ブレーキが思った以上に強力なことだ。アクセル・ペダルをオフにしたときは、ここぞとばかりにエネルギーを回生して電力を蓄え、なおかつ積極的にモーターを駆動する。

短時間だが30km/hまでならモーターだけで走れることを謳っているが、街中で普通に走っていても負荷に応じて隙あらばエンジンを止めてモーターで走ろうとする。体感的にはほとんどわからないが、メーター表示をエネルギーフローとタコメーターに切り替えると、見えないところでこんなに一生懸命働いてたのね、と思わず笑ってしまった。



回生ブレーキの強さは最初のうちこそ気になったが、慣れてしまうとこれはこれで運転しやすいことに気づく。一定の車間を低速で走っているときなど、前走車との車間調整もほとんどワンペダルでオーケー。なかなか賢くプログラミングされていて、高速道路のジャンクションのコーナーに進入するときはアクセル・コントロールが楽しくてニヤリとしてしまった。EVのいいところは積極的に取り入れて、走りに活かそうとしているところは、やっぱりイタリア車だなと思う。

今回は、ワインディングは走れていないが、首都高速では意外とスポーティに走れるハンドリングの素性の良さをうかがい知ることができた。応答遅れのないリニアな操舵感は、実はこのクルマの特筆すべきポイントのひとつだと思う。

さて今回試乗したこの600ハイブリッドのラ・プリマだが、内装を見ても安っぽいところがない。白地にターコイズのパイピングや600の刺繍、フィアットのロゴがエンボスされたエコ・レザーのシートが標準装備でお洒落だし、2本スポークのステアリングや丸いメーターフードも個性的だ。こういうクラスレスなクルマは日本車にはなかなかない。

600のロゴの刺繍とFIATの文字がエンボスされたお洒落なシートは、試乗車のラ・プリマの標準装備だ。室内は後席も含めて4人家族が普通に使える広さがある。

これで友達も家族も乗れて、荷物もそこそこ積めて、安心してレジャーにだっていける。今回の燃費は車載コンピューターで20km/リッター弱。WLTCモードだと23.2km/リッターというから燃費もいい。しかし、いちばんの魅力は輸入車がみんな高くなったなかでの419万円という手が届く価格だろう。見ても乗っても、これなら毎日がハッピーだ。こんなクルマを待ってました。



文=塩澤則浩 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年8月号)

■フィアット600ハイブリッド・ラ・プリマ
駆動方式 フロント横置きエンジン+モーター  
全長×全幅×全高 4200×1780×1595mm  
ホイールベース 2560mm  
トレッド(前/後) 1535/1525mm  
車両重量 1330kg  
エンジン形式(モーター) 直列3気筒DOHCターボ(交流同期式)  
総排気量(モーター) 1199cc(6.3kW)  
最高出力(モーター) 136ps/5500rpm(16kW)  
最大トルク(モーター) 230Nm/1759rpm(51Nm)  
トランスミッション デュアルクラッチ式6段自動MT  
サスペンション(前) ストラット  
サスペンション(後) トーションビーム  
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク  
タイヤ(前後) 215/55R18  
車両本体価格(税込) 419万円

(ENGINE Webオリジナル)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement