2025.08.18

CARS

ついに現代のワーゲン・バス、フォルクスワーゲン ID.Buzzがやってきた! 「もしこのクルマを買ったら!」と妄想が膨らむ

当時のディテールを現代風に再解釈した、ID.BuzzのVWロゴを掲げたフロントフェイス。

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走ってもイイ感じ!

ID.Buzzのハイライトは、やはりこの佇まいと外観のデザインだろう。短いオーバーハングで丸みを帯びたシルエット、そして大きなVWロゴを掲げたフロントフェイスは印象的だ。Dピラー付近のスリットやスライド式リアウィンドウなど、当時のディテールを現代風に再解釈した部分も特徴となっている。

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体格は当時と比べるとだいぶ大きくなった。初代「T1」のボディ・サイズは、全長4280×全幅1720×全高1940mmで、ID.Buzzの通常ホイールベース仕様は全長4715×全幅1985×全高1925mm。ざっと全長は435mm、全幅は265mmも大きくなった。

インテリアは、広々としたラウンジのような空間で、ポップなデザインでありながら、上質な素材選びと丁寧な作り込みにより、上々のプレミアム感が感じ取れる。







そして、“国民車”の名を冠するブランドだけに、実用面でも抜かりはない。USB-C充電ポートは、3列目シートまで完備され、今回のロング・ホイールベース仕様なら「ラグジュアリーパッケージ」をオプションで選べば、パノラマガラスルーフやハーマン・カードンによるプレミアムサウンドシステムが装着され、居心地の良さはさらに高められることとなる。

この佇まいとインテリアが、ID.Buzzの魅力のすべてかと思うかもしれないが、それは少々早とちりだ。走っても、魅力に溢れている。

加速すると最大トルク560Nmを発生する電気モーターが後方から車体をグッと前に押し出し、奇しくもバスと同じRRの(ような)走りを発揮してくれ「おっ!」となる。

ボディ・サイズには、少なからず戸惑うこともあるが、箱型のため四隅の距離感は把握しやすく、特に前方の三角窓風のガラスパネルが視界を広げてくれる。また、360度アラウンドビューカメラも標準装備されているので、駐車時も安心だ。

試乗は都内一般道や東関道を中心に走り回ったが、床下バッテリーとロング・ホイールベースにより、穏やかで安定した挙動が確かめられた。ただ、ID.4と同様のMEBプラットフォームが採用されることから、後輪ブレーキはドラム式ブレーキとなる。

回生ブレーキの比率が高いので、物理制動の負荷は小さくて済むことから、MEBを採用する後輪駆動モデルにはドラム式が設定されているようだ。しかし、とりわけ他のモデルよりもジワーッと減速する商用車的なブレーキフィールであることは、運転する際には頭に入れておいたほうがいいかもしれない。

車両の返却を終え、ひと息つくと不思議な感情が芽生えてくる。乗った印象もさることながら、「もしこのクルマを買ったら○○してみたい」と想像にふける自分がいる。そして、その「○○」は、一度やってみたかったことや、昔憧れていたことだったりもする。そう、そんな未知の「コト体験」へと後押ししてくれる原動力が、“バズにしかないもの”ではないだろうか?

ウッドストックにワーゲン・バスでやってきていたお兄さんやお姉さんの気持ちが少し分かった気がした。



文=佐藤 玄(ENGINE編集部) 写真=佐藤亮太

■フォルクスワーゲンID.Buzz プロロングホイールベース

駆動方式 リアモーター+後輪駆動  
全長×全幅×全高 4965×1985×1925mm  
ホイールベース 3240mm  
トレッド(前/後) 1675/1665mm  
車検証記載重量(前:後) 2730kg(1330kg:1400kg)  
モーター形式 交流同期電動  
バッテリー容量 91kWh  
一充電走行距離 554km  
最高出力 286ps/3581-6500rpm  
最大トルク 560Nm/0-3581rpm  
サスペンション(前) マクファーソンストラット/コイル  
サスペンション(後) 4リンク/コイル  
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク/ドラム  
タイヤ(前/後) 235/50 R20/265/45 R20  
車両本体価格(税込) 997万9000円

(ENGINE2025年9・10月号)

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