2025.08.18

CARS

アーティストたちに愛されたファントム 最高峰のロールス・ロイスと芸術家たちの100年

名だたる芸術家たちに愛されたロールス・ロイス・ファントム!

全ての画像を見る
ロールス・ロイスは、アンディ・ウォーホルやサルバドール・ダリ、パブロ・ピカソ、アンリ・マティスなど、名だたる芸術家にも愛用された。中でも1925年、シルバー・ゴーストこと40/50HPの後を受け登場し、今年で誕生100周年を迎えたファントムは、アート界との縁が深いという。

ファントムとダリとカリフラワー?


たとえば、作品だけでなく行動の奇抜さでも知られるダリは、1955年の冬、友人から借りたブラックとイエローに塗られたファントムでパリ・ソルボンヌ大学での講演に現れた。

advertisement




その際、車内に500kgものカリフラワーを詰め込み、大学の前でドアを開け放つと、凍てついた地面にカリフラワーの雪崩が。講演内容よりも有名になったこのパフォーマンスへのオマージュとして、ロールス・ロイスは現代アート作家に、カリフラワーに埋め尽くされたファントムをモチーフにした作品制作を依頼している。

その後もダリは、1975年にファントムをエッチング作品の題材に採用。ロートレアモンが著した『マルドロールの歌』の挿絵の一環として制作されたそれは、ダリのグラフィック作品の中でも希少価値の高いもののひとつに挙げられている。

あのウォーホルのシューティング・ブレーク


ダリと交流のあった現代アートの巨人、ウォーホルは、自らファントムを購入したことがある。1937年製の車両を1947年ごろシューティング・ブレークに改造した個体だ。



1972年、スイス・チューリッヒのアンティーク・ショップで販売されていたのを見かけた彼は即決。ニューヨークへと運び、1978年まで所有した。



ロールス・ロイスはこの車両をモデルに、ウォーホルの作風に似せたイラストを、アーティストに依頼している。

スピリット・オブ・エクスタシーはアートだった


ロールス・ロイスとのつながりがもっとも深いアーティストといえば、チャールズ・ロビンソン・サイクスだろう。



雑誌『ザ・カー・イラストレイテッド』の挿絵を手がけていたサイクスは、発行人のモンタギュー卿の愛車であるシルバー・ゴーストを絵画に描いたが、これを目にしたロールスの初代の商業部門責任者、クロード・CJ・ジョンソンが1910年、カタログのために6枚の油絵を依頼。オペラ・ハウスやサーモンを釣る川、ゴルフ場などを背景にした作品が完成した。

これをきっかけに、ジョンソンはヘンリー・ロイスが難色を示していたマスコットの製作をサイクスに持ちかける。サイクスは、ルーヴル美術館で鑑賞した彫刻『サモトラケのニケ』に着想を得て、いまやロールスの象徴的なアイテムとなった“スピリット・オブ・エクスタシー”を生み出した。





ちなみにあの像は、1948年にロールス内製となるまで、当初はサイクスが、1928年からは娘のジョーが監修し、自身のチームで製造も行っていた。サイクスは大英博物館などにも作品が収蔵される芸術家であり、初期のスピリット・オブ・エクスタシーはまさしくアート作品そのものだったのだ。

以降も、ジョン・レノンやエルヴィス・プレスリー、フランク・シナトラといったミュージシャン、フレッド・アステアやグレタ・ガルボといった映画スターなどに愛されたファントム。

最近ではそれ自体がアートのようなワンオフのカスタマイズ・モデルも続々製作されており、芸術を愛する成功者のステータス・シンボルであり続けている。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement