日本を代表するスポーツカーとなった日産 GT-R(R35)は、2007年のデビューから生産が終了する2025年まで基本設計を変えずに進化を続けてきた。18年間にわたりスポーツカーの第一線で活躍したGT-R(R35)は、どのような進化を遂げてきたのだろうか。
日産 GT-R(R35)とは?
2007年10月に発表され、同年12月から日産ハイパフォーマンスセンターを中心に販売された「NISSAN GT-R」(R35)は、シーンを問わずスーパーカーの走りを楽しめる“新次元のマルチパフォーマンス・スーパーカー”だ。

スカイラインの名が外れたGT-R(R35)は、日本国内市場のみならず、世界各国のスポーツカーおよびスーパーカーとも対等に戦える実力を備えている。
また、GT-R(R35)では、新開発となるプレミアム・ミッドシップ(PM)パッケージ、VR38DETTエンジン(3.8リットルV6ツインターボエンジン)、GR6型デュアルクラッチトランスミッションなどを採用。

この新開発されたプラットフォームやエンジンなどにより、「誰でも、どこでも、どんな時でも最高のスーパーカーライフを楽しめる」というGT-R(R35)のコンセプトを具現化している。
また、モデルイヤー制(年次改良モデル)を導入し、絶えず開発の手を緩めず、進化し続けてきたのも特徴だ。
GT-R(R35)は、デビュー(2007年)当時から圧倒的なパフォーマンスで世界中から注目を集め、2013年(2014年モデル)からは“GT”と“R”の2つのテイストでモデルラインナップを展開した。

発売前から注目され、デビュー以降も進化を止めず、新しい方向性を打ち出してからもスポーツカーおよびスーパーカーの第一線で活躍し続けたGT-R(R35)は、2025年8月26日に最終生産車がラインオフ。18年にわたる長い歴史に幕を下ろした。
では、日産GT-R(R35)は、デビューから生産終了までどのような歴史を辿ってきたのだろうか。ここからは、GT-R(R35)の主な転換期やスペックの変化を時系列順に見ていこう。
2007年〜2012年のGT-R(R35)|圧倒的なパフォーマンスで世界中から注目を集めた
圧倒的なパフォーマンスで世界中から注目を集めたGT-R(R35)は、2007年10月24日にデビューし、同年12月6日に発売された。発売前の開発から2012年(MY2013年モデル)まで水野和敏さんが開発責任者を務めた。
2007年12月6日:GT-R(R35)発売
走る道、天候、ドライバーのテクニックなどにかかわらず、誰もが安心してスーパーカーライフが楽しめる新次元のマルチパフォーマンス・スーパーカーとしてデビュー。
発売当時のエンジン性能は、最高出力353kW(480PS)/6400rpm、最大トルク588Nm(60kgm)3200〜5200rpm。

グレードと価格は以下のとおり。
・GT-R:777万円
・GT-R Black edition:792万7500円
・GT-R Premium edition:834万7500円
2009年1月8日:NISSAN GT-R「SpecV」を発売
SpecVは、「自分とクルマが一体化したレーシングライクな走りを求める人」にターゲットを絞って開発された高性能モデルとなっている。GT-R SpecVの価格は1575万円。
2009年5月14日:ニュルブルクリンクラップタイムを更新
2009年5月14日、2008年12月に一部改良を行った2009年モデルがニュルブルクリンクでのラップタイムを記録を更新したことを発表した。

性能計測では、7分27秒56(計測日:2009年4月16日)と7分26秒70(計測日:2009年4月23日)というラップタイムを記録。当時の量産車としては世界最高水準のタイムを叩き出した。
2010年10月18日:2011年モデルを発表「World of GT-R」の完成
2011年モデルは、さまざまなニーズにあったGT-Rを選べるよう、「Pure edition」「Black edition」「Premium edition」「Spec V」を進化させ、走りの感動を提供する「Club Track edition」と造りの感動を提供する「EGOIST」をラインナップに追加した。

多様なニーズに対応するGT-Rのバリエーションを展開することで、「World of GT-R(感動の創造)」を完成させた。
また、最高出力を390kW(530ps)/6,400rpm、最大トルクを612Nm(62.5kgfm)/3,200〜6,000rpmに向上させた。なお、SpecVの最大トルクは、612Nm(62.5kgfm)/ 3,200〜6,000rpm、ハイギヤードブースト時は632Nm(64.5kgfm)/ 3,600〜5,600rpm)となる。

2011年モデルのグレードと価格は次のとおり。
・GT-R Pure edition:869万4000円
・GT-R Black edition:930万3000円
・GT-R Premium edition:945万円
・GT-R Spec V:1575万円
・GT-R EGOIST:1500万300円
2011年11月7日:2012年モデル発表(2011年11月24日発売)
2012年モデルでは、エンジンの効率を高めることで最高出力と燃費(CO2排出量低減)を両立させた。
また、サスペンションの左右非対称セッティングなどにより、マルチパフォーマンスの速さや意のままに操るドライビングプレジャー、安定した上質な乗り心地にさらに磨きをかけている。

さらに、SpecVのDNAを受け継ぐカスタマイズオプション「For TRACK PACK」を設定し、よりスパルタンな走りを楽しみたい方の要望にも応えた。
2012年モデルのエンジン性能は、最高出力404kW(550ps)/6,400rpm、最大トルクを632Nm(64.5kgfm)/3,200〜5,800rpmへ向上。中低速域でのレスポンスとトルク、高回転域での駆動力を高めている。
グレードと価格は次のとおり。
・GT-R Pure edition:869万4000円
・GT-R Black edition:947万1000円
・GT-R Premium edition:961万8000円
・GT-R EGOIST:1500万300円
2012年11月2日:ニュルブルクリンク24時間レースでの経験を活かした2013年モデル
2013年モデルでは、ニュルブルクリンク24時間レースでの経験をフィードバックし、GT-R(R35)の魅力性能をさらに進化させた。

具体的には、エンジンの中回転域のレスポンスや高回転域の伸びの向上、車体剛性のアップ、スプリングやショックアブソーバーやフロントスタビライザーの仕様変更などを行った。これにより、マルチパフォーマンスの速さや気持ちの良いレスポンス、高速安定性、上質な乗り心地に磨きがかかった。
また、Premium editionにセミアニリン本革と専用内装色を採用したファッショナブルインテリアを設定するなど、インテリアの上質感を高めた。
2023年モデルのグレードと価格は次のとおり。
・GT-R Pure edition:875万7000円
・GT-R Black edition:963万9000円
・GT-R Premium edition:978万6000円
・GT-R EGOIST:1516万8300円
2007年のデビューから2012年(2013年モデル)までは、基本性能を向上し、感動の創造(World of GT-R)を完成させ、熟成を重ねていった。