2013年〜2025年のGT-R(R35)|“GT”と“R”の2軸で展開する方向へ転換
2013年11月18日、GT-R(R35)の開発責任者に就任した田村宏志さんが、これからのGT-R(R35)の方向性について、次の2つで展開することを発表した。

・GT:グランツーリスモとしてあらゆる路面・気象条件の中でどこまでも気持ちよく走り続けられる性能
・R:レーステクノロジーに基づく圧倒的な速さ
2013年11月19日:究極のNISSAN GT-Rを目指して実現した新しい大人の乗り味2014年モデルを発表
2014年モデルでは、サスペンションセッティングを変更し、ステアリング修正の少ない高い安定性と、優れた路面追従性がもたらす上質な乗り心地を実現した。新しい方向性の“GT”にあたる2014年モデルは、速さを追求しながら、上質な走りを両立している。

2014年モデルのグレードと価格は次のとおり。
・GT-R Pure edition:905万1000円
・GT-R Black edition:993万3000円
・GT-R Premium edition:1011万1500円
2013年11月19日:NISSAN GT-R NISMO発表
2014年モデルのGT-Rと同時に発表されたのが、新たな方向性の“R”にあたる「GT-R NISMO」だ。
革新的な空力性能と精密なハンドリングを兼ね備えたワークス直系のスーパースポーツカーであるGT-R NISMOは、ニュルブルクリンク24時間レース、FIA-GT1やSUPER GTをはじめとするモータースポーツ活動から得た技術(空力性能、サスペンション、パワートレインなど)を取り入れ、日常走行でもスポーツ走行でも通用するパフォーマンスを徹底して追求している。

GT-R NISMOに搭載されるエンジンは、NISMO専用チューニングの3.8リッターV6 VR38DETTエンジンで、最高出力441kW(600PS)、最大トルク652Nm(66.5 kgfm)を発生させる。
また、NISSAN GT-R NISMO GT3にも使われている高効率大容量の専用タービンを搭載し、気筒毎に最適な点火時期をコントロールする制御の採用に加え、最適な燃料噴射量をコントロールするインジェクター駆動回路を採用しているのも特徴だ。
さらに、NISSAN GT-R NISMOにNISMO専用オプションパックを装着した車両で、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースのラップタイム7分08秒679(量産車最速)を記録した。
GT-R NISMOの価格は、1501万5000円。
2016年7月11日:大幅なデザイン変更とエンジン出力を向上した2017年モデル
2017年モデルでは、大規模なエクステリア・インテリアのデザイン変更。パドルシフトは、ステアリングホイール固定タイプに変更され、ドライバーが手を離すことなくシフトチェンジを可能とした。また、新技術の採用によりドライビングパフォーマンスの向上させた。

エンジンは、GT-R NISMOの技術を採用した気筒別点火時期制御を採用。ノッキングの発生を抑え、燃費を損なうことなく最高出力419kw(570PS)/6,800rpm、最大トルク637Nm(65.0kgfm)/3300-5800rpmを発生させる。
また、円滑なシフトチェンジと変速時のノイズ低減を実現する改良型6速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせたことにより、中速から高速域においてスムーズな加速を実現させた。
2017年モデルのグレードと価格は次のとおり。
・GT-R Pure edition:996万840円
・GT-R Black edition:1186万9200円
・GT-R Premium edition:1170万5040円
2016年8月25日:GT-R NISMOが2017年モデルへ
NISSAN GT-R NISMOの2017年モデルを発売。デザインやチューニングを変更。パドルシフトは、2017年モデルのGT-Rと同様にステアリンホイール固定タイプに変更された。また、「Track edition engineered by nismo」の販売も開始した。
2017年11月16日:Apple CarPlayに対応した2018年モデル
2018年モデルでは、「GT-R NISMO」、「GT-R Premium edition」に標準設定されていた、「国土交通省認可 サッチャム欧州カテゴリー2 準拠車両防盗システム」を全グレードに標準設定した。また、「Apple CarPlay」を全グレード対応した。
2018年6月29日:GT-Rの限定車「Nissan GT-R50 by Italdesign」公開(プロトタイプ)
Nissan GT-R50 by Italdesignは、GT-Rとイタルデザインそれぞれの50周年を記念するモデルとして公開された。

GT-R NISMOをベースに、開発、設計、製造をイタルデザインが手がけ、独創的でキレのよい内装・外装デザインはロンドンの日産デザインヨーロッパと日産デザインアメリカが担当した。
ニスモ製の3.8リットルV6ツインターボエンジン(VR38DETT)は、最高出力720PS/7,100rpm、最大トルク780Nm/3,600〜5,600rpmとなっている。
2021年9月14日:進化を遂げたGT-R「T-spec」を発表|2022年モデル
2022年モデルでは、進化したGT-Rの特別仕様車「NISSAN GT-R Premium edition T-spec」と「NISSAN GT-R Track edition engineered by NISMO T-spec」を設定。

「T-spec」という名称は、「時代を導くという哲学」であり、GT-Rの在り方やその時代を牽引するクルマであり続けるという願いを表現した「Trend Maker」と、「しっかりと地面を捉え駆動する車両」という開発におけるハードウェアへの考えを表した「Traction Master」から名づけられている。
また、「T-spec」には、専用カーボンセラミックブレーキ、カーボン製リヤスポイラー、専用エンジンカバー、専用バッヂ(フロント・リヤ)を特別装備しているのも特徴だ。
2022年モデルのグレードと価格は次のとおり。
・GT-R Pure edition:1082万8400円
・GT-R Black edition:1277万2100円
・GT-R Premium edition:1232万9900円
・GT-R Track edition engineered by NISMO:1463万6600円
・GT-R Premium edition T-spec:1590万4900円
・GT-R Track edition engineered by NISMO T-spec:1788万1600円
2024年3月14日:最終型となる2025年モデル発表
2025年モデルでは、「NISSAN GT-R Premium edition」に、青を基調とした専用特別内装色である「ブルーヘブン」を設定。

また、「NISSAN GT-R Premium edition T-spec」と「NISSAN GT-R Track edition engineered by NISMO T-spec」のピストンリング、コンロッド、クランクシャフトなどに、今まで「GT-R NISMO Special edition」のみに採用していた高精度重量バランス部品を採用することでレスポンスの精度を高めた。なお、この2モデルには、赤文字で匠の名が刻まれたアルミ製ネームプレートとゴールドのモデルナンバープレートをエンジンルーム内に採用している。
2025年モデルのグレードと価格は次のとおり。
・GT-R Pure edition:1444万3000円
・GT-R Black edition:1611万5000円
・GT-R Premium edition:1558万7000円
・GT-R Premium edition T-spec:2035万円
・GT-R Track edition engineered by NISMO:1853万5000円
・GT-R Track edition engineered by NISMO T-spec:2289万1000円
・GT-R NISMO:3008万5000円
・GT-R NISMO special edition:3061万3000円
2025年8月26日:最後の1台が栃木工場からラインオフ
2007年から18年にわたり生産してきたGT-R(R35)の生産が終了した。18年間で約48,000台が生産され、高性能スポーツカーの象徴として世界中のファンを魅了してきた。

工場を最後に出たのは、「Premium edition T-Spec」で、ボディカラーはミッドナイトパープル。日産の発表によると、日本のユーザーに届けられるとのことだ。
次期型(R36)が登場する可能性は?
日産を代表するモデルであり、世界中から注目されるスポーツカーとなったGT-R(R35)は、次期モデルがどのようになるのか気になっている方も多いだろう。

次期モデルについて、CEOのイヴァン エスピノーサさんは、「GT-Rファンの皆さま、これはGT-Rとの永遠の別れではありません。GT-Rは、いつか再び皆さまのもとに戻ってくることを目指していますが、GT-Rの名前には高い期待が寄せられており、真に特別なクルマにのみ与えられるものです。R35はその基準をさらに高く引き上げました。したがって、皆さまには辛抱強くお待ちいただくことをお願いしたいと思います。現時点で正確な計画は確定していませんが、GT-Rは進化し、再び登場するでしょう」と話している。
どのような形で、いつ登場するのかは今のところ(R35生産終了時点)未定だが、いつの日かまた「GT-R」の名が復活する日が来る可能性はゼロではない。
日本を代表するスポーツカーGT-Rは歴史に残るクルマの1つ
GT-R(R35)は18年間の長きにわたり基本構造・設計を変えずに進化し続けてきた。これほどモデルサイクルが長いクルマも珍しい。
実は、GT-R(R35)は、デビュー前からその実力の高さが話題となっていた。そして、発売されてからもGT-Rファンの期待に応えるように絶えず進化および深化を続けてきた。

また、GT-R(R35)は、日本市場のみならず、世界各国で販売され、世界中のクルマ好きが憧れるモデルの1つになるまで登り詰めた。もちろん、当初ライバルとしていたポルシェやランボルギーニなどと肩を並べるほどの性能を有しているのも忘れてはならない。
「GT-R」…この特別な名を冠したR35は、今も、これからも語り継がれる名車の1つと言えるだろう。
文=齊藤優太(ENGINE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)