2025.09.05

CARS

これで“ワン”ダフルな職場に? ルーティーンのお仕事はロボット犬「アリス」たちにおまかせ 独メルセデスの工場で進むデジタル化

独メルセデスの工場にはロボット犬やドローンが!?

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メルセデス・ベンツは、デュッセルドルフのバン工場の製造工程に、自律型ロボティック・システムを導入する予定だが、その設備の管理に“ロボット犬”の活用を進める計画だ。

ロボット犬が走りドローンが飛び交う工場!?


これは、デュッセルドルフ工場で進むデジタル化戦略の一環。将来的には自律型ロボティック・システムを、予測的なメンテナンスや物流に用いることで、従業員の日常業務に可能な限り最善のサポートを提供し、大幅な効率改善につなげたい考えだ。



Aris(アリス)と名付けられたロボット犬は、たとえば大きなエネルギー・ロスを生む圧縮空気の漏れを検出し、初期段階なら生産時間外に修理もこなして、システム・トラブルを防ぐという。

また、AIを活用し、特定のシステムや機械のアナログ・ゲージを定期的にチェックするとともに、データを記録し、最終的には可能な限りわかりやすく評価まで行うこともできる。



音響イメージング・モジュールを搭載するArisは、変則的なノイズの視覚化と限定化ができ、圧縮空気の漏れの検知だけでなく、差し迫ったシステムの不具合を予期して提示することが可能だ。これにより、人間は故障の可能性への対応が迅速化し、ダメージが起きる前に修理できるようになる。

結果として、工場でのエネルギー消費が大幅に低減できる見込み。試算では、エアのリークによるエネルギー・ロスは約60%程度が防げるようになり、年間エネルギー・コストはユーロ換算で6桁単位、つまり1800万円近くの節約につながる。



さらには、統合技術を用いることで、正確で効率的に機能すると同時に、さまざまな業務や要求にも柔軟に対応。

四足歩行により階段の昇降も可能で、工場内を完全自動で移動することができるため、避難経路の点検など、将来的な利用も想定されている。



Arisのほかにも、導入を進めているのが最先端の自律型ドローンだ。学習を積んだAIが荷物運搬用のキャリアをサイズや形状で識別してカウント。工場敷地内の空きコンテナの数量確認を行い、従業員を手間暇のかかるルーティーン・ワークから解放する。

これらのロボティック・システムは上位のクラウド・アプリケーションに組み込まれることで、ロボット同士はもちろん、ほかの工場との間でも連携できるようになる。

こうしてメルセデス・ベンツ・バンは、デジタル化された未来へ向けて新たな一歩を踏み出し、DXのポテンシャルをフルに利用しようとしている。



単純作業はロボットに任せ、人間はその管理などに集中できるようになるというのは、まるでSFのような世界。その手の小説を読みすぎたからか、ロボットの反乱などというディストピアをつい思い描いてしまうが、現実世界では労働環境改善や省エネ化、品質向上といったメリットだけを享受したいものだ。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

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