2025.09.08

CARS

隙間に猫がいたりしても大丈夫? 跨いで駐めるだけで充電が可能に? ポルシェが新型「カイエン」にワイヤレス・チャージを設定へ

これなら毎回面倒な充電の手間がなくなる?

全ての画像を見る
ポルシェは、電気自動車のワイヤレス充電技術を開発。先進的な蛍光ペイントを施した「カイエン・エレクトリック」のプロトタイプとあわせて、IAA(ドイツ国際モーターショー)で公開される。

跨ぐだけでOKだけど車高調整機能は必須か?


携帯電話などで実用化されている非接触充電だが、大型かつ大容量の電池を持つ電気自動車へ応用するにはいくつかの問題が考えられる。当然ながら出力が桁違いに大きくなり、また充電器とバッテリーとを隔てる空間も大きい。



そのぶん、ロスも増えることが予想されるが、ポルシェによれば、充電能力は交流プラグインと同等の11kW、エネルギー伝送効率は最大90%に達するという。



充電器は1170×1780×60mmのプレート状で、重量は50kgほどあり、駐車スペースなどのフロアに設置する。異物や動くものの検知機能により、動物などが入り込んだり、プレート上に金属が置かれて発熱したりした場合には、充電が自動停止する。プリコンディショニングを行う充電タイマーなど、一般的な交流充電器で便利な機能も備える。

車両側は、これを跨いで駐車すると、車高が自動的に下がり、充電器と、左右前輪間に配置された受電装置との距離は数cmまで縮まる。充電はパーキング・ブレーキを動作させると自動的に開始。



また、サラウンド・ビューには、充電に適正な位置を表示する機能が加わる。

屋外に設置されるとなれば、雨や雪にさらされるだろうが、耐候性は十分に確保。もしプレート上に乗り上げてしまっても、深刻なダメージを与えることはない設計だ。給電は電磁誘導式だが、周囲への影響に配慮し、電磁放射線の醸出範囲は車体下に限定される。



なお、次期カイエン・エレクトリックは400kWの直流充電にも対応し、急速充電の所要時間を大幅に短縮する。また、ショーに展示されるプロトタイプには、電気が流れると発色する塗装が施される。



クリアだけでも15層以上、トータルで25層を超える薄い塗装を重ね、研磨工程は30回以上繰り返す。この送電ケーブルの総延長は500m以上に達する。

新しいポルシェのワイヤレス充電設備は、まずは欧州で2026年に発売するとのこと。次期カイエンの登場も同時期になるとみられる。



ポルシェのリサーチでは、タイカンやマカンなど自社の電気自動車は全充電プロセスの75%程度がユーザーの自宅で行われるとのことだが、手間なくチャージできるこの新しい設備の登場で、低迷している電気自動車の普及は加速するのだろうか。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)
タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement