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2025.10.23

CARS

生産終了、最後の進化型GRスープラに試乗　内燃機関のスポーツカーがたどり着いた境地

村上政

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古典的なスポーツカーの味付け

BMW製直6ターボは、低回転時から大トルクでクルマを押し出すタイプで、高速クルージングを最も得意としているようだが、箱根の峠道を走らせても、滑らかな吹け上がりとブリッピング音を交えた程よいサウンドで、ドライバーの気持ちを高ぶらせてくれる。

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6段MTモデルでは、シフトノブに赤リングと赤ステッチが入った。

とはいえ、もっと速く走れとクルマが攻め立てるような素振りは一切見せない。あくまでもドライバーの意思にリニアに応える、とても大人な味付けのスポーツ・エンジンなのだ。

ハンドリングは、ロングノーズ、ショートデッキの後輪駆動車ならではの独特の感覚を持ち、ノーズが曲がり始めてから一瞬遅れて人間が曲がっていくのを感じることになる。ノーズの動きとともに自分もコーナーに飛び込んでいくようなミドシップ車とは違い、もっとゆったりした気持ちでクルマが曲がっていくのを待ってやる余裕が、スムーズで速い運転につながるだろう。



実は、私が一番昔のセリカXXとの共通点を感じたのは、運転席についた時に、穴蔵の中からフロント・ウインドウを通して外を眺めているように思わせる、独特の包まれた感覚だった。そして、室内のデザインも、XXは古典的なスポーツカーさながらの絶壁のように切り立ったダッシュボードを持っていたが、このスープラにもそれに似た感じがある。

つまり、乗り味もデザインも、とても古典的なスポーツカーの味付けになっているように思うのである。そして、内燃機関の時代のスポーツカーが成熟を極めた結果、たどり着いた境地とでもいうべき大人の乗り味を持っている。あのXXがここまできたかと思うと、個人的にも、誠に感慨深いものがあった。

文＝村上 政（ENGINE編集長）　写真＝望月浩彦

■GRスープラRZ

駆動方式　フロント縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高　4380×1865×1295mm
ホイールベース　2470mm
車両重量（車検証）　1520kg（前軸780kg、後軸740kg）
エンジン形式　直噴直列6気筒DOHCターボ
排気量　2997cc
ボア×ストローク　82.0×94.6mm
最高出力　387ps/6500rpm
最大トルク　500Nm/1800-5000rpm
トランスミッション　6段MT
サスペンション（前）　マクファーソン式ストラット／コイル
サスペンション（後）　マルチリンク／コイル
ブレーキ（前後）　通気冷却式ディスク
タイヤ　（前）255/35ZR19、（後）275/35ZR19
車両本体価格（税込み）　800万円

（ENGINE2025年11月号）
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