ベントレーが、ビスポーク仕様の「コンチネンタルGTC」を公開した。
ベントレーといえばオーソドックスでクラシカルな色、じゃつまらない
英国のクライアントがオーダーしたのは、紫系のボディ・カラーと、3色づかいのインテリアとの組み合わせだった。

エクステリアのペイントは、ヴィオレットこと鮮やかな青紫だ。ベントレーに単なる安パイなトラッド系カラー以上のものを求めるクライアントが選んだ、フランス語ですみれ色を意味するそれは、かつてベントレーが使ったことのある塗装色を、ペイント部門が再現したもの。

こうした復刻カラーの例は、最近だと1950年代のセージ・グリーンや、1960年代のシェル・グレー、2000年代のルビノ・レッドなどがある。
このクライアントは、これまでに複数のベントレーを乗り継いでおり、6台乗った「ベンテイガ」の中には、強烈なマゼンタの個体もあったとか。もっとも近いところでは、スカラベ・グリーンの「コンチネンタルGT」を手に入れている。また、旧いクルマにも関心が強いエンスージアストで、今年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでは、「スピード・シックス・コンティニュエーション・シリーズ」の助手席を体験している。早い話、クルーにとっては、かなりのお得意様、ということだ。

ディテールは、ベントレーのエンブレムを含め、クローム部をグロス・ブラックに変更。

7層構造のキャンバス・ルーフは、ダーク・グレー・メタリックの生地を使用した。

インテリアも、外装に合わせた紫系でコーディネート。センター・コンソールや立体的なドア・パネルのレザー、ステアリング・ホイール、シート・バックにはタンザナイト・パープル、アクセントやパイピング、スティッチはライラックで、白系のリネン色と組み合わせた。

パネルの素材は、2億年の歴史を重ねた天然石を、厚さ0.1mmに切り出したもの。このストーン・ベニヤはマリナーのアイテムで、オータム/カッパー/ギャラクシー/テラ・レッドの4色を展開している。このほか、ダーク・クローム・インテリア・スペシフィケーションやローテーティング・ディスプレイを装備したほか、オーディオは最高峰のネイム・オブ・ベントレーをチョイスしている。

このすみれ色のベントレー、総額は気が遠くなるような価格に違いない。しかしそれ以前に、ここまで冒険的なオーダーなど「リセールを考えると恐ろしくてできないだろう」と庶民の身では思ってしまう、悲しいかな。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)