2025.10.19

CARS

伝統と革新の融合を追い求めるランボルギーニのデザイン【マニフェストとは?】20年後を示唆するコンセプト・カーがお披露目に

これが近未来のランボルギーニ!?

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この2025年10月で設立20周年を迎えたランボルギーニのチェントロ・スティーレ、すなわちデザイン・センターが、未来のデザインの方向性を具現化したコンセプト・モデルの「マニフェスト」を公開した。

ランボルギーニのこの先を示すコンセプトとは?


スーパーカーにおけるデザインは、単なる形だけの問題ではない。すべてのプロジェクトに火を点けるスパークであり、エンジニアリングをエモーションに転化する決定的なエレメントでもある。ランボルギーニにとっては、アイデンティティと切り離せないものだ。

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「デザインは、顧客がランボルギーニを購入する一番の理由です」と語るのは、2016年からアウトモビリ・ランボルギーニのデザイン・ディレクターを務めているミィティア・ボルケルトだ。「社内で、エンジニアリングや生産の部門との密接な対話や、ブランドのDNAと直接的な関連をもって、開発するべきなのです」。



いまやチェントロ・スティーレは、ブランドのクリエイティブなプロセスの心臓部だ。ムルシエラゴやガヤルドから、レヴエルトやテメラリオまで、近年のランボルギーニはどれも社内で生み出されている。

7人でスタートしたチェントロ・スティーレは、日本人デザイナーも在籍する25人の国際色豊かなチームに成長した。年齢層も、20代後半から50代までさまざま。その役割も、エクステリアやインテリアのデザイナー、クレイや3Dデジタルのモデラー、カラーやトリムのエキスパート、コンセプトを商品化へ導く実現可能性デザイナーと多岐に渡る。

ボルケルトはそれをサッカー・チームに喩え「自分の役割は彼らを指揮し、創造性を保ち、すべての仕事に我が社のDNAを反映しつつも限界を高めることです」と語る。



そんなランボルギーニのデザイナーに欠かせない素質は好奇心だというのが、ボルケルトの主張だ。「世の中を子どもの視点で見て、常に疑問を持ち、新しいことにオープンでいなくてはなりません」。



そのいっぽうで、譲れないこともある。サイド・ビューは、遠目にもランボルギーニだとわかることが大事。1960年代のイタリアの建築や工業デザインに端を発するY字や六角形のモチーフも、ランボルギーニのデザインとの関連が深い要素だ。そうしたルールの中で、常にサプライズはなくてはいけない。

そうしたイノベーションを産み続けるために、ボルケルトは“クレイジー・コーナー”と呼ぶ少人数のグループを編成。その使命は、ランボルギーニの次の20年をイメージすることだ。それは垣根を取り去った新たなモビリティの形を思い描くことであり、ランボルギーニのDNAを過激に再解釈することでもある。

AIも活用しつつあるが、テクノロジーはツールに過ぎず、最終決定は人間によって行われる、というのがボルケルトの信念なのだ。



そうして完成した、新たなビジョンをもっとも明確に物語るのが、「マニフェスト」と銘打ったコンセプト・カー。サイドから見れば、カウンタックの流れを汲むことは一目瞭然のフォルムで、Y字のライトや六角形のディテールも盛り込まれているが、斬新なルーフ形状などは未来的。



ボルケルトは「マニフェストは、ファンタジーやインスピレーションを具現化したものです」と語る。「どのように面を組み合わせ、純粋主義をクリエイトし、DNAを発展させるかを示しています」。



すでに2029年(!)のモデルを見据えてスケッチやクレイモデル、3Dプリントなどを作る作業が進んでいるというチェントロ・スティーレ。それは先進的で、驚きに満ちて、しかし誰が見てもランボルギーニだとわかる、そんなクルマになるに違いない。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

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