2025.11.04

CARS

至高の5気筒サウンドに感謝しかない!マイチェンした「アウディRS3」をワインディングで試す

A3のマイナーチェンジに合わせて、内外装のリファインを経た新型アウディRS 3。走りに関わる変更は部分的だが、固有の魅力は今でも色濃く残っていた。試乗したENGINE編集部のムラヤマがリポートする。

パイソンカラーの猛獣

9・10月号で試乗した4代目A3のマイチェン・モデルに続き、RS 3(としては2代目)の改良モデルにも、ついに試乗車が配備された。

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A3の試乗記では、S-lineの試乗車の外観が一見S3と見紛うほどスポーティだと書いたけれど、駐車場で対面した新たな意匠の「RS 3」の迫力は、以前乗ったA3とは比較にならないほど強烈だった。

ド派手なパイソン・イエローメタリックのボディカラーと、大胆にブラックアウトされたフロントグリル&エアダクトのコントラストがその力強さを増幅させているのも理由の一つだけれど、ボディそのものもA3とは別モノだ。フロントのトレッドは45mmもワイドで、正面に立つと、ひと回りもふた回りも大きなクルマに感じるのだ。全長×全幅も25mm×35mm長く広く、まるで前足を左右にドーンと大きく広げて構える猛獣のよう。ボディカラーの「パイソン」とは、ニシキヘビを意味するそうだが……。





上質で知的な印象の車内を見渡しても、これが特別なモデルであることは一目瞭然。上下が平らなスエード巻きステアリングの手触りは、常にスポーティな走りを意識させるものだし、ヘビの鱗を彷彿させるステッチが入ったスポーツ・シートも、ワインディングや高速道路をちょっとやそっと飛ばすくらいでは、身体が揺さぶられることもなさそうだ。





走りの面では脚のセッティングが改められた。パワーユニットは従来と同じ横置き2.5リッター直5ターボ。最高出力400ps /5600-7000rpm、最大トルク500Nm/2250-5600rpmの強烈なパワー&トルクを7段DCT(Sトロニック)が受け止めて4輪を駆動するRS 3で、いざワインディングへ!

この音が聴きたかった!

混雑した都内の一般道を走り出して驚いたのは、これほどのハイ・パーフォマンス・モデルにして、乗り心地に不快感を伴わないことだ。工事路盤や道路の継ぎ目を乗り越えるような場面では、A3よりも脚がよく動き、しなやかに凸凹に追従しているように感じられた。前30/後35扁平の19インチを履いているとは思えない脚さばきは、オプションの電子制御サスペンションの効果も少なくないだろう。



東京湾を渡り、房総のワインディングへ。その走りはあまりにも楽しくて、撮影後も一人で走り回ったほど。結論から言えば、スポーツカーとして見れば、欠点を探すことの方が難しい万能選手だ。どこまでも途切れ目のない圧倒的な加速は半ば想定内だったが、走りで舌を巻いたのはコーナリング性能。後輪の左右間でも駆動力を可変配分するトルクスプリッターが付いているから、フロントヘビーなFFベースのパッケージングという固定観念なんて吹き飛ぶほどよく曲がる。アンダーステアとは無縁なばかりか、コーナリング中にアクセルを踏み足すと、内側に巻き込んでいくような動きまで見せるのだ。

試乗車のフロントに搭載される2.5リッター直列5気筒ターボには、オプション(8万円)のカーボン・エンジンカバー付き。

しかしそんなことは全て差し置いて、RS 3の最大の魅力は、直5のエンジン・サウンドだと断言できる。3500回転付近から金管楽器の多重奏のようにいくつもの倍音を共鳴させながら駆けのぼる“クウァーーン”という音色は、他のどんなに素晴らしいエンジン・サウンドにも代え難い、クセになる魅力を持っていた。

2025年も終盤に差し掛かった今でも、このエンジンをデリバリーし続けていることに感謝感激。嗚呼、1秒でも長くこの音が聴けますように。



文=村山雄哉(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

■アウディRS 3スポーツバック
駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4380×1850×1435mm
ホイールベース 2630mm
車両重量 1580kg(+サンルーフ30kg)
トレッド(前/後) 1590/1530mm
エンジン形式 直列5気筒DOHCインタークーラー付ターボ
排気量 2480cc
最高出力 400ps/5600-7000rpm
最大トルク 500Nm/2250~5600rpm
トランスミッション 7段DCT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット/コイル
サスペンション(後) ウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後) ディスク
タイヤサイズ(前,後) 265/30R19, 245/35R19
車両本体価格(税込) 906万円(+オプション総額134万円)

(ENGINE2025年12月号)
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