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2025.11.23

CARS

ラリー・カーから電気自動車、そしてマイルド・ハイブリッドまで揃う現代の“HF”とは？「ランチア・イプシロンHF」ファミリーがついに完成に

関耕一郎

これがランチア・イプシロンの“HF”シリーズだ！

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ランチアが、フランス・サトリーのステランティス・モータースポーツ本部で「イプシロン・ラリー2HFインテグラーレ」を公開した。2026年シーズンから、WRCの“ラリー2”カテゴリーへ投入するモデルだ。

最上位モデルの名はあの“インテグラーレ”だ！


今季開催したイベント“トロフェオ・ランチア”は40以上の参加チームを集め、「イプシロン・ラリー4 HF」は100台以上を販売するという成功を収めている。

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これは、“ラリー4”の「イプシロンHF」や“ラリー2”の「イプシロンHFインテグラーレ」に加え、“ラリー6”規程の「イプシロンHFレーシング」も含むHFモデルの開発プログラムにも有効だった。



「イプシロンHFレーシング」は、最高出力／最大トルクが145ps／240Nmを発生する1.2リットルの直列3気筒ターボを搭載。ショート・レシオの6段MTと機械式LSDを介して前輪を駆動する。

ブレーキ・ローター径は前302mm／後290mmで、ハンド・ブレーキは機械式。国際的な規格に適合するロールケージも組まれ、3万8900ユーロ（約700万円）で販売される。

「イプシロン・ラリー4 HF」は、この「イプシロンHFレーシング」と共通のボディに、最高出力が212ps版となる1.2リットルの直列3気筒ターボと、レース用トランスミッション・メーカーのサデヴ製の5段シーケンシャル、機械式LSDを積む前輪駆動車。足まわりはオーリンズの3ウェイ調整式ダンパーや、フロントが330mm径のVディスク・ブレーキを装備する。

そのほかにも、さまざまなサプライヤーのパーツを採用し、エンジン制御系はマレリ、ブレーキ系はTMテクノロジーズ、ホイールはスピードライン、排気系はスーパー・スプリント。室内は、スパルコのロールケージやシート、ステアリング・ホイールを装着し、防火服類もスパルコが供給する。価格は7万4500ユーロ（約1341万円）だ。



頂点に位置する「イプシロン・ラリー2 HFインテグラーレ」は、最高出力／最大トルクが287ps／425Nmの1.6リットル直列4気筒ターボとサデヴ製5段シーケンシャルを積む4輪駆動車。ホイールとブレーキ・ディスクは前後同サイズで、ターマックが18インチに355mm径、グラベルが15インチと300mm径を使用する。タイヤはミシュラン、キャリパーはアルコン製4ピストンだ。



ランチアとステランティス・モータースポーツは、2026年1月のモンテカルロ・ラリーから、WRCへ「イプシロン・ラリー2 HFインテグラーレ」を投入。参戦するWRC2は、トップ・カテゴリーのWRC1より低コスト化を義務付けられているが、2027年のレギュレーション改訂以降は、中心的なカテゴリーになることが予想されている。

このほか、欧州ラリー選手権、イタリアやフランス、スペイン、ベルギーなどの国内シリーズでも、イプシロンの勇姿を見ることができそうだ。

これらレース・モデルの技術は最高出力／最大トルク280ps／345Nmを発生する市販型の純電気自動車「イプシロンHF」にも投入されている。ブランド初のパフォーマンスBEVであり、0-100km/h加速は5.6秒で、アルコン製355mm径のブレーキ・ディスクやトルセンLSDを搭載。レベル2のADASも採用している。バッテリー容量は54kWhで、航続距離はおよそ370kmに達し、10分で100km相当の電力を補充可能だ。

トレッドは30mm拡幅、地上高は20mmダウンし、専用のフロント・バンパーなどを装着したエクステリアは迫力満点。シャシーは、フロントの剛性を67％、リア・スタビライザーを153％も強化している。



さらにイプシロン・シリーズには「HFライン」と銘打った仕様も用意される。これは最高出力110ps の1.2リットル直列3気筒エンジンと48Vハイブリッド、デュアルクラッチ式自動MTを搭載し、“HF”のデザイン言語とスポーティな走りをより手頃に味わえるスポーツ・グレードだ。



ランチアも、フィアットやアバルトなどのかつてあったイタリアのBセグメント・スポーツハッチたちも、日本市場では正規導入されなくなって久しい。

ラリー復帰に合わせて、市販モデルがふたたび上陸してくれることを、期待するファンも少なくないのではないだろうか。

文＝関 耕一郎

（ENGINE Webオリジナル）
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